グループC用としての開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 01:40 UTC 版)
「マツダ・13B型エンジン」の記事における「グループC用としての開発」の解説
マツダは、耐久レースにREを投入して、REの持つ「耐久性能」を訴求してきた。レーシングREの基本ディメンジョンは、市販REを踏襲して、市販REの性能向上版でレースに参戦して耐久性能をアピールするのが基本戦略であった。 レシプロエンジンの耐久レース版は、スプリントレース用と比較すると大幅にデチューンされているが、レーシングREは耐久レース用もスプリントレース用も基本的には、同一仕様で参戦している。 1976年からFIAは、世界メーカー選手権としての耐久レースを2座席スポーツカーからシルエットフォーミュラに変更した。シルエットフォーミュラのエンジン規定では、「同一の製造者のエンジンであれば他のエンジンの使用が可能」である。 市販のRX-7は、12Aを搭載していたが、この規定によって、13Bの使用が可能となった。 この時代の耐久レース用のレーシング13Bは、富士GC用として開発されたエンジンをベースに吸気用エアクリーナとダイナモを搭載して、エンジン回転数を落として使用した。他のメーカは、自社の保有するベースモデルよりも大排気量エンジンやターボチャージャ付きのエンジンで参戦した。結果としては、シルエットフォーミュラの中では、レーシング13Bは、排気量・出力とも最小なエンジンになり、好成績をおさめることが難しい状況であった。 アメリカのIMSAでは、排気量2,500ccを境界にGTのクラスが設定されている。レーシング13Bを搭載したRX-7は、2,500ccオーバのGTOへの参戦が出来るのでIMSA仕様のRX-7でGTOへの挑戦が始まった。 1982年からFIAは、世界メーカ選手権をグループC規定に変更する。グループCのエンジン規定は、排気量やエンジン型式に関する規定はなくただ燃料総使用量のみでの規定である。翌年の1983年にグループCが2つのクラスに分けられようになった。C1とCジュニア(1984年からはC2に名称が変更)で使用可能な燃料量が異なるだけで、C1クラスは約2km/Lの燃費・Cジュニア(C2)は約3km/Lの燃費が要求された。 マツダは、Cジュニアにレーシング13Bを投入した。基本的には、富士GC用のエンジンと同一であるが燃費改善をする必要がある。最高回転を9,000rpmに抑える同時に機械式燃料噴射と燃費計を設置した。また 電子制御のEGIの投入もおこなった。しかしながら、機械式燃料噴射は、スロットルにスライドバルブを採用しているがこの信頼性に疑問を持ったので、1983年のルマンではWBCに戻している。 燃費計は、従来満タン法で算出していたレース燃費をより精度が高く効率的に算出するために装備した。2個のフローセンサを燃料の送付側とリターン側に装着して、回転パルスを演算して表示するもので、総消費量表示と残量警告機能を持つ。 レーシング13Bの出力では、当時のC1クラスの常勝のポルシェの半分の出力しかなかったので、クラス優勝しか狙えず総合成績では上位進出が難しい状況であった。また C2クラスでも、有力なプライベートチームがC1クラス用に開発された大排気量エンジン(フォード・コスワース・DFL)を入手してディチューンして参戦するようになった。このDFLのディチューン版は、レーシング13Bより高出力で燃費もよく、徐々にとC2クラスのメインエンジンになってきた。 そこで マツダは、総合優勝争いに加わるために、高出力確保策としてレーシング13Bのターボチャージャ化を行なった。 13B-ツインターボエンジン: 1984年9月の富士1000kmにのみ挑戦(結果は、エンジンブローによりリタイヤ) グループCでの総合優勝争いに加わるために、レーシング13Bにツインターボと水冷インタークーラを組み合わせたユニット。この時期は、ターボ車に対するレギュレーションの揺れ動きが激しく、さらにはレシプロより高い排気ガス温度と出力向上による異常燃焼等の信頼性問題と燃費に苦悶することになり、以降マツダは、グループC用レーシングエンジンとして、自然吸気によるマルチロータリによって出力向上を目指すようになった。*エンジン本体・吸気ポート ノック限界の低下のためサイドポート(ブリッジポート)に変更 ・ロータハウジング 異常燃焼発生時のトロコイド変形を最小限に抑えるため、トロコイド面にシートメタルをインサートした量産仕様のアルミダイキャスト品を使用。トロコイド面に後述のアペックスシール用のダイレクト給油システムを持つ。 ・ロータ燃焼室を小さくして、圧縮比を7.5に変更 ・アペックスシール異常燃焼時の折損強度確保のため特殊鋳鉄製の一体型に変更。摺動面に直接オイルが供給されるダイレクト給油システムをロータハウジングに設置 ・インジェクションボッシュの機械式燃料噴射を採用。インジェクションポンプに過給庄補正機構を組み込み、3次元カムでスロットル開度とエンジン回転数により噴霧量を制御する。 *ターボチャージャレシプロより高い排気ガス温度のため、耐熱性の限界に挑戦する形になった。超耐熱材を使用することによって1,000℃の耐熱を確保した。ターボラグを極力削減するため、小型のターボを2個搭載(1ロータで1個のターボを駆動)過給庄:1.2kg/cm2 最高出力:500PS/8,000rpm 最高トルク:45kgf・m/7,500rpm
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