すずらんの花言葉
すずらんは幸せや愛や喜びを象徴する花として広く知られ、親しい人や愛する人への贈り物とされたり、出会いの場に添えられたりすることが多い。花言葉もそれにふさわしく、あふれる幸せを感じさせるものが多いことが特徴である。
すずらんの花言葉の由来
(1)すずらんの見た目からつけられたという説緑色の大きな葉に包まれるように、真っ白で可憐な花を咲かせる姿がつつましさを感じさせ「純粋」「謙虚」「清楚」という花言葉がつけられたと言われている。また、すずらんの花の付き方が「妖精の階段」や「天使の階段」「ヤコブの階段」と呼ばれる所以から「幸せ」「幸福」の花言葉がついたという説もある。さらに、すずらんは一日中日が当たる場所よりも、半日陰の環境を好むことからも「謙遜」の花言葉が由来しているといわれている。
(2)花の季節からつけられたという説
すずらんは主にヨーロッパやアジアの高原地域に咲く花であり、それらの地域では厳しい冬の寒さを経験するため人々にとって春は待ち遠しく喜ばしいものである。早春に花を咲かせ春の訪れを告げるすずらんは人々にとって幸せの使者であり、そんなところから「幸せの再来」という花言葉がつけられたといわれる。
(3)フランスの風習からつけられたという説
すずらんはフランスでは「ミュゲ」と呼ばれ、5月1日は「すずらんの日」として親しい人にすずらんを贈りあう風習がある。その起源は、1561年5月1日フランス国王シャルル9世がすずらんをプレゼントされたことから。すずらんをことのほか喜んだ国王は宮廷の貴族たちに喜びのおすそ分けとしてすずらんをプレゼントしたと伝えられている。のちに広く民衆にも伝わり、5月1日は互いに喜びを分かち合う意味を込めてすずらんを贈りあう日となった。この日にすずらんを贈られた人には幸せが訪れるというジンクスが生まれ、すずらんに「幸せ」「幸せの訪れ」の花言葉がつけられた。
また、5月1日が「愛の日」でもあることから、すずらんの花言葉に「愛を告げる」「結婚」という言葉も加えられ、特にヨーロッパでは愛を象徴する代表的な花として大切にされ、結婚式に花嫁にすずらんを贈る風習もあり永遠を誓うことから「約束」の花言葉もある。すずらんの花言葉に恋愛成就や縁結びとしての意味合いが強いのは、中世ヨーロッパでは鈴蘭舞踏会が開かれ女性は白いドレス、男性は正装にすずらんを身に着けてパーティーを楽しんだことも理由の一つとして挙げられる。すずらんの清楚で上品な印象が上流階級にも好まれ出会いの場に一役かっていた歴史が垣間見られる。
(4)香りからつけられたという説
バラ、ジャスミンと並び、三大フローラルとして香りも楽しむことができるすずらん。すずらんの香りは豊かで優しさを感じさせることから、「好きな人に振りかけると恋が叶う」といったジンクスがある。このようなジンクスから「愛の告白」など愛や幸せを願う花言葉がつけられたといわれる。
(5)聖母マリアの花の象徴としてつけられたという説
イエスが十字架で磔刑となったとき、そばにいたマリアが涙を流し、地に落ちたその涙がすずらんとなったという言い伝えがあり、「聖母マリアの涙」と呼ばれることもある。聖母マリアの象徴としてのすずらんの花言葉には「純潔」「優しさ」「純愛」などがあるが、意味合いはマリアのイエスを想う優しさだけでなく、人々の母としての優しさや深い愛情、そして、教徒がマリアを慕う純粋な愛情などをあらわしているとされている。
(6)ギリシャ神話からつけられた説
