未確認飛行物体 UFOの正体についての諸説

未確認飛行物体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/26 17:57 UTC 版)

UFOの正体についての諸説

これら諸説は、いわゆる「超常現象としてのUFO」の存在を肯定して、その正体について言及するもの「超常現象としてのUFO」の存在を否定して、現在の人類が知り得る科学的知見の範囲内で説明するもの(誤認説など)と、2通りに大別できる。

タイムマシン説

「UFOは未来の人々が開発した、時間移動を行うために使用する乗り物(タイムマシン)である」とする説。UFOが消えたり現れたりすることを空間移動ではなく時間移動と解釈する。

フランスのUFO調査機関であるGEPAN英語版の設立者ルネ・フーエルは、UFO搭乗者が一般的に人類との接触を避けているのは、彼らが未来人でありタイムパラドックスを避けている可能性があると述べている。

歴史上の重要な時点でUFOが目撃されることがしばしばあるが、これは未来人が過去の重要な場面を選んでいるからだという推測もある。例えば20世紀直前の時期には飛行船が将来に実用化されると考えられていたが、当時のUFOは飛行船の形態と似ていた。第二次世界大戦中には爆撃機のマーカーとして輝くキャンドルが使用されたが、当時のUFOは発光する球体の形をしていた。第二次大戦後の1946年にはロケットの形をした「ゴースト・ロケット」が世界を騒がせた。1990年代には米国のステルス戦闘機を真似た三角形型のUFOが目撃された。これらの物真似はその時代にどういった種類の飛行物体が製造されるのか前もって知っていなければ不可能である。

UFOと遭遇し20分間行方不明になっていた男性が、発見された時は5日分のヒゲが伸びていたというケースがある。UFO搭乗者が、地球の言語を話したり、地球製の衣服を着ていたり、地球の食物を食べていたという事例も見られる。また極まれに搭乗者が目撃者に対して「今は何年か?」と尋ねたり、未来の地球からやってきた、と証言するケースもある。UFO搭乗者の姿は、背が低く頭の大きな子供のような姿で描写されることが多いが、これはネオテニーが進んだ未来の人類の姿であるという推測もある。

この説に関しては物理的な根拠、証拠は一切示されていない。

HISTORYチャンネルの「古代の宇宙人」シリーズでは古代宇宙人の来訪だと主張するジョルジョ・ツォカロスの説が紹介された。

イタズラ

「UFOを写した」とされる写真の中には、人工物や自然現象の誤認の他に、模型光学合成による作り物が多いことも知られている。近年はコンピュータグラフィックスによってかなりリアルな画像を捏造するケースが多い。安価なカメラを用いても、トリックをうまく計画すれば、超常現象雑誌に掲載されるレベルの完成度の高い画像を作ることは可能である。「本物」とされ繰り返し出版された写真の中にも、後年になってトリックを見破られた例は多い。

なお、UFOのトリック写真には以下のものが多い。

吊るし型
ピアノ線など極細い糸を使ってUFOの模型を吊るし、それを撮影する。きわめて初歩的な技術であり容易さのために多用されるが、簡単に見破ることができる。スペインの「ウンモ星人」の円盤の例が有名(画像処理により、吊るしていた糸が見えた)[54]
投擲
金属製の灰皿、タイヤのホイール、CDなど円板状のものを投げ、それを撮影する。うまく撮影するためには熟練を要するが、雑誌に掲載するのには十分よい写真が取れる。
合成型
別々の写真を合成するもの。コンピュータが普及したことで合成が容易になった。熟練技術があれば動画も作れる。
投影型
強力な映写機や投光器を使って夜間、雲に光を当てる。UFO自体に人造物を使ったトリックではないために技法や造形の不自然さを見抜かれる危険は少ないが、強力な光源を用意しなくてはならないため、費用がかかる。自動車のライトが反射したものや、投光器などの投影光が誤認される例も多い。
その他
その他に窓ガラスにUFOのシルエットを模したシールや紙の切り抜きを貼り、ガラス越しに外の風景を撮影する、という方法がある。安易な手法であるが、よほどうまく作らないとよい写真は取れない。

