事業再検証
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「日本の重力式ダム一覧」の記事における「事業再検証」の解説
民主党鳩山由紀夫内閣の国土交通大臣・前原誠司によって2009年12月に事業継続の再検証を求められ、検証作業が行われている未完成のダム事業。桃色欄で表示する。
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事業再検証
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日本のダムの歴史#脱ダム宣言と事業再検証の項目も参照。 長良川河口堰への反対運動や「アメリカ合衆国ではダム建設の時代は終わった」という1995年のビアード発言以降、日本のダム事業は次第に厳しい立場に置かれた。政府も財政難から公共事業費の削減を目指し、1998年(平成10年)第2次橋本内閣によるダム事業評価制度や2002年の第1次小泉内閣の「骨太の方針」による公共事業見直しで計画・施工中の国土交通省直轄ダムも事業が総点検され、中止したダム事業も現れた。新丸山ダムは2003年(平成15年)の中部地方整備局事業監視委員会、2008年(平成20年)の中部地方整備局事業評価監視委員会で審議を受けたが、事業継続が決定していた。 ところが、2009年(平成21年)鳩山由紀夫内閣の誕生後、国土交通大臣に就任した前原誠司は「新たな基準に沿った検証の対象とするダム事業を選定する考え方について」という大臣談話を発表。出来るだけダムに頼らない治水事業を推進するため直轄・国庫補助事業を問わず、本体工事に入っていないまたは再開発事業以外の日本全国89の河川総合開発事業(90ダム)についてダム事業再検証を開始した。中部地方整備局では戸草ダム(三峰川)・設楽ダム(豊川)そして新丸山ダムが対象となり、2010年(平成22年)9月に事業再検証が開始された。 事業再検証において、対象となったのは新丸山ダムの目的のうち洪水調節と流水の正常な機能の維持に関する代替案の検討であり、様々な案が検討された。まず洪水調節については21通りの案が示され、費用対効果や実現性の面で可能性に乏しい案を除外した。結果河道掘削単独案、堤防かさ上げ案、三派川に洪水調節池を建設する案、日本ライン狭窄部を可児・犬山間のバイパストンネルで迂回する放水路案、雨水貯留施設や雨水浸透施設を整備する流域対策案が挙げられた。これらの案には全て河道内の樹木伐採がメニューとして入っており、放水路案以外では河道掘削を合わせて行う。流水の正常な機能の維持についても13通りの案から笠置・大井および秋神ダム(秋神川)をかさ上げて不特定容量を確保する案、長良川河口堰に供給目的を振り替え、岩屋ダムの貯水容量配分変更と笠置ダムをかさ上げして容量を確保する案、丸山ダムを改築して予備放流方式を導入する案が挙げられた。 これら代替案を基に、関係する流域自治体や利水事業者と再検証を行った。洪水調節代替案では、河道掘削を伴う案は飛騨木曽川国定公園に指定された日本ラインの景観や化石林などを破壊するとして岐阜県や美濃加茂市など流域自治体が反対し、堤防かさ上げは中山道太田宿の街並み景観が壊されるとして美濃加茂市が反対。河道掘削を伴わない放水路案では総事業費の試算が7,000億円以上と高額になった。流水の正常な機能の維持代替案についてはダムのかさ上げによる不特定容量の新設について管理する関西電力・中部電力が水力発電への影響から難色を示し、岐阜県はダムかさ上げに伴う貯水池拡大で生じる新規の水没移転について過疎化を懸念し否定的姿勢を示した。特に大井ダムかさ上げに対しては恵那市が過疎化だけでなく恵那峡という観光地が水没するため反対を明確にした。長良川河口堰振り替え案は三重県が理解を示した一方で岩屋ダムを水源とする愛知県から、不特定容量の新設による利水容量の相対的減少に対して不安が挙がった。丸山ダム予備放流案は岐阜県から現行の新丸山ダム案と比べ非現実的と疑問視されている。 関係流域自治体や利水事業者、流域住民、学識経験者などへの意見聴取を重ね、代替案よりも新丸山ダム案が費用対効果として有利であるとして2013年(平成25年)7月、新丸山ダムは「事業継続」の決定が下された。出された意見は総じて新丸山ダムの早期建設を求めているが、東海三県からはさらなるコスト削減も求められている。3年を掛けた検証期間に対しては岐阜県・三重県や恵那市から時間が掛かり過ぎると批判され、八百津町や流域住民の一部からは根拠もない民主党政権のダム再検証により工期が遅れて洪水被害が起きた時の責任の所在を問う声もあった。一方でダム事業を全否定し、日本各地のダム反対運動に介入している水源開発問題全国連絡会(水源連)はこうしたダム事業再検証を「ダム採択ありきの事業者によるお手盛りの検証」と厳しく批判している。なお、事業再検証の結果については新丸山ダムと設楽ダムが「事業継続」、戸草ダムが「事業中止」となった。
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