ドイツ歌曲とは? わかりやすく解説

ドイツ歌曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/02 07:29 UTC 版)

歌曲」の記事における「ドイツ歌曲」の解説

一般的に知られるドイツ歌曲は、古典派時代先駆的な作品生まれロマン派時代発展したのであるオペラから切り出したアリア演奏会アリアではなく独立した詩歌音楽付けてひとつの完結した音楽作品としてまとめたものであるオーストリアスイスドイツ語圏など、厳密にドイツ別個の国のものも多く含まれ実態としてには「ドイツ語歌曲」であるが、英語やフランス語異なりドイツ語近隣の同民族間でのみ母国語化しているため、厳密に峻別されることは少ない。その点では「ドイツ文学」や「ドイツオペラ」と同様である。 この背景には、ロマン派文学詩人活躍がある。ゲーテシラーメーリケアイヒェンドルフらの詩作霊感刺激され多く作曲家歌曲取り組み様々な表現創造発展させた。 18世紀末活躍したモーツァルト歌曲は、イタリア・オペラのアリエッタ小規模なアリア)風の作品から始まり単純な有節形式小曲が多いが、ゲーテの詩による『すみれ』、あるいはカンペの詩による『夕べ想い』や、まるでオペラ一場面であるかのような『ルイーゼが不実な恋人の手紙を焼いたとき』などは通作形式作曲され内容的にロマン派世界うかがわせるものとなったベートーヴェンも『はるかな恋人に』で連作歌曲導入したが、ドイツ歌曲は大きく発展させたのはシューベルトである。彼の600曲以上の歌曲作品単独作品のほか、『美しき水車小屋の娘』、『冬の旅』、そして死後出版社がまとめたものではあるが『白鳥の歌』の「3大歌曲集」がよく知られ演奏・録音頻度も高い。他にも、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』による竪琴弾きミニヨンの歌、『ファウスト』に主題得た一連の歌曲知られるが、これらは必ずしも一気書かれたものではない。シューベルト選んだ詩の全体的な気分反映して民謡調で自然や恋を描く曲から近代的な疎外感描いたものまで多様な音楽創造しドイツ・リート確立したといってよい。 その後メンデルスゾーンバラードジャンル知られるレーヴェなどを経てシューマンクララ・ヴィークとの結婚控えた1840年(歌の年)に一気大量歌曲創作したシューマンその後歌曲作曲続けシューベルト続きドイツ・リート世界拡大したシューマン作品シューベルト多く作品見られる、詩から触発され自然に流れ出たような作風異なり、詩の選択分析などで緻密な計算のもとで作曲され、より文学的な傾斜強めている。シューマンはかつてピアニスト志していたこともあり、歌曲のピアノパートが充実していることも特徴一つである。 シューマン見出されブラームスは主に器楽作品知られるが、生涯通じて多く歌曲作品作曲している。交響曲協奏曲同様に重厚な作風と共に平明素朴な民謡調も見せるのが興味深い実際当時民謡ブーム反映したドイツ民謡集』を作曲編纂している。著名な子守歌』『眠りの精』はこの作品集含まれる重要な歌曲作品としては連作歌曲集『マゲローネのロマンス』や、『4つの厳粛な歌』、単独作品として有名なものでは、作品43含まれる永遠の愛Von ewiger Liebeや『五月の夜Die Mainachtなどがある。 ワグネリアンでもあったヴォルフゲーテメーリケアイヒェンドルフなど特定の詩人作品短期集中的に取り組んで歌曲集」として作曲行い、独特の語るような旋律詩の内容鋭く迫る作品残した一方イタリアなど南欧への憧れ反映したイタリア歌曲集』『スペイン歌曲集』では、集中力維持しながらも陽気で開放的な作品見られる。 さらにドイツ・リートマーラーリヒャルト・シュトラウス引き継がれた。マーラー民謡調の詩に好んで作曲し、しばしば作品自作交響曲転用するとともに歌曲自体オーケストラ伴奏のものを多く残したシュトラウス濃厚な後期ロマン派作風反映した作品残したが、晩年の作品では彼のオペラ同様に枯れた印象与える。『4つの最後の歌』の第4曲『夕映えにはそうした諦念示しており、ロマン派幕引きのようなとなった。 他にリストワーグナーフランツレーガープフィッツナーツェムリンスキーシュレーカーなども特徴のある作品残している。 シェーンベルクをはじめとした新ウィーン楽派作曲家達も、初期においては後期ロマン派作風で、後には無調十二音技法によって優れた歌曲残している。また、さらに後の世代の作曲家ではクレネクやハンス・アイスラー、ヘルマン・ロイター(ドイツ語版)が優れた歌曲残している。 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェアリベルト・ライマンのように20世紀後半以降精力的に歌曲作曲した、あるいは現在進行形作曲している人物もいる。21世紀生きる作曲家によって優れた歌曲生み出され演奏会録音重要なレパートリーとなる可能性大いありうる

※この「ドイツ歌曲」の解説は、「歌曲」の解説の一部です。
「ドイツ歌曲」を含む「歌曲」の記事については、「歌曲」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ドイツ歌曲」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ドイツ歌曲」の関連用語

ドイツ歌曲のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ドイツ歌曲のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの歌曲 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS