エピソード#16 懺悔室
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「岸辺露伴は動かない」の記事における「エピソード#16 懺悔室」の解説
『週刊少年ジャンプ』1997年30号に、当時連載中のジャンプ作家10名がそれぞれ読切を描く「ジャンプリーダーズカップ」の1つとして掲載された49ページの短編作品。英題は『At a Confessional』。 正確には『岸辺露伴は動かない 〜エピソード16:懺悔室〜』という単発の読切短編であり、シリーズ化と単行本化に際して再編されたものである。設定上は「原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」となっており、巻末コメントも露伴のキャラクターで書かれていた。 『死刑執行中脱獄進行中 荒木飛呂彦短編集』(1999年刊)からの再録である。『死刑執行中脱獄進行中』ではカラーページが収録されているが、『岸辺露伴は動かない』ではカラーではなくなっている。また、再録にあたって露伴の一人称が「わたし」から「ぼく」に変更された箇所がある。 舞台はイタリアのヴェネツィアで、また雑誌掲載時は同『週刊少年ジャンプ』誌上にてイタリアが舞台のPart5連載中、ヴェネツィアでの戦闘の最中でというタイミングであった(長編からはみ出ていたアイデアを短編に使っているのだという)。本作の露伴は特に主人公ではなくナビゲーターであるとされ、スタンド能力を使用などはしない。 あらすじ 怪我をして連載を中断していた岸辺露伴は、休載期間を使ってイタリアへ旅行に行き、ストーリーの新展開のための取材を行っていた。露伴が取材のため『懺悔室』に入ると、ある一人の男が懺悔に訪れる。露伴は自分が誤って神父の部屋に入っていた事に気づくが、「体験は作品にリアリティを生む」と考えたため男の懺悔に耳を貸すことにした。 登場人物 岸辺 露伴(きしべ ろはん) 声 - 櫻井孝宏 本エピソードのナビゲーター。杜王町に住む人気漫画家。ヴェネツィアの教会で懺悔室の取材をしていたところ、罪を犯した男の懺悔を聞くこととなる。 懺悔者 / 若い男 声 - 高橋広樹 本エピソードの主人公。前髪を尖らせて後ろを刈り上げにした髪型の男。下働きをしていた24歳の時に浮浪者を自らの非道な行いから死なせてしまっており、その直後浮浪者の霊に「幸福の絶頂を迎えた時に迎えに来る」と言われ、その後様々な幸運に恵まれるも素直に喜ぶことはできなかった。 そんなある日、娘(声 - 木野日菜)のかわいい仕草を見て幸せを感じていると「幸福の絶頂」を迎えたとして約束通り浮浪者の霊が迎えに現れる。それに逆恨みだと反論したため、霊から「ポップコーンを街灯より高く投げ、それを口で3回連続でキャッチできたら水に流す」と一度だけチャンスを与えられるが、3回目で失敗し首を刎ねられてしまう。 だが、実は殺されたのは自分と同じ顔に整形させた召使いであり、彼自身は整形で召使いになりすまして難を逃れようとしていた。懺悔に訪れたのは身代わりとなった召使いを死なせたことについてであったが、今度は召使いの霊から「娘が幸福の絶頂を迎えた時に迎えに来る」と言われ、さらに不正に気付いた浮浪者の霊からも四六時中付きまとわれることになった。 懺悔室では顔が見えないということからの叙述トリックである。幸福の絶頂に命を狙われる設定は、荒木が父や祖父から言われた「普段、人をあざむいて生活していると一番幸福な時にバチがあたるぞ」という諌めの言葉が参考になっており、荒木はこの主人公について「それでもヘコたれない本作の主人公は好き」と述べている。 浮浪者の霊 声 - 樫井笙人 東洋風の浮浪者の男。餓死寸前の状態で男に食べ物を懇願するも、男から「自分の代わりにトウモロコシの袋を全て運び終えたら」という条件を出され、食べ物を与えられることも無いまま袋を運んでいる最中にその下敷きとなって死亡する。そのとき味わった深い絶望を男にも味わわせるため、男を陰ながら手助けして幸運を与え、その絶頂を迎えた時点で殺害するつもりだった。幸福の絶頂のさなか、男の娘の舌に取り憑いて現れるも、男に逆恨みだと反論され、「ならば運命に決めてもらう」として男に一度だけチャンスを与える。 男は3回目で挑戦に失敗したため約束通り男を殺害して天に昇っていったが、殺された男が身代わりだったことを知ると、また騙されないようにと召使いの霊と二人で男を監視するようになった。 広瀬 康一(ひろせ こういち)、虹村 億泰(にじむら おくやす)、山岸 由花子(やまぎし ゆかこ) 声 - 梶裕貴(康一)、高木渉(億泰)、能登麻美子(由花子) Part4の登場人物。OVAのみの登場。 OVAオリジナルのプロローグにおいて康一は露伴にイタリア語を話せるようにしてほしいと頼み、彼がイタリアに行くことを知った露伴が自身のイタリアでの体験談として本エピソードを語る。 エピローグでは億泰と由花子もいつの間にか同席しており、億泰は悪霊の行動について「悠長なやり方」と感想を述べ、由花子は一生付きまとう霊のやり方を怖がる康一に「もしそうなったら私が追い払ってあげる」とのろけていた。 キャラクターデザインにも若干の変更が行われており、康一はParte5でのデザインに合わせて逆立った髪型となり、由花子も制服のデザインが変わり、『エピソード#08 D・N・A』で身に着けていた「由」の形のブローチを付けている。 また、直接の登場ではないが仗助も話の前置きでワンシーンのみ後ろ姿が描かれている。
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