ピアノ・ソナタ第13番
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ジャコブ:ピアノ・ソナタ 第13番 | Sonate pour piano No.13 | 作曲年: 1947年 |
アレクサンドロフ, アナトーリイ:ピアノ・ソナタ 第13番 | Sonata for piano No.13 | |
カプースチン:ピアノ・ソナタ 第13番 | Piano Sonata No.13 Op.110 | 作曲年: 2003年 |
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 | Sonate für Klavier Nr.13 A-Dur D 664 Op.120 | 作曲年: 1819/25年 出版年: 1829年 初版出版地/出版社: Czerny |
作品解説
シューベルト独特の愛らしい旋律に溢れた作品である。彼のピアノ・ソナタの中でも最も親しまれている1曲であろう。作曲年代は1819年夏と25年の説があるが、いまだに結論はでていない(19年説がやや有力か)。なお、いずれの年も、彼は上オーストリアに旅行しており、その地で書き上げたものと考えられる。旅先で知り合ったソプラノ歌手でピアノもよく弾く18歳の娘ヨゼフィーネ・コラーのために書かれたのだという。
後期の同じイ長調ソナタD959と区別して「小さなイ長調ソナタ」と呼ばれるこの作品は、3つの楽章全体に、いわば女性的なやさしい雰囲気が漂っている。しばしば技術的に容易であるとされるが、軽くなめらかな旋律を生かしながら伴奏部と内声をも充実させるのは、必ずしも簡単ではないだろう。
第1楽章:アレグロ・モデラート、イ長調、4/4拍子。ソナタ形式。主題の見事なまでの可憐な調べが印象深い。第1転回形や左手の旋律といった不安定な配置が効果的に用いられているため、解決したときの安堵感がさらに際立っている。
第2楽章:アンダンテ、ニ長調、3/4拍子。両端楽章のはずむようなリズムに比べて、夢想しているかのような静的な雰囲気をもつ楽章。
第3楽章:アレグロ、イ長調、6/8拍子。ソナタ形式。転がり落ちるように始まる冒頭など、軽やかで技巧的な音型の目立つ楽章である。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第13番 変ホ長調 | Sonate für Klavier Nr.13 Es-Dur "Sonata quasi una fantasia" Op.27-1 | 作曲年: 1800-01年 出版年: 1802年 初版出版地/出版社: Cappi |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 1.Adagio sostenuto | 6分30秒 |
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2 | 第2楽章 2.Allegretto | 2分00秒 |
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3 | 第3楽章(第3楽章序奏) 3.Adagio con espressione | 2分00秒 |
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4 | 第4楽章(第3楽章) 4.Presto agitato | 5分00秒 |
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作品解説
ヨゼフィーネ・フォン・リヒテンシュタイン侯爵夫人に捧げられた。ベートーヴェン自身により「幻想曲風ソナタ」 と題されている。また、各楽章間がアタッカで接続されていることもこのソナタの大きな特徴の1つとなっている。第12番に続き、ソナタ形式による楽章を持たない。
第1楽章は変ホ長調で3部形式による。中間部ではハ長調に転じ、テンポがゆったりとしたアンダンテから快活なアレグロへ、拍子も2分の2拍子から8分の6拍子へと移行し、変化に富んだ動きを見せる。
第2楽章のアレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェは4分の3拍子のハ短調で、前楽章と同じく3部形式による。この楽章はスケルツォの雰囲気を備えており、中間部では主調の第6音上の変イ長調に転じる。近親調以外への転調というこの点は、このソナタ全体がアタッカで奏されることと共に、ロマン派の傾向を先取りするベートーヴェンの姿を映し出しているといえる。
