ゆたかたちの戦跡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 09:43 UTC 版)
「風光る (七三太朗・川三番地の漫画)」の記事における「ゆたかたちの戦跡」の解説
練習試合 123456789計千束1 1 0 1 0 1 1 0 0 5 多摩川2 0 0 0 0 0 0 0 2 4 多摩川のひと夏の奇跡はここから始まった。ゆたかの物まねのセンスを見抜いた君島監督は、4番で投手という過酷なポジションにゆたかを据えた。君島のゆたか起用を失望の目で見る石川を初めとする多摩川メンバー。それでも、ゆたかは重量打線を誇る千束打線を野茂英雄のトルネード投法でわずか5失点に抑える。最後の最後でゆたかは上ずったが、君島監督の「命の注入」で、形だけ似せていた落合打法も次第に落合の性格まで似せるようになり、強豪・千束をあと一歩のところまで追い詰めた。この100日後、多摩川は甲子園出場権を手にする。 南東京大会1回戦(3回コールド) 123計尾山台0 0 0 0 多摩川6 4 6x 16 千束との練習試合以前の練習試合では、尾山台にコテンパンにやられてしまった多摩川。だが、名門・千束と互角に戦ったという自信を持って戦ったことで、今まで散々手玉に取られてきた尾山台のエース・根津を捕らえ、3回コールドで粉砕した。 南東京大会2回戦(7回コールド) 1234567計目蒲1 0 1 0 0 0 0 2 多摩川0 0 0 0 0 6 3x 9 相手は3回戦の常連という目蒲。2点を先制されるが、この試合で課題だった守備を克服。打っては、6回に目蒲のエース・三好の配球と球威の無さを見破り、7回コールドで粉砕した。 南東京大会3回戦 123456789計昭文館0 0 0 2 0 0 0 0 2 4 多摩川0 0 4 0 0 0 0 0 2x 6 元シードの強豪・昭文館の強力打線に対し、ゆたかは山田久志のアンダースローで対抗。相手に揺さぶりをかけられるものの、何とか4点に抑えた。相手の本格派投手・宇童に対しては、一時マウンドから引きずりおろしたものの、スライダーで5回から8回まで完全に封じ込められた。だが最後にスライダーを石川・小暮が攻略。小暮はツーベース性の好打を放つがわざと転倒して1塁に留まり、ゆたかのサヨナラ2ランホームランを呼び込んだ。だが、試合中にゆたかの次の打順の岡田が「ま、ゆたかが一番打点を稼いでいるからいいか」と他力本願的な発言をしたため、試合終了後、君島監督は突然ひとり京都で寺にこもってしまう。 南東京大会4回戦 123456789計本豪学園0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 多摩川0 0 0 0 0 0 0 0 2x 2 君島監督の突然の寺ごもりに、自分たちが見捨てられたと判断した主将の石川は『俺たちだけで合宿をやろう』と決意、実行に移す。4回戦の相手は実力派とも言われる本豪学園。100メートル11秒台の足が速い選手が多く、冷静な昭文館のエース・宇童でさえ混乱してしまったほど。ゆたかは左のクイック投法で本豪学園の機動力を封じる。9回、試合巧者の本豪学園に4番・中江の犠牲フライで先制されるものの、その裏、多摩川ナインは石川・小暮が佐久間のカーブを攻略。合宿を経て意識の変わった岡田がネクストバッターサークルで見守る中、最後はゆたかがイチロー打法でサヨナラ2ランホームランを放った。前試合での岡田の発言から始まった一連の出来事を通じ、他力ではなく自ら判断し実行に移せるチームは強い、ということを多摩川ナインは感じ取った。 南東京大会5回戦 123456789計京浜1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 多摩川1 0 0 0 0 0 0 1 3x 5 5回戦の相手は、甲子園行き確実とまで言われた京浜。エース・島は選抜大会にも出場している、今大会の大本命。最速140キロにも達する速球と、曲がりの大きいカーブが武器。