アーキタイプとは? わかりやすく解説

元型

(アーキタイプ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/09 07:47 UTC 版)

元型的象徴としての天使

元型(げんけい、ドイツ語: ArchetypまたはArchetypus英語: archetype、アーキタイプ)は、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学(ユング心理学)における概念で、夜見るのイメージや象徴を生み出す源となる存在とされている。集合的無意識のなかで仮定される、無意識における力動の作用点であり、意識自我に対し心的エネルギーを介して作用する。元型としては、通常、その「作用像(イメージ等)」が説明のため使用される。

語源

元型(原型とも書かれることがある)は、ドイツ語 Archetyp (または、Archetypus )の訳語。この単語は合成語で、「arche-」はギリシア語 「 αρχη (アルケー)」で「始め・原初・原理根源」などの意味を持ち、他方、「-typ」は、同じくギリシア語の τυπος から来ていて、「刻印」のような原義があり、ここから「類型」という意味が出てくる。

元型の像が神話的で、人類の太古の歴史や種族の記憶に遡るように考えられるので、ユングはこの言葉を、集合的無意識に存在する力動作用を表現するのに採用した(ユングの造語ではない)。この意味を汲んで、「古態型」という訳語も造られたが、現在は元型がほぼ定訳となっている[要出典]

概説

元型を、「像」という言葉で説明するのは、元型そのものは力動作用としてに現れるのであり、意識は、作用の結果生じる心の変化を認識できるだけで、元型そのものは意識できない為である。元型が心に作用すると、しばしばパターン化された「イメージ」または「像」が認識される。

例えば、男性の心に「アニマ」の元型が作用する場合、その男性はに美しく魅力的な「乙女」の姿を見たり、魅惑されたりする。あるいは、これまでは、まったく意識していなかった、少女とか女性の写真絵画、ときに実在の女性に、急に、引き寄せられ、魅惑されるなどが起こる。このように、「アニマ」の元型が作用すると、少女や乙女や女性の像・イメージが、男性の心のなかで大きな意味を持って来る。そこで、このような少女や女性の「イメージ・像」を、「アニマの像」と呼び、説明のために、このような像・イメージをユング心理学では「元型の像」として示す。

このような「元型の像」は、人物の像に限らない。「老賢者」の元型のイメージは、先の尖った峻厳とした高峰や、空を羽搏き飛ぶ大鷲のイメージで出てくることがあり、他方、「太母グレートマザー)」の元型のイメージは、地面に開いた、底知れぬ割れ目や、あるいは奥深く巨大な洞窟のイメージなどであることがある。

元型の種類

ユングの理論において、中心的な意味と働きを持つ元型は、意識の中心としての自我(Ego)の元型と、(魂)全体の中心として仮定される自己(Selbst)の元型である。自我が元型であるということは一般に知られていないが、ユング心理学では、意識のなかに存在する唯一の元型が自我である。

自己元型は自我に作用するが、その作用は、意識において様々に解釈され、また典型的な類型としての作用として意識される。このような類型としての集合的無意識からの作用点が、諸元型であり、ユングは次のような元型を代表的に提唱した。

代表的な元型

  • 自我(エゴ)- 意識の中心であり、個人の意識的行動認識主体である。意識のなかの唯一の元型。
  • 影(シャッテン)- 意識に比較的に近い層で作用し、自我を補完する作用を持つ元型。肯定的なと否定的な影があり、否定的な場合は、自我が受け入れたくないような側面を代表することがある。
  • アニムスとアニマ - アニムスは、女性のなかにある理性的要素の元型で、選択的特徴を持ち、男性のイメージでしばしば認識される。他方、アニマは、男性の心のなかにある生命的要素の元型で、受容的特徴を持ち、女性のイメージでしばしば認識される。ラテン語では、同じ語幹から派生した名詞の男性形と女性形、つまり、animus と anima が、前者は「理性としての」、後者は「生命としての魂」の意味があり、この区別を巧みに利用して、ユングはこの二つの元型の名称を決めた。(アニマとアニムスは総称して、「シュツギー」とも言われる)。
  • 太母と老賢者 - 太母は、自己元型の主要な半面で、すべてを受容し包容する大地の母としての生命的原理を表し、他方、老賢者は太母と対比的で、同様に自己元型の主要な半面で、理性的な智慧原理を表す。
  • 自己(ゼルプスト)- 心全体の中心であり、心の発達や変容作用の根源的な原点となる元型。宗教的には「の刻印」とも見做される。

その他の元型

これら以外にも、神話的な元型が多数ある。

自我インフレーション

集合的無意識の作用点である元型は、膨大な心的エネルギーを備えることがあり、元型の作用があまりに強く、自我が十分に自分自身を意識して確立していない場合、自我は、元型の作用像を自分自身の像と混同し、元型の像に同一化することがある。

例えば、英雄の元型に自我が同一化するとき、自我が自分をどのような役割と考えているかによって、自分自身の認知像の形にヴァリエーションがあるが、いずれにしても、自分が非常に大きな力・権力を持ち、偉大な存在であると錯覚する事態が生じる。これを自我インフレーションと言うが、集合的無意識は、ある場合には、無限のエネルギーを持っているように見えることがあり、その結果、自我のインフレーションは極端化し、自分こそは、世界を変革する英雄であり、偉大な指導者であるなどの妄想的な錯覚が生じることがある。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク


アーキタイプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/31 20:54 UTC 版)

三千界のアバター」の記事における「アーキタイプ」の解説

現在明らかになっている世界の中で最も広大であると同時に過酷な環境により全貌明らかになっておらず、未知の世界暗黒世界とも呼ばれている世界滅びた無数の文明とそれらが残したロストテクノロジーオーパ―ツ眠っており、特にオーパーツは他世界では越界聖具とも呼ばれていた三千界成り立ちにも関わるものも含まれており、三千界の「原型(アーキタイプ)」なのではないかと言われている。

※この「アーキタイプ」の解説は、「三千界のアバター」の解説の一部です。
「アーキタイプ」を含む「三千界のアバター」の記事については、「三千界のアバター」の概要を参照ください。

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