ジヴラシアを助ける者達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 04:12 UTC 版)
「小説ウィザードリィII 風よ。龍に届いているか」の記事における「ジヴラシアを助ける者達」の解説
アドリアン 「大破壊」を目前としたリルガミンに現れた謎の男。「妖獣」の餌食になりかけたジヴラシアを、未知の魔法によって間一髪で救う。「不死王」に滅ぼされた伝説の「森の彼方の国」ファールヴァルトから来訪したと自称する。ジヴラシア以上の長身で深みのあるバリトンを持ち、人間離れした端麗な容姿を持つ。しかし、肌が日光に弱いらしく、日中は全身に濃い群青のローブをまとい、顔にもベールを被っている。従者にせむしのリフラフを連れている。そのほとんどが謎に包まれた人物で、その考えは窺い知れないが、ふと人間味を帯びた顔を見せることもある。伝説的な魔法の武具をジヴラシア達に提供し、一定時間ある程度の高さ空中に浮かぶことが出来る「浮遊(リトフェイト)」の呪文など、その存在は、ジヴラシア達の「梯子山」登攀や、その後の迷宮での戦いで大いに助けになる。動機は不明ながら、ジヴラシアの「梯子山」登攀への参加依頼に二つ返事で承諾したことから、彼にも何らかの目的があって、「梯子山」の迷宮に入ろうとしているものと思われる。 その正体は『隣り合わせの灰と青春』に登場した、ワードナの側近だったバンパイアロード。ダバルプスが妖術で生み出した吸血鬼(後述)が「不死王」を自称して「梯子山」に潜んでいると知り、その吸血鬼とダバルプスの討伐のためジヴラシア達の冒険行に参加する。この設定は、ゲームの第一作と二作目の『ダイヤモンドの騎士』に登場する同名のモンスターが違う存在であることを述べたもので、一作目のワードナの忠臣だったのが彼、二作目に登場するほうがダバルプスが作り出したものであるようだ。二作目から約100年後の本作でも、ダバルプスはバンパイアロードを作り出して、自分が召喚した怪物たちの統括役にしていた。ダバルプスが生み出した「不死王」を自称する吸血鬼の容貌はアドリアンと、似ても似つかない不気味なものである。バンパイアロードの彼がなぜ、アドリアンを名乗るのか、自分以外に「不死王」を名乗るものを抹殺しようするのかの理由は、短編『不死王』に詳しい。 最大の標的であったダバルプスにも自ら挑むが、その前にアドリアンが偽不死王を消滅させた「不死の呪縛を解く呪法」を、それを遠隔で監視していたダバルプスに修得された上で同じ術を浴びせかけられ一旦は肉体が消滅した。しかし、アドリアンが自ら消滅を望まない限りは、その呪法を使われても滅びることはなく、復活する。ジヴラシアたちによって瀕死に追い込まれたダバルプスが飛び去ろうとした時には、アドリアンの肉体は上半身のみ再生し、ジウラシアの援護を受けてアドリアンはその状態でダバルプスに肉迫し、ダバルプスに突き立てた伸ばした爪から膨大な負の精気を送り込み、その肉体と霊魂を消滅させとどめを刺す。そして、一人崩壊する「梯子山」に残り、ジヴラシアたちにいつしかの再会を期して彼らの脱出を見送る。 エピローグには登場しないが、ジウラシアは、ただ一人の不死者として人の世を見守り続けるアドリアンにも、いつか安らぎが訪れる日が来ることを祈った。 リフラフ アドリアンの従者であるせむしの男性。 リフラフの正体は蝙蝠の獣人(ワーバット)で、作中台詞は全く発しないが、終盤の戦いでジヴラシア達の大きな助けとなる。ダバルプスとの最終戦では、窮地に陥ったアドリアンを助けようとダバルプスに襲い掛かったが、ダバルプスの肉体となっている「妖獣」に喰われて死亡する。 エピローグでは身を賭してパーティを救ってくれた彼への感謝の気持ちとして梯子山の跡地に蝙蝠人の像が建てられた。 パルパ 「梯子山」登頂を成功させるため、マイノスが連れてきた70歳近い老人。リルガミン市から遠く北東に位置する高地の寒村に住んでいたが、天変地異による雷に村を灼かれたためリルガミン市に避難していた。彼らの部族は、険しい高地のみに生息する希少な薬草を売る事のみで生活の糧にしているため、特殊な器具を用いたり、断崖を登るための手足の使い方といったロッククライミングの技術を代々発展させて、伝えている。パルパはその部族の長老で、最も優れた技術の持ち主である。一線は退いているが、体の鍛錬は欠かしたことがないらしく、老人とは思えぬ膂力を持つ。「梯子山」登攀に挑むジヴラシア達にその技術を伝授するが、若いジヴラシア達に山から落ちて亡くなった孫達の面影を見たらしく、自分の前で必ず登頂に成功させてくれと、ジヴラシアと約束する。 エピローグには登場しないが、ジウラシアたちはパルパの誕生日を祝うために集まった。 ニンジャマスター(西風の称号 — マスター・ウェストウインド) かつては、夜に吹く冷たい風を思わせる暗殺者として「ウェストウインド」の異名をとり、「トレボー城塞」で忍者にクラスチェンジしようとする者に訓練をつけていた、ホビットの老ニンジャマスター。しかし平和な時代に過酷な訓練を要する忍者になろうとする者はほとんどなく、自分の技能を埋もれさせたまま老いていくことに対して、失意の日々を送っていた。十二歳のジヴラシアがその門を叩いた時は、冷やかしに来たのかと更に落胆し、気概を持たぬ昨今の冒険者をなじったが、すぐにジヴラシアの秘めた資質を見抜き、ジヴラシアを最後の弟子に取る。それからは山に篭って、食事と睡眠以外は休みなく鍛錬を続ける過酷を極める修行を七年にわたってジヴラシアにつけ、その全ての力と技を伝授する。修行が完成したその日、一人前の忍者となったジヴラシアに満足の行く最後の数年を送ることが出来たと感謝の言葉を伝えた。そして、殺す風にしかなれなかった自分とは違う忍者になって欲しいという願いを込め「自由な風になれ」という言葉を遺し、ジヴラシアに姿を見せないまま、風のように消えて生涯を終える。なお「ウェストウインド」の称号は、ゲーム第4作『ワードナの逆襲』のモンスター名に由来する。 後にマスターの「自由な風になれ」という忠告が、ジウラシアの中の妄執を断ち切る一因となる。
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