この他に気球を上げるなどの方法もある。これらは故意によらず誤認されることがある。マンテル大尉事件がその一例。

クロップサークル(ミステリーサークル)がUFOのような光によって作成されていたり、クロップサークルの近くをUFOが飛んでいたりする目撃談があることから、クロップサークルとの関連も考えられることが多かったが、クロップサークルの多くはイタズラであったと後に判明している。その典型がイギリスのダグ・バウアー(Doug Bower)とデイブ・チョーリー(Dave Chorley)である。この2人はミステリー・サークルの最初の製作者として名乗りを上げ、簡単な道具と人力によって立派なミステリー・サークルが比較的短時間で作れることを実演してみせた。この実証により、現在ではミステリー・サークルは人間によるイタズラと見なされるようになった。1990年9月17日、福岡県糟屋郡篠栗町の稲田で直径20メートルと5メートルのサークルが出現し、全国ネットのニュース番組で取り上げられた。篠栗町ではミステリー・サークルのテレホンカードを売り出すなど、町おこしに活用している。それをきっかけに2か月間に福岡県と佐賀県で5箇所で10個のサークルが出現するなど日本各地でミステリー・サークルが発見され、マスコミでも大きく取り上げられた。しかし、1991年10月、福岡県内で窃盗の常習犯として警察に検挙された高校生12人のグループが、篠栗町ミステリー・サークルを作ったのが自分たちだと自白し、いたずらと判明。この報道以降、日本におけるミステリー・サークル発生報告はほとんどなくなりブームは鎮静化した。

組織的捏造説

一部の軍事評論家は、UFOの目撃談は軍事組織情報機関によって捏造された物であると主張している[55]。これらは最新ドローンやステルス攻撃機の目撃談、政府による極秘の宇宙開発プロジェクトや軍部独自の地球外生命体探査など重大な機密が世間やスパイに漏れるのを防ぐため、敢えて超常現象としてマスメディアを通じて喧伝けんでんしたり噂話を増長させることで肝心な部分から目をくらます欺瞞ぎまん工作であるというのだ。地球外の古代遺跡やタイムマシン、古代文明人の来訪など捏造自体はそれと証明された物が多いが、これらに軍や情報機関が関与している証言や物証は乏しく陰謀論から抜け出すものではない。ただし、エリア51のように、秘密兵器の研究基地であることがわかっている場合もある。テレビ局が超常現象を扱う人気番組を作るために故意に物語を捏造したり、偶発的に起こった騒ぎを利用したり誇張したりする場合もある。(→#ヴァルジーニャ事件

精神投影説

UFO現象のうちいくつかは、それが起こる直前から無名のSF作家たちにより人知れず予想されていたケースがある。また超現実的で夢のような性質をもつUFO遭遇事例も多く、UFOの搭乗者が無意味な行動を取ったり、地球上の衣服を身に付けていたり、当時流行していたサイエンス・フィクションの影響を受けている事例もある。これらから、UFOは人間の無意識が投影されたものであるとする見方がある。

ただし、UFOや異星人という概念自体が深層意識においてさえ存在しない時代の目撃例は、この説では説明がつかない。(→#9世紀のUFO搭乗事件

秘密兵器説

自国を含めて、地球上のどこかの国の軍部によって秘密裏に開発されている戦闘機や兵器ではないかという説。冒頭で述べた通り、UFOの正体についての諸説は、いわゆる「超常現象としてのUFO」の存在を肯定するか否定するかで2通りに大別できるが、本説はその両者を含む。つまり従来の科学的知見を超えた秘密兵器を誰かが極秘裏に開発しているのではないかという主張と、単に見慣れない格好の航空機を誤認したに過ぎないという主張である。

新兵器を誤認したという観点では、例えばアメリカ軍であれば、XF5UフライングパンケーキYB-49F7UカットラスF-117ナイトホークなどの航空機が候補にあげられる。一般人からすると形状が奇妙だったり開発・運用が秘密だったりする。これらの機体は「UFO」であり正体を明かされていない飛行物体である。それらの新型機はいずれも民間空港で見慣れた形態ではなく、全翼機などの近未来風のSF戦闘機を想起させる形状をしており、常識を超えた速度(目視による速度の見積もりは問題が多い)で飛行できるなど、超常現象としてのUFOの目撃例と類似した点が見られる。実際、アメリカのネヴァダ砂漠にある空軍基地エリア51は、新型飛行機を含めた新兵器が開発・訓練するための基地である。当然のことながらこれらは軍事機密である。マンテル大尉事件においては、海軍が開発していたスカイフック気球を誤認したというのが、有力な説かつ空軍による公式見解であるが、当時のスカイフック気球は海軍の機密事項であったため、その存在を知らない大尉にとっては本来の意味においての「未確認飛行物体」であった。また実際に電波をすべての方向に均等に反射する目的で、円盤型の実験機が1950年代に製作されたこともあったが、空力的安定性があまりにも悪いために実用化には失敗した。

