【グァンタナモ米軍基地】(ぐぁんたなもべいぐんきち)
キューバ南東部、グァンタナモ湾にあるアメリカ海軍の基地。
面積は116万km²で、アメリカ南方軍が管理をしている。
1898年に勃発した米西戦争で、スペインに勝利したアメリカはスペインの植民地だったカリブ海諸国を自国の勢力下に入れた。
とくにキューバではアメリカとキューバ間で条約を結び、キューバはアメリカに毎年金貨2000枚を租借料として払うことを条件にグァンタナモ基地の永久租借を認めた。
1953年に起きたキューバ革命以後、政権を掌握したフィデル・カストロは基地の租借は違法だと主張し、基地の返還を要求。
さらに、キューバ危機を経て、1964年にキューバは基地への水の供給を停止。
そのため、現在基地では隣国のジャマイカから水を調達しているが、海水を淡水にするなど、自給自足の体制になっている。
アメリカとキューバは基地の周辺を地雷原としていた。
このため、脱走が不可能な上、マスコミにも基地の実態が見えず、さらにはアメリカの法律もキューバの法律も通用されず、ただ軍法のみが適用されるという治外法権の区域ということで、20世紀後半からハイチやキューバ難民を不法入国者として収容した。
さらに、2002年からはイラクやアフガニスタンなど中東で逮捕したアルカイダやテロ組織関係者の収容施設として使用されており、「グァンタナモ収容所」とも呼ばれる。
拷問と虐待
前述でも述べたように、基地には、中東でのテロの容疑者を収容する施設が設けられ、数百人が拘束されている。
しかし兵士による容疑者への拷問や虐待が繰り返し報告され、ジュネーブ条約での規則が守られていないことから、国連は収容所の閉鎖を勧告。
アメリカの最高裁も2004年と2006年に違憲判決を下したが、「対テロ戦争」と主張するブッシュ政権下では収容所は存続した。
2009年1月、新たに大統領になったバラク・オバマは、早期の収容所閉鎖を目指し、収容所の閉鎖や拷問の禁止など大統領令を布告した。
グァンタナモ米軍基地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 03:44 UTC 版)





グァンタナモ米軍基地(グァンタナモべいぐんきち、スペイン語: Base Naval de la Bahía de Guantánamo, 英語: Guantanamo Bay Naval Base)とは、キューバ東南部のグァンタナモ湾に位置するアメリカ海軍の基地である。管理者はアメリカ南方軍。面積は116平方キロメートル。1903年以来、アメリカ合衆国がキューバより租借している。
2002年から、基地内にアフガニスタンやイラクでの対テロ戦争で拘束した人物を収容するグアンタナモ湾収容キャンプが設けられている。
概要
1898年の米西戦争でアメリカ軍が占領し、アメリカ合衆国の援助でスペインから独立したキューバ新政府は1903年2月23日、グァンタナモ基地の永久租借を認めた。国家主権はキューバにあり、アメリカ合衆国は「租借料」として毎年金貨2,000枚(約4,000米ドル)を支払ってきた。
キューバ革命によって成立したフィデル・カストロ政権は、アメリカ合衆国の基地租借を非合法と非難しており、租借料は一度受け取った以外は受け取りを拒否している。アメリカ合衆国・キューバの双方が基地周辺を地雷原としていた(アメリカ合衆国側は1996年に撤去)。周囲が地雷だらけで脱走が不可能な上、マスメディアにも実態が見えない海外基地、さらにはキューバ国内でもアメリカ合衆国内でもない、国内法でも国際法でもない軍法のみが適用される治外法権区域ということで、20世紀後半からキューバやハイチの難民を不法入国者として収容した。
またアメリカ同時多発テロ以降は、中東などからのテロリズム容疑者の尋問と収容を、この基地でおこなった。その背景は、アメリカ合衆国憲法下では被疑者の人権を保障しているため、租借条約上、米国が完全な管轄権を持ち、かつ米国の主権下ではない「灰色地帯」を利用することをもくろんだものと考えられている[1]。
