下北沢駅周辺地区街づくり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 16:11 UTC 版)
東京都と小田急電鉄は、小田急線の複々線化及び連続立体交差事業(地下化)事業を進めている。 以前から下北沢駅周辺の市街地整備について地元商店街や町内会などの要望もあり、世田谷区も入って検討を重ねてきた。これは元々、日用品を求める地域住民等買物客の回遊性や安全性の向上が目的だった。さらに1990年代以降、阪神・淡路大震災等の発生、景観、治安、バリアフリーへの一層の重視、上記連続立体化などの進展などを背景に、区が2006年に策定した地区計画の主な内容は下記の通りである。 建築物の斜線制限を緩和することと引き替えに壁面線の指定や高さを規制すること、風俗系の用途の制限などを通じた街なみ景観の誘導等 建築物の壁面後退等を進め、補助54号線や世田谷区画街路10号線の新規整備にも整合させた、防災・防犯性、歩行者回遊性の向上 一方、こうした動きに対し、社会学者の吉見俊哉や音楽家の曽我部恵一らが反対を表明した。また、世田谷区都市計画審議会でも学識経験者らの委員から反対意見があった[要出典]。日本建築学会は、都や区に見直しを求める要望書を提出した。現在は劇団、ライブハウス、パブ・スナックを中心に下北沢商業者協議会が組織され、反対運動をしている。なお、この事業は「再開発」と呼ばれる事も多いが、都市再開発法の市街地再開発事業(一種・二種)は計画されていない(2007年5月現在)。 地区計画見直しを求める主張 一部の地域住民・文化人・来街者やそれを対象にした商店主等が主体。補助54号線、区画街路10号線が、北側の商業地を背後の住宅地ごと分断し、商店の集客に係る環境を悪化させる。行政は、片側1車線という事を強調するが、逆に言えば、自動車が走行できない歩道や駐車帯が広く、車道以上に分断を押し進める。 上記道路、壁面線の指定、建物高さ規制の緩和は、農村時代の道路網が残る地における独特の「文化」の破壊をもたらす。 防災に関しては、以下の様に下北沢駅周辺の商店街の危険度は比較的低く(5段階中3程度)、隣接の住宅地の危険度が高く(5段階中4程度)表示されているという矛盾があり、重要性が低い。この問題は、小田急線が地下化した跡地を緑道とする事で十分なものである。 鉄道と路線バス等の連携を理由としたロータリーの設置という地域住民などからの要望は、終電後の時間帯、文化の観点からも、バス停等は駅から離れた場所に分散させた方がよく、不要である。 幹線道路や駅前ロータリー、連続立体化・複々線化は、高層化等と一体のもので、共に集客環境悪化、文化の破壊を進める。ただし、小田急線の連続立体化・複々線化に関しては、梅ヶ丘駅周辺の一部地権者が起こした差止訴訟とは違い、見直しを求める側の一部もそれを前提にした街作りの代案を示している。 推進する側の主張 主に行政・一部の商店街の団体・地域住民やそれを対象にした商店主等。過密した商店街や幅員が狭い道路は高齢者など周辺住民の買物の支障にもなっている。また、見通しが悪く、非常時には緊急車などの進入や緊急避難の妨げにもなり、周辺住宅地に延焼などの混乱が波及する恐れが強く、防災・防犯上の問題がある。 2つの私鉄の急行停車駅である下北沢駅には、バス・タクシーなどのアクセスを考慮した駅前広場およびアクセス道路(区画街路10号線)が必要である。 商店街に隣接する住宅地の居住環境への悪影響があり、都市計画の面からの対応が必要である。 補助54号線の計画は戦前(消滅した自治体である東京府管轄)からあり、路線計画地に隣接する北沢タウンホールの建設時等にも、計画の存在が考慮されている事実があるなど、地域住民には周知されているはずのものである。 見直し派がかつて推奨し採用された地下化であるが、地形面では下北沢駅部分が窪地故に高架化より急勾配になる上、それ相応のスペースが必要になるために用地面積も高架化に比べ有利とは言えず、地下化も差止訴訟の対象とされている。 なお、世田谷区は2012年2月2日、下北沢駅周辺開発に伴う道路用地買収費として17億5,100万円を計上した平成24年度一般会計当初予算案を発表した。
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