主な有毒渦鞭毛藻とは? わかりやすく解説

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主な有毒渦鞭毛藻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/03 03:51 UTC 版)

有毒渦鞭毛藻」の記事における「主な有毒渦鞭毛藻」の解説

Alexandrium麻痺性貝毒(paralytic shellfish poisoning; PSP)を産生する渦鞭毛藻日本近海貝毒引き起こす代表的な属である。細胞表面鎧板を持つ球形に近い渦鞭毛藻で、複数個体縦に連なって連鎖群体形成する(A. tamarense を除く)。 アレキサンドリウム・タマレンセ(A. tamarense (Lebour) Balech)は1980年代まで北日本のみに分布するとされていたが、南限が順次南下しており、1990年代以降瀬戸内海から九州地方でも確認されている。逆に瀬戸内中心に分布していた A. catenella (Whedon et Kofoid) Balech は、分布域北上する形で日本全域広がりつつある。また1999年以降亜熱帯性であると考えられていた A. tamiyavanichii Balech が西日本近海まで到達しており、貝毒引き起こしている。A. minutum Halim有毒と言われており、東京湾から1999年報告がある。 Alexandrium catenella の増殖速度には、植物性プランクトン供給源となるビタミンB群海水中濃度が有意影響をしている。 Dinophysis下痢性貝毒(diarrhetic shellfish poisoning; DSP)を産生する渦鞭毛藻細胞の上部に環状翼と呼ばれる溝があり、そこから縦軸方向縦溝翼(縦溝翼片)と呼ばれる背びれ様の構造を持つ。それぞれの溝に鞭毛があり、これを用いて遊泳する培養困難な渦鞭毛藻であり、有毒種同定進んでいない。毒素ディノフィシストキシン呼ばれるオカダ酸誘導体群である。また、D. fortii がペクテノトキシン作ることが報告されている。Dinophysis 属には葉緑体を持つ種と持たない種の両方含まれるが、ディノフィシストキシン産生するのは独立栄養前者である。 Gambierdiscus 属 シガテラ呼ばれる食中毒原因となる渦鞭毛藻G. toxicus Adachi et Fukuyo が代表種。この種はやや膨潤した円盤形の細胞である。G. toxicus は海藻などの表面付着しており、この海藻食した生物毒素蓄積してゆく。貝毒とは異なり、主に食中毒主因となる。毒素シガトキシンマイトトキシンである。 熱帯亜熱帯での症例多く香港フィリピンからも報告がある。中毒者は年間2万人とも見積もられている。特徴的な症状としてドライアイス・センセーションがあり、これは冷たい水触れると熱いと感じる(逆にお湯冷たく感じる)知覚異常一種である。症状詳細シガテラ参照。 Gymnodinium 属 麻痺性貝毒産生する渦鞭毛藻日本近海では G. catenatum Graham などが出現する従前は Karenia 属がここに含まれていた。 Karenia 属 神経性貝毒(neurotoxic shellfish poisoning; NSP)を産生する渦鞭毛藻カレニア・ブレビスK. brevis (Davis) Hansen et Moestrup)や K. mikimotoi (Mikyake et Kominami ex Oda) Hansen et Moestrup が代表的である。毒はブレベトキシンである。本属以前は Gymonodinium 属に含められていたが、2000年分離された。 K. brevis による貝毒被害北米ニュージーランド発生している。前者ではおよびマナティー大量死報告されている。後者では1992年300名近い食中毒患者出した日本では東京湾などで K. brevisK. mikimotoi ともに確認されているものの、食中毒発生報告未だ無い。カレニア・ブレビス参照。 Ostreopsis 属 O. lenticularis や O. siamensis がパリトキシン産生する細胞姿形前述の Gambierdiscus toxicus に似ているのでしばしば混同されるが、遊泳法や鎧板配列異なることで区別できるPfiesteriaアメリカノースカロライナ州発見され渦鞭毛藻タイプ種である P. piscicida が産生する毒素エアロゾルとして気相放出され人体にも影響を及ぼすと言われている。当初Pfiesteria正体掴めず、生息域近隣住民からは“phantom dinoflagellate”と呼ばれ恐れられた。P. piscicida は名前の通り殺してその血球などを捕食する毒素2007年同定されたが名前はまだ付いていない。 同属の P. shumwayae も毒性疑われたが、これについては毒ではなく細胞直接攻撃仕掛けているのだという説もある。いずれの Pfiesteria についても、その有毒性生活環巡って様々な意見議論があり、収束していない。詳細フィエステリア参照。 Prorocentrum 属 付着性の P. lima (Ehrenberg) Dodgeオカダ酸産生する。この藻類シガテラ発生域多く分布しており、Gambierdiscus とともに毒化との関連性示唆されている。 Protoceratium 属 下痢性貝毒であるイェッソトキシンを産生する渦鞭毛藻。この毒素従来 Dinophysis由来する思われていたが、1997年に P. reticulatum (Claparède et Lachmann) Bütschli が産生元である事が報告された。 Protoperidinium 属 P. leticulatum など一部の種が下痢性貝毒であるアザスピロ酸産生する。 Pyrodinium 属 熱帯地域中心として、麻痺性貝毒産生する渦鞭毛藻。特に問題となる種は P. bahamense var. compressum (Böhm) Steindinger, Tester et Taylor である。発達した鎧板明瞭な縫合線を持つ。本種はシスト形成し海底堆積することも報告されている。 本種が有毒種として認識されたのは1970年代であるが、シスト調査によれば1800年代から既に東南アジア広く分布していた事が明らかとなっている。1983年にはフィリピンで本種の赤潮発生しており、その後生息域拡大している。

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