主な生産型
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「Su-17 (航空機)」の記事における「主な生産型」の解説
Su-17(Су-17) ВВС СССР Су-17 #24 初期生産型で224機が製造された。Su-7BKLと同じく、リューリカ設計局製のAL-7F-1-250ターボジェットエンジンを装備した。飛行最高速度はマッハ2.1。可変翼の採用により、後退翼機であるSu-7より効率的な飛行が可能となり、離着陸に要する滑走距離と航続距離が大幅に改善された。なお、当初の試作機より量産機は尾部を中心にさらなる構造の洗練と電子装備の追加が行われた。Su-17は前量産機的な存在であったため生産数は限られ、ほとんどがソ連空軍で使用されたのち退役したが、一部はエジプトへ輸出され実戦へ投入された。 Su-17M(Су-17М) ВПС України Су-17М #06 Su-17の改良型で、この型より本格的な配備が始められた。エンジンは、リューリカ設計局製の新型ターボジェットエンジンAL-21F-3に変更されていた。AL-32F-3はそれまでのAL-7シリーズのエンジンより小型軽量で、出力に加え燃費も大幅に向上していた。エンジンの小型化と出力の増加に伴い、それまでの直径の大きなエンジンに合わせエリアルールに則り膨らまされていた胴体尾部は、生産性の向上のためエリアルールを無視して前部胴体と同じ直径のものに設計変更された。エンジンの燃費の向上と燃料タンクのさらなる増積の努力により、航続距離と武装搭載量はさらに増加した。Su-20(Су-20) IraqAF Su-20, 2004 Su-17Mの輸出型で、ワルシャワ条約機構加盟国向けの機体は"A"、それ以外の第三世界向けの機体は"B"と称され、"B"はSu-7に準じた大幅なスペックダウン機であった。エンジンはAL-21F-3を搭載。ポーランドやアラブ諸国が使用。Su-17Mの輸出型という意味のSu-17MKとも呼ばれた。偵察機型はSu-20Rで、新規での生産はなく全機が既存の機体からの改修機であった。 Su-17M2(Су-17М2) ВВС СССР Су-17М2 #67 ВВС СССР Су-17М2 Su-17Mの改良型。偵察機に改修された機体はSu-17M2R、コマンド誘導空対地ミサイルKh-23を運用可能とした改良型はSu-17M2-Dと呼ばれた。Su-22(Су-22) FAP Su-22A(mod.) #024, 2005 FAP Su-22A(mod.) #022, 2005 Su-17M2の輸出型で、いわゆる"B"規格に当たる。Su-20Mと呼ばれることもある。エンジンはMiG-23の搭載するツマンスキー設計局製のターボジェットエンジンR-29-300に準じたR-29BS-300が採用された。ペルー、リビア、アンゴラ、アフガニスタン(アフガニスタン民主主義共和国空軍(DRAAF)機やターリバーン空軍(IEAAF)機が確認されている)などで使用されている。また、一部はソ連空軍でも使用された。ペルー空軍の機体は近代化改修を受け、外見も若干変化している。 Su-17UM(Су-17УМ) ВВС СССР Су-17UМ #80 Su-17M2の複座型であるが、機首が下方へ曲げられ背部の膨らみも大型化されるなど機体形状が大きく変化した。この形状の複座型の開発には、のちの戦闘爆撃機型Su-17M3の原型機とする目的もあった。 Su-17M3(Су-17М3) ВПС України Су-17М3 #50 Su-17シリーズの後期型で、複座型に準じた機体形状となった。当初Su-19とも呼ばれたが、正式にはSu-17M3となった。1978年規格以降の機体は、それまでの型より垂直尾翼端が延長された。また、後期シリーズは機体尾部下面にもフィンが取り付けられている。Su-17M3では、小型のハードポイントが左右の主翼に1ヶ所ずつ追加され、ここに自衛用の空対空ミサイルR-60を搭載できるようにされた。ソ連向けSu-17シリーズでは輸出型で搭載されていたR-3/13ミサイルは運用できるように設定されていなかったため、この小型ミサイルが初めての自衛用武装となった。のちに偵察機に転用された機体はSu-17M3Rと呼称された。また、対レーダーミサイルKh-27PSやKh-58の運用システムBA-58"ヴィユガ-17"を搭載可能とした対レーダー攻撃機Su-17M3Pも、Su-17M3の一部として部隊配備された。S-17M3Pと通常のSu-17M3とは、Su-17M3PではBA-58の受信アンテナが機種下面中央線上に設置されていることから外見上も識別できる。Su-17シリーズ中最大機数が生産され、ソビエト連邦の崩壊後も独立国家共同体各国で運用された。 