クモヤ90形
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 20:00 UTC 版)
詳細は「国鉄クモヤ90形電車」を参照 クモヤ90形は、1960年代以降、余剰となっていたモハ72形をベースとして製作された。車両基地内での入換や、回送時の牽引車・控車などに充当されたもので、国鉄工場での改造により36両が製作された。 0番台(90000 - 90022 1966年 - 1969年改造)は、旧63系改造車をベースとしたもので、2段窓化された90001を除き、両運転台化を施された以外は比較的原型を保っていた。本元の63系などが活躍した首都圏・中京・京阪神向けに配属されたが、ATC化の煽りや新性能化などで地方基地への転属や廃車が相次いだ。特に山手線区内ではATC化でクモヤ143形が配属されるとまもなく追われる事となり品川・池袋・蒲田・松戸・大船などに配属された車両がATC装置がない陸前原ノ町・長岡・豊田・武蔵小金井・三鷹・中原・小山・新前橋・国府津・松本・沼津・静岡・神領・大垣・森ノ宮・明石・日根野・奈良・網干・岡山・広島・下関の各区所へと転属している。後述の50番台同様、新性能電車の投入によりブレーキ系統の新旧読替機構を追加工事を受けた車両も多い。ATC区間から追われて、特に東海・西日本地域への転属が多かった地域より順次101系改造のクモヤ145形へ置き換えられて国鉄末期には静岡所の90005と長野所の800を残して廃車された。 50番台(90051 - 90055 1970年 - 1971年改造)は、0番台と同様な仕様だが、ブレーキ系統の新旧読替機構(自動ブレーキ・電磁直通ブレーキ)を追加して保安性を向上したタイプである。 100番台のうち90101(1970年改造)は50番台と同仕様だが、新潟地区での運用に備え、耐寒耐雪仕様となっている。新潟運転所に配属された90101は主に新津車両所への検査入出場の回送控え車として活躍した。当時の国鉄は編成単位ではなく車両単位(MMユニットまたはT,Tc車など)で行われていたのでMMユニット車に関しては後位にクモニ83形を連結していた。 100番台の90102以降および200番台(90102 - 90105, 90201, 90202。1979年 - 1980年改造)は、走行機器・台枠をDT20形台車を装備するモハ72形新製車の末期形から流用、新性能牽引車クモヤ145形同等の車体(塗装は他の旧形電車と同じぶどう色2号で、正面に黄5号の警戒色を追加)を載せた車両である。パンタグラフはPS16形(90102はPS23A形)を搭載する。ブレーキ制御装置も、当時新製されていた近郊形・特急形電車と同様のユニット式に改められている。100番台と200番台の差はジャンパ栓仕様の違い程度である。 800番台は中央本線系統の小断面トンネルに対応した低屋根仕様車。90801(1970年改造)は90101同様の旧63形改造・耐寒耐雪仕様で、前照灯を窓下配置のシールドビーム2灯形とされたのが特徴。屋根全体が一般型より240mm低い。90802 - 90805(1975年 - 1978年改造)はクモヤ90形0番台の改造車で、パンタグラフ部分のみを低屋根とし、低屋根部はヘッドライトを屋根上配置とした。また90803は大糸線での冬季の架線霜取用として前後にパンタグラフを搭載したため、凸形の特異な屋根形状となった。 番号の新旧対照は次のとおり。 クモヤ90000 ← モハ72217 OY クモヤ90001 ← モハ72250 OY クモヤ90002 ← モハ72137 OY クモヤ90003 ← モハ72053 KY クモヤ90004 ← モハ72064 KY クモヤ90005 ← モハ72258 KY クモヤ90006 ← モハ72286 KY クモヤ90007 ← モハ72300 KY クモヤ90008 ← モハ72301 KY クモヤ90009 ← モハ72039 OY クモヤ90010 ← モハ72139 OY クモヤ90011 ← モハ72179 OY クモヤ90012 ← モハ72272 OY クモヤ90013 ← モハ72297 OY クモヤ90014 ← モハ72314 OY クモヤ90015 ← モハ72120 HB クモヤ90016 ← モハ72298 HB クモヤ90017 ← モハ72173 HM クモヤ90018 ← モハ72225 KY クモヤ90019 ← モハ72152 KY クモヤ90020 ← モハ72268 HM クモヤ90021 ← モハ72316 KY クモヤ90022 ← モハ72091 KY クモヤ90051 ← モハ72043 NN クモヤ90052 ← モハ72058 NN クモヤ90053 ← モハ72261 KY クモヤ90054 ← モハ72232 KY クモヤ90055 ← モハ72248 KY クモヤ90101 ← モハ72259 KY クモヤ90102 ← モハ72694 KY クモヤ90103 ← モハ72934 TT クモヤ90104 ← モハ72673 HB クモヤ90105 ← モハ72684 HB クモヤ90201 ← モハ72715 KY クモヤ90202 ← モハ72706 KY クモヤ90801 ← モハ72312 NN クモヤ90802 ← クモヤ90003 NN クモヤ90803 ← クモヤ90015 NN クモヤ90804 ← クモヤ90020 NN クモヤ90805 ← クモヤ90010 NN 牽引用などの用途で、国鉄分割民営化後は東日本旅客鉄道(JR東日本)に800番台3両、東海旅客鉄道(JR東海)に0番台1両・50番台1両、100番台1両、西日本旅客鉄道(JR西日本)に0番台2両・100番台3両・200番台2両が承継されたが、2002年までに廃車となり形式消滅している。 JR東海に所属していたクモヤ90005は、廃車後もJR東海浜松工場で静態保存されていたが、2011年3月14日開館のリニア・鉄道館での展示対象に選ばれ、原型であるモハ63638に復元された上で展示されている。
※この「クモヤ90形」の解説は、「国鉄72系電車」の解説の一部です。
「クモヤ90形」を含む「国鉄72系電車」の記事については、「国鉄72系電車」の概要を参照ください。
- クモヤ90形のページへのリンク