第3楽章は、序奏の役割を持つようなアダージョ・コン・エスプレッシオーネ(4分の3拍子で変イ長調)の3部形式に、アレグロ・ヴィヴァーチェのロンド・ソナタ形式(4分の2拍子で変ホ長調)が続く。前者のアダージョは25小節であるが、中間部で属調に転じ、独立した楽章とも捉え得る。そして、続くロンド・ソナタ形式によるアレグロ・ヴィヴァーチェのコーダで、アダージョの主要主題が回想される。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第13番 変ロ長調 | Sonate für Klavier Nr.13 B-Dur K.333 K6.315c | 作曲年: 1783年 出版年: 1784年 初版出版地/出版社: Torricella |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 第1楽章 Mov.1 Allegro | 7分00秒 |
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2 | 第2楽章 Mov.2 Andante cantabile | 10分30秒 |
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3 | 第3楽章 Mov.3 Allegretto grazioso | 6分30秒 |
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作品解説
作品の成立にかんしては諸説あったが、アラン・タイソンの研究によって着手の時期が1783年末頃、リンツにおいてであると同定された。このソナタは、1874年の夏にトリッチェッラ社から、『ピアノ・ソナタ』K.284(いわゆる「デュルニッツ・ソナタ」)と『ヴァイオリン・ソナタ』K.454と共にOp.7として出版された。
1783年の夏、モーツァルトは妻のコンスタンツェと共に生涯で最後となるザルツブルク帰郷を果たし、ウィーンへ帰郷する途中でリンツに立ち寄った。この時『リンツ交響曲』K.425を作曲し、同時期にこのソナタにも着手したと考えられ、完成はウィーン帰着後である可能性が高い。
第1楽章 変ロ調長 4分の4拍子 ソナタ形式
アポジャトゥーラと旋律の下降線が特徴的な主要主題は、楽章全体の性格を決定づけている。順次下降音型によって開始される最初の副次主題(第23小節~)と、分散和音下降を特徴とするもう一方の副次主題(第39小節~)は、主要主題から紡ぎだされたと考えて良いかもしれない。
後半部分(第64小節~)は、主要主題によって属調のヘ長調で開始されるが、すぐにアルベルティ・バスの上に即興的なパッセージが展開する。ヘ短調、ハ短調、ト短調と属調への転調を繰り返し、主調である変ロ長調の属和音へ至る。同主短調の音である変ト音がシグナルのように挿入されつつ、主要主題の再現となる(第94小節~)。2つの副次主題も主調で再現され(第119小節~/第135小節~)、前半(提示部)と同様のコーダ(第59小節~/第161小節~)で楽章を閉じる。
第2楽章 変ホ長調 4分の3拍子
ソナタ形式と同様に属調主題の主調再現を持つ2部分形式で作曲されているが、後半部分は即興的な装飾が施されている。冒頭の主題の中に、第1楽章の主要主題を想起させる順次下降音型が挿入されていることは見逃せない(第3小節第3拍目)。
属調主題(第14小節~)にも、順次下行と旋回音型による装飾が特徴的である。ポルタートによる同音反復の動機は後半部分で重要な役割を果たす。
後半(第32小節~)では、属調主題の同音反復の動機が繰り返しあらわれながら、ヘ短調、ハ短調、変イ長調、変ニ長調を経て、変ホ長調の属7和音へと至る。
冒頭主題が即興的な装飾をともなって再現(第51小節~)した後、属調主題を主調で再現(第64小節~)する。
第3楽章 変ロ長調 2分の2拍子 ロンド形式
最終楽章のロンド主題も、下行音型とアポジャトゥーラによって特徴づけられている。
平行短調のト短調であらわれる主題(第65小節~)にもロンド主題中の16分3連音符による順次下行音型が用いられ、主題の関連性が意図されている。
第112小節から回帰するロンド主題は発展し、即興的なパッセージが展開される。そしてその終着点では、ドッペル・ドミナントから主和音の第二転回形上に停止し、カデンツァが用意されている(第171小節)。
そして再びロンド主題となるが、今度はアインガング(第198小節)が挿入され、コーダとなる。
ピアノソナタ第13番
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