Su-17UM3(Су-17УМ3) ВВС России Су-17УМ3 #87, 1994 Su-17M3に準じた複座型で、本格的に生産された複座型。Su-22M(Су-22М) FAP Su-22M(mod.) #167, 2005 FAP Su-22M #176 Su-17M3の第三世界向けの輸出型。いわゆる"B"規格の輸出型であると分類できる。"クリョーン"などの最新機材や最新ミサイルなどを外した大幅なダウングレード型であった。エンジンはR-29BS-300を搭載した。Su-22Mの後期シリーズは、Su-17M3の後期シリーズに準じて垂直尾翼端の延長が行われている。尾部下部フィンの取り付けは、行われているものとそうでないものとがある。後期シリーズに関してはSu-22M2とされることもあるが、正式な呼称ではない。リビア、ペルー、ベトナム、イエメンなどで使用。一部はソ連空軍でも運用されたが、それらの機体は輸出された機体とは搭載機器が異なっていた。なお、ペルー空軍の機体は近代化改修を受け、外見も若干変化している。 Su-22UM(Су-22УМ) FAP Su-22UM #029, 2005 Su-22Mに準じた複座型。同機使用国で運用。 Su-22M3(Су-22М3) Su-17M3のワルシャワ条約機構加盟国向けの輸出型。いわゆる"A"規格の輸出型であると分類できる。尾部下部フィン・垂直尾翼端延長あり。採用国家としてはハンガリーが挙げられる。ソ連では当初Su-22M3をエンジンを含め完全なSu-17M3の輸出型とするつもりであったようだが、同時期にMiG-23MFを導入したハンガリー側の希望があり、エンジンはMiG-23シリーズと共通のR-29系のもの、即ちそれまでSu-17シリーズの"B"規格に採用されてきたものと同じR-29BS-300が採用された。搭載機器は基本的にSu-17M3と同じものであった。偵察機型としてSu-22M3Rとも呼ばれる。 Su-22UM3(Су-22УМ3) HungaryAF Szu-22UM3 #08 Su-22M3に準じた複座型。ハンガリーで運用された。 Su-17M4(Су-17М4) ВПС України Су-17М4Р #50, 2002 最終型で、最も高度な攻撃能力を持つ発展型。当初Su-21とも呼ばれたが、正式にはSu-17M4となった。実用上過剰な機能であった可動式空気取り入れ口を固定式とするなどの簡略化を行い、重量を軽減するとともに機器の収納スペースの増加を図った。そのため、最高速度はマッハ 1.75となった。外見上の変化は、M3よりさらに大型化された背部の膨らみや、垂直尾翼付け根のインテイクの追加など。数シリーズが生産されたが、外見上はアンテナ類の相違から判断できる。ソ連からの独立後も独立国家共同体各国で使用された。また、ウクライナ機などの一部は輸出されたとされる。偵察機型はSu-17M4Rで、新規生産された機体と改修機とが存在した。Su-22M4(Су-22М4) PolandAF Su-22M4(mod.NATO) #3509, 2005 PolandAF Su-22M4(mod.NATO) #7410, 2004 Su-17M4の輸出型。ワルシャワ条約機構加盟国向けの"A"規格と、それ以外の第三世界向けの"B"規格とがある。基本的には、前者はSu-17M4の初期シリーズ、後者はSu-17M3の後期シリーズ程度の能力を持つ機体として設計されている。エンジンはいずれもAL-21F-3を搭載。ポーランド、ドイツ、ブルガリア、チェコスロバキア、ベトナム、アフガニスタン、イラク、アンゴラなどで使用。偵察機型はSu-22M4R。なお、ポーランド空軍の機体はNATO化改修を受け、外見も若干変化している。 Su-22UM3K(Су-22УМ3К) PolandAF Su-22UM3K(mod.NATO) #707, 2005 Su-17UM3に準じた複座型。Su-22後期型使用国で運用。エンジンはAL-21F-3を搭載。 Su-22M5(Су-22М5) フランスとの協力で、Su-22M4の近代化改修機として開発された機体。航空ショーに出展されたことがあったが、現在実際に運用している国はない模様。 Su-22M6(Су-22М6) Su-22M4の廉価版として開発された機体。Su-17M4N、S-54N、S-56などとも呼ばれた。可変翼を廃し、45度の後退翼を持った航空機として設計されたが、実際に制作されることはなかった。 Su-17 Su-17M Su-20 Su-20R Su-17M2 Su-22 Su-17UM Su-17M3 Su-17UM3 Su-22M3 Su-22UM3 Su-17M4 Su-22M4 Su-22UM3K
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