東西冷戦期には「ソ連の新型機」ではないかという説も盛んに主張された。確かに冷戦時代のソ連にはTu-95Tu-160などの爆撃機をベースに改造された超長距離偵察機なども配備させていた。現在もロシアにそれらの機種は存在し稼動中である。これらは、しばしばアメリカ本土付近に現れ防空識別圏に侵入し、挑発的偵察活動を行った。日本付近にも現れた記録がある。2013年3月には、ロシアのSu-27戦闘機2機が北海道北部にある利尻島の日本領空に出現した。これらの偵察機は、米軍機や航空自衛隊など西側諸国の空軍機によって確認された場合もあったが、目視確認される前に飛び去った場合も多々あった。戦闘機が超音速で飛行できる時間はごく限られているので、亜音速偵察機でも時間に余裕があれば邀撃機に捕捉確認されずに十分遠方に逃亡できる。

また、2021年ころより、米国連邦政府機関(国家安全保障局中央情報局、第16空軍、国防情報局など)は、UAPが「中国が開発する新型無人兵器、自律型AI兵器」である可能性も含め、その正体や物体、現象を検知し分析する調査部会「AOIMSG」を設置した[56]。米国のインテリジェンスコミュニティーだけでなく、エネルギー省の研究機関やDARPA,IARPA、その他Palantirといった民間機関とも情報を連携、協力して調査を進めると言う。ファイブアイズに所属する英国やカナダとも情報を共有して未確認空中現象を検証する。

地球外生物の来訪説

この説は海外では古代宇宙飛行士説とも呼ばれており、一般に認識されている宇宙人もしくは何らかの未知の生命体が地球内に飛来して来た時に、地球人には彼らの乗り物が「UFO」として認識されているという説である。陰謀論を主張する者は世界各国の政府はこれらの重大な事実を認識しながら、一般市民によるパニックやエネルギー問題などの社会構造の大転換を恐れて隠ぺいと事実の否定を繰り返しているという。この議論は物理学者からSF作家までさまざまな立場の人物が情報を提供したり、宇宙人の存在の可能性について指摘している。

NASAのような公的な宇宙研究機関の職員や米軍関係者、民間の軍事テクノロジー企業の技術者も引退後、ある程度の年月が経ってから宇宙人関連の機密情報を暴露した、もしくは死の直前に「地球外の文明」や「他の惑星の物質」に言及しているケースは多々見受けられる。有名な例が宇宙飛行士のエドガー・ミッチェル大佐やロッキード・マーティン社の上級エンジニアだったボイド・ブッシュマン博士である。彼らは生前、主にグレイと呼ばれる生命体について語っていて、彼らが知っている範囲の生物的な特徴や嗜好、知能レベルについて暴露している。

世界の大国の国防機関や最先端の研究機関には機密の漏洩に関して厳しいルールが存在し、機密漏洩の誓約書に反する行為に抵触した場合、厳しい罰則や禁錮刑が科せられる場合がある。[57]この条件下でエドガー・ミッチェル大佐やボイド・ブッシュマン博士は職業やプロジェクト勤務前に機密の漏洩に関する誓約書に署名をしていると思われ、未知の生命体グレイと接触し、国家最高機密レベルの仕事に携わったとしても、こういった極秘の宇宙開発のプロジェクトの全貌や地球外生命体の存在の可能性については、死を悟る直前まで黙秘を貫いてきた理由だと個人による情報配信サイトや一部のマスコミは指摘している。

グレイ型宇宙人の出身星に関する憶測については、アマチュア天文学者で作家及びオハイオ州で小学校教師をしていたマージョリー・フィッシュ( Marjorie Fish)はグレイ型宇宙人に誘拐されたとするヒル夫妻誘拐事件に興味を持ち、独自の調査を行った結果、「グレイ」の故郷はレチクル座ゼータ星から来ていると結論付けた。またUFO研究家であり作家のミルトン・ウィリアム・クーパーは、一部の政府機密文書の入手と関係者への取材による調査によってつかんだ事実として、グレイにも数種類のグループがおり、そのうちの「大きな鼻のグレイ型宇宙人 (large nosed gray aliens)」の出身惑星はオリオン座ベテルギウスであると述べている。これらの説を検証するため、FBIは一部のUFO事件とされる事案を扱った例があり[58]、大学の宇宙研究所から民間企業まで宇宙生物学的観点から宇宙探査SETIへの新規参入など様々な研究機関で地道な研究が行われているのが現状であり、公的な研究機関や世界各国の政府が地球外生命体を公式に認めた例は現時点では存在しない。