試合巧者京浜が先制するものの、桑田投法と清原打法で京浜に挑むゆたか。1回裏に島のカーブを攻略し、同点に追いつく。8回にはゆたかのツーベースヒットからホームスチールで勝ち越し。9回表に京浜が層の厚さで逆転するが、その裏に島をとらえてチャンスを作ると、抑えの羽田が登場。最速150キロにも迫る速球とフォークで小暮は討ち取られたが、ゆたかに真っ向勝負を挑み渾身の速球で臨んだ羽田は、ゆたかに走者一掃となるタイムリースリーベースヒットを打たれてサヨナラ負け。胸を借りるどころか大金星をあげた多摩川は、その後準決勝で千束にサヨナラ勝ちし、決勝で南東京の雄と呼ばれる有明を倒し、甲子園出場を決めた。 南東京大会準決勝 123456789計千束0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 多摩川0 0 0 0 0 0 0 0 3x 3 南東京大会決勝 123456789計有明0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 多摩川0 0 0 1 0 0 2 0 X 3 甲子園大会1回戦 123456789計村上学園1 1 0 0 0 0 1 2 0 5 多摩川3 0 0 0 0 0 0 0 5x 8 四国一の怪腕・大石を擁するAランク高校の村上学園。思い切った野球をし、多摩川を翻弄しようとするが、多摩川が重視する打線のつながりと大石の傲慢な精神がもとで、ゆたかに3ランを浴びることとなる。ゆたかは気温40度に達しようかという暑さの中踏ん張り、2回以降は村上学園に点を与えなかったが、村上学園は8回表に強引に2点を奪って勝ち越す。その裏、多摩川も強引に点を取ろうとしようと意識しすぎたか、村上学園の策にはまってしまう。だが、9回の伝令で「身の丈の野球だね」と言う君島監督の言葉からつなぐ意識を思い出し、再び打線のつなぎを意識して着実に点を取る。最後はさしもの大石もゆたかを色眼鏡で見てしまい、ゆたかは松井の物まねでサヨナラ満塁弾を放った。 甲子園大会2回戦 123456789計多摩川1 0 3 7 0 0 0 2 0 13 関大淀川0 1 5 0 0 0 3 1 4x 14 相手は優勝候補の関大淀川。「1イニングビッグバン打線」と呼ばれ、1イニングで6点以上を取ったり、1試合で7点以下の得点だった試合はないなど、数々の武勇伝を持つ強力打線と、「ヤマスケ」こと今大会屈指の好投手のエース・山口大輔を擁する。ゆたかをはじめとする多摩川ナインは、ボールを水で濡らし、雨が降った時の練習をするなどして雨対策を万全にして、試合に挑んだ。試合前、「雨が降ったら間違いなくこちらの勝ちです」と話した君島監督。試合では、つなぎの野球の集大成ともいえる「ONE FOR ALL、ALL FOR ONE(みんなは一人のために、一人はみんなのために)」野球で、同点に追いつかれても再び勝ち越す展開に。3回裏、ボール球を強引に打たれるなどして5点を奪われるものの、4回表にはぱらついてきた雨を利用し、スクイズ、ミートヒッティングの後、ゆたかの2試合連続満塁弾が飛び出し、一挙7点を奪う猛攻で逆転。その後、ゆたかはすっぽ抜けを上手く利用して関大淀川打線を翻弄する。7回裏には関大淀川打線に対し、1死1・2塁で赤井がヒットに徹したところ、外野をセンター・佐々井だけにして他の選手は全員内野を守らせるなどしたが、タイムリースリーベースヒットを打たれ、その後もヤマスケのスクイズで2点差にされる。その後多摩川は2点を入れて突き放すが、関大淀川は8回裏に1点を加えた後、9回裏に赤井が今日3本目となるサヨナラ満塁ホームランを放ち、土壇場で多摩川をうっちゃった。しかしこの激闘の代償は関大淀川にとっても大きく、関大淀川は3回戦で敗退。大会終了後、ゆたかは主将となり、チームを引っ張ってゆくこととなる。
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