すずらんにはギリシャ神話にも伝説がある。森の守護神であるセント・レオナードが森に出かけていき道に迷い一匹の大蛇に襲われる。3日の死闘ののち大蛇を倒したレオナードは、自分も深い傷を負い草の上に倒れこんでしまうが、そこへ森の妖精が現れ、常々森を守り大蛇を倒してくれたレオナードへの感謝をこめて、倒れたレオナードの周りに埋め尽くすほどのすずらんを咲かせ負った傷を癒したという。この伝説からも互いへの深い愛情や純粋で清らかな思いが読み取られ、すずらんの花につけられる花言葉の意義をみることができる。
すずらんの英語の花言葉
「return of happiness(再び幸せが訪れる)」「sweetness(優しさ、愛らしさ)」「humility(謙遜)」「purity(純粋)」日本と共通した花言葉が多く、すずらんのつつましい姿や愛らしさからつけられた花言葉が多い。季節的にもブライダルシーズンに咲くすずらんはブライダルブーケとして使われることも多く、純真無垢な花嫁を象徴する花言葉が多くみられる。「humility(謙遜)」については、花がうつむき加減に咲いている様子からつけられている。うつむいているにも関わらずマイナスな印象を感じさせないのは、すずらんの白さが潔癖さや清潔感を感じさせるためであり誠実な男性に贈る花として好まれるのも花言葉に象徴される謙遜さや純粋さが理由となっている。
すずらんの色別の花言葉の解説
「白色」…「純粋」「純潔」「清楚」。一般的に白い花には「純粋」「清楚」という花言葉が付けられることが多い。また、すずらんの真っ白で無垢な花は「まだ何にも染まっていない」という純粋さがあることから、「希望」「未来へ向かう」という花言葉もある。「ピンク色」…すずらんは白の花のイメージが強いが、実はピンクの花を咲かせるものもある。ピンクのすずらんの花言葉は「可愛らしい」「愛らしい」であり、姿の可愛らしさそのものが花言葉となっている。丸く連なる愛らしい花は花言葉とともに女性へのプレゼントとして好まれる。
「緑色」…日本に自生する緑色の「エゾスズラン」というスズランがある。このエゾスズランはラン科であり、実は一般的に知られるユリ科のすずらんとは別種である。エゾスズランの花言葉は「芯の強さ」「夢でもあなたを想う」である。
すずらんの本数別の花言葉の意味
すずらんには、バラのように本数ごとの意味は特にないが、一本に13個の花がついたものは特に幸運を呼ぶとされている。すずらんの怖い花言葉
愛らしい姿とは裏腹に強い毒性を持つすずらんは、その二面性から毒気のある花言葉を連想されることもある。実のところすずらんにはそのような花言葉はなく、すずらんに似た「スノードロップ」の花言葉がすずらんの花言葉として誤用されたと考えられている。しかしながら、愛や幸せをもたらす花として知られるすずらんにも悲しい伝説があり、そこからつけられた花言葉も存在する。アイヌの赤いスズラン伝説という伝説がある。アイヌの酋長の娘のカパラペと村の勇敢な若者キロロアンは互いに深く愛し合い、いつまでも一緒にいようと約束を交わす。ある日キロロアンは毒矢を持って森へ熊狩りに行き、毒矢で熊の足を仕留めた。すると熊は唸り声をあげキロロアンに襲い掛かってきた。キロロアンは応戦し、毒矢と腰につけていた短刀で熊を倒しはしたが、キロロアン自身も脇腹に深い傷を負い大量の血を流し倒れて命を落とした。キロロアンが戻らないことを心配し森にやってきたカパラペは、息絶えたキロロアンを見つけ張り裂けんばかりに泣き崩れ、愛する人のもとへ行こうとキロロアンの残した短剣で自分の喉を刺し死んでしまう。カパラペとキロロアンの周りに咲いていたスズランの花は二人の血潮で真っ赤に染まり、それ以来その場所には赤いすずらんが咲くようになったという。この悲しい物語から「約束」や「純愛」の花言葉がつけられたという説がある。
※ 花言葉の内容は諸説あります。
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