上演のコンセプトとは? わかりやすく解説

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上演のコンセプト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 04:00 UTC 版)

モスクワ芸術座版『ハムレット』」の記事における「上演のコンセプト」の解説

1908年4月クレイグ招待した際、スタニスラフスキークレイグ先進的な舞台芸術家働きたい熱望していることに非常に心を打たれていた。しかしながらスタニスラフスキークレイグ自分の間には将来ヴィジョンに関してどれほど大きな違いがあるかということには気付いていなかった。フセヴォロド・メイエルホリドとの実験スタジオで試み失敗した後、スタニスラフスキー役者重要性強調するようになっていた。スタニスラフスキーは「セット演出家デザイナー芝居伝えることはできない芝居役者の手握られている」と信じていた。この原則ゆえにスタニスラフスキー役者アプローチ大きく再考することとなったクレイグ存在気付くまでに、スタニスラフスキーはのちに「スタニスラフスキー・システム」の支柱となるものを発展させはじめていた。スタニスラフスキー良い演技というのは外に見えるものではなく内的動機からくるものだと確信していた。スタニスラフスキー考えはほぼ役者役柄中心としていた一方クレイグ新し演劇に関するヴィジョン役者意義切り詰め、そこから演出家ヴィジョン生まれ道具として扱うものであったクレイグ考えでは、「役者はもはや自らではなく他の何かを表現する。もはや真似をしてはならず、示さねばならないのだ」。クレイグ意見によると、よい舞台ではある1人人間管理下で全ての要素統一される必要があった。シェイクスピア劇を舞台で上演するためというよりは詩と考え象徴主義運動の傾向あわせてクレイグ影響力のあるマニフェストとなった劇場芸術について』(The Art of the Theatre、1905)で「舞台で表現されるものとしての性質持っていない」と論じていた。スタニスラフスキー1908年の夏に上演予定していた作品青い鳥』について議論するため劇作家モーリス・メーテルリンクのもとを訪れたことがあったが、メーテルリンクはこの15年ほど前に『ハムレット』や『リア王』、『マクベス』、『オセロー』、『アントニーとクレオパトラ』 など演劇史における偉大な戯曲多くは「上演できない」と述べていた。1908年クレイグ『ハムレット』適切に上演することは「不可能」だと主張したモスクワ芸術座『ハムレット』すすめた時、クレイグは「シェイクスピア劇は本来、舞台芸術属するものではないという自らの説を検証する」つもりだった。 クレイグこの上演を、あらゆる側面主人公従属する象徴主義的な一人芝居のようなものとして構想していた。戯曲ハムレット目を通して見える夢のようなビヴィジョンとして提示される。この解釈支えるため、クレイグ狂気殺人、死などを象徴するアーキタイプ的な登場人物付け加えあらゆる場面でハムレット舞台上にいてみずから参加しないことについても見守っているというようにしたかったスタニスラフスキークレイグ考え退けたスタニスラフスキーは、役者スタニスラフスキー・システムから決して遠ざからないようにしつつ、戯曲テクストじたいに剥き出し明白な感情をまとわせることを望んでいた。それに対してクレイグ役者たち登場人物感情あらわにさせないよう求めたクレイグ生命力のない芝居作りたかったということではなく反対にクレイグテクスト人物の動機感情明確に述べていると信じていた。クレイグ簡素さ実現しよう努力していたが、これは小山内薫がのちにEducational Theatre Journalで「内容ではなく表現簡素さ」と読んだようなものであったスタニスラフスキーアクションをたくさん起こすよう求めたところで、クレイグは詩に場面引っ張らせるため、動き極力減らすことを望んだしかしながらこのようにクレイグ象徴主義的な美学スタニスラフスキー心理的リアリズムの間には明らかに差があったにもかかわらず2人芸術的な考え共有しているところもあった。スタニスラフスキー・システム象徴主義演劇実験から発展したものであり、それによりスタニスラフスキーアプローチ自然主義的な外面から登場人物「魂」内的世界へ強調の軸を移すこととなった2人とも自作においてすべての演劇的要素統一実現されることの重要性強調していた。1909年2月スタニスラフスキー上演したばかりのニコライ・ゴーゴリの『検察官』についてリュボフ・ギュルヴィッチに書き送った手紙で、「リアリズムへの回帰」を認めているが、このせいで協働妨げられることはないと信じているとも述べている。 もちろん、我々はリアリズム回帰しましたが、もっと深く洗練されていて心理的なリアリズムです。もう少しこれを強めたいものです。そうすればもう一度我々の探求続けられるでしょうこのためゴードン・クレイグ招いたんです。新しい方法模索して彷徨った後、さらなる強靱さのためリアリズムに戻るのです。たとえば印象主義のような舞台におけるあらゆる抽象作用は、もっと洗練された深いリアリズムにより実現できるということ疑い持ってはおりません。他のやり方はみなまやかしで、枯れたものです。 とは言うものの、このシェイクスピア劇の主役に関するクレイグスタニスラフスキー解釈は非常に異なっていた。スタニスラフスキーハムレットについて、行動的エネルギッシュ改革推進するような性格人物思い描いていたが、クレイグはまわりにあるすべてのものに具象化された質料原理との双方破壊もたらす葛藤とらえられ精神的原理象徴とらえていた。クレイグハムレット悲劇行動するというよりは語るものとして感じ取っていた。

※この「上演のコンセプト」の解説は、「モスクワ芸術座版『ハムレット』」の解説の一部です。
「上演のコンセプト」を含む「モスクワ芸術座版『ハムレット』」の記事については、「モスクワ芸術座版『ハムレット』」の概要を参照ください。

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