バラク・オバマ大統領は2008年の大統領選挙において、グアンタナモの収容施設を閉鎖すると公約した。しかし、共和党を中心とするアメリカ合衆国議会議員の反対に遭い、頓挫した[2]。ジョー・バイデン前大統領も任期中の同施設の閉鎖を公言していた[3]が、最終的に閉鎖には至らなかった。
2025年1月29日、トランプ米大統領は、国防総省と国土安全保障省に対して、キューバのグアンタナモ米海軍基地に不法移民を最大3万人収容する施設の設置準備を命令する考えを明らかにした[4][5]。
当基地の敷地内にはキューバで唯一、マクドナルドが存在する。
脚注
- ^ “「シリア撤退」で再燃する「米グアンタナモ収容所」人権問題 フォーサイト-新潮社ニュースマガジン:時事ドットコム”. 時事ドットコム. 2020年12月10日閲覧。
- ^ Dan De Luce (2013年5月1日). “オバマ大統領、グアンタナモ閉鎖へ新たな努力を約束”. AFPBB News 2013年5月1日閲覧。
- ^ “バイデン大統領、任期中にグアンタナモ収容所閉鎖の意向 報道官”. AFP (2021年2月13日). 2021年5月10日閲覧。
- ^ トランプ氏、グアンタナモ米海軍基地に不法移民収容施設の新設命令へ
- ^ 2025年1月30日共同通信
関連項目
- ディエゴガルシア島
- アクロティリおよびデケリア
- トムソン刑務所 - 収容者が移送される予定
- アブグレイブ刑務所における捕虜虐待
- グアンタナモ、僕達が見た真実
- ア・フュー・グッドメン
- モーリタニアン 黒塗りの記録 - 14年間に渡り収監されたものの、1件も起訴されずに釈放されたモーリタニア人青年を題材にした2021年公開の映画。
- ブラック・サイト
- リーワード・ポイント飛行場 - 同基地内にある主要飛行場。
- マッカーラ飛行場 - 1970年代頃から飛行場としては既に使用されておらず、ハイチ難民危機の際に難民キャンプとして使用されるなどしている。
- マリアナ・グラハレス空港 - 同基地の予備飛行場として建設された。現在はグアンタナモ市最寄りの民間空港として使用されている。
- メタルギアソリッドⅤ - グラウンド・ゼロズの舞台として登場。
- A-10 Cuba! - 同基地を含むキューバ東部を舞台としたフライトシミュレーター。
外部リンク
形状 | 領土 | 実効支配している国 | 領有権を主張している国 |
土地: | グァンタナモ米軍基地 | アメリカ合衆国 | アメリカ合衆国・キューバ |
島・水域: | セラニャ・バンク | コロンビア | アメリカ合衆国(合衆国領有小離島)・ニカラグア・ホンジュラス・コロンビア |
ナヴァッサ島 | アメリカ合衆国(合衆国領有小離島) | アメリカ合衆国・ハイチ | |
ノースロック・マキアスシール島 | カナダ | アメリカ合衆国・カナダ | |
バホヌエボ | コロンビア | アメリカ合衆国(合衆国領有小離島)・ニカラグア・ホンジュラス・コロンビア・ジャマイカ | |
アベス島 | ベネズエラ | ドミニカ国・ベネズエラ |
グァンタナモ米軍基地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/15 10:05 UTC 版)
「グアンタナモ湾」の記事における「グァンタナモ米軍基地」の解説
詳細は「グァンタナモ米軍基地」を参照 湾の南部周辺一帯には、1903年の条約によって軍事基地をアメリカが永久租借することになり、以来グァンタナモ米軍基地となっている。 キューバ革命後に誕生したカストロ政権は再三返還要求をしているが、相変わらずアメリカが使っている。
※この「グァンタナモ米軍基地」の解説は、「グアンタナモ湾」の解説の一部です。
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