陰謀家のデイビッド・アイクは、地球には爬虫類型の宇宙人「レプタリアン」も既に地球に来ていると主張し、このレプタリアン達は普段ホモサピエンス科の人間に成りすましていて、世界各国の政治・経済界の指導的立場に就いて、世界を支配しているという。このレプタリアン説は一部の陰謀論者から熱烈な支持を得ている。

先ほどの「グレイ陰謀論」「レプタリアン陰謀論」に比べ考古学と宇宙人の来訪を結びつける要素が強いのが「古代宇宙飛行士説」と呼ばれる一部の作家の憶測や研究者による検証方法である。ギリシャ国籍の作家ジョルジョ・ツォカロスやスイスの歴史作家エーリッヒ・フォン・デニケンなどの作家は地球外生命体が紀元前から地球に来訪していると主張している。その根拠となるのは古代メソポタミア文明やマヤの遺跡から発掘された古代の文書や絵画で、そこには、その時代には存在し得なかった奇妙な物体や風景が描かれているという。日本においても古代宇宙飛行士説があり、『竹取物語』も完全な実話であり当時の地球にやって来た宇宙人が物語(記録)に登場していると作家の小泉芳孝は主張している。

宇宙物理学の分野においては、過去にブラックホール特異点定理の理論を確立したスティーヴン・ホーキングは「UFOは宇宙人の乗り物ではない」という見解を示しながらも[59]、地球外生命体と地球人類が接触することへの危機感をメディアで表明した[60]

NASAエイムズ研究センターに勤める日本人研究者の関根康人タイタンにおける潮汐加熱によるハビタブルゾーンの可能性も指摘しており、現実にイオエウロパでは潮汐加熱が大きな熱源となっていることから、窒素メタンで構成される厚い大気に覆われ、液化したメタンの雨が降り、川や湖を作るのみならず、温度の状態が安定していることを鑑み、さまざまな仮説をもとに地球外生命体の存在の可能性を指摘している。

このように一部の陰謀論者や宇宙研究者が地球外の脅威と未知の文明、地球上における生命の起源を結びつけた仮説を打ち立てた結果、今現在、問題になっている未知の飛行体の存在とアメリカ国防総省によって科学的分析が行われている謎の空中現象に関してのさまざまな憶測が、娯楽としてSF映画などの題材になっているのが現状である。

異次元からの飛行物体説

UFOは隠れた現実である「異次元」から来ているとする説。「精神投影説」のように、UFOを「心理現象」であると解釈してしまうと、UFOの着陸跡(焦げ跡など)やレーダー上の航跡、アブダクションされた人々の手術痕などの物理的痕跡の説明がつかない。そこで人間の意識が投影された異次元が存在することを想定し、そこからUFOが現れると推測する説が成り立つ。「UFOが地球外の物であることを示す証拠は何もないが、時空を超越した異次元からきている証拠は山ほどある」と研究家であるジャック・ヴァレは指摘しており、ジョーゼフ・アレン・ハイネックは、UFOが突然出現し、忽然と消え去る現象が多数目撃されているため、それらは他の惑星からやって来たものではなく、異次元からやってきたものではないか、とコメントしている。

しかし、UFOを遠い星系から飛来する宇宙船であるとする説やタイムマシンであるとする発想から見ても、星間旅行や時間旅行を同種の技術で実施している可能性があり、それらの説と重複しているとする面がある。

ノンフィクション作家のマイケル・タルボット英語版は、現実とは決して客観的なものではなく人間の精神が生み出す間主観的なホログラムである、と述べたうえで、ホログラフィックな別次元からUFOが現れるのではないかと推測している。

宇宙の力を全て統一的に記述できるとされる「超弦理論」では、プランク長以下の極小空間に、隠れた6次元が存在するとされている。その隠れた6次元を構成する幾何学構造は、他のDブレーン(多宇宙)とつながっていると主張する物理学者もいる。

また、地球外生物説と重複してしまう可能性があるが、シミュレーション仮説との関連性も指摘されている。この世界を作った「上位管理者が何らかの形で介入した結果がUFO現象として現れている」という可能性を米国の愛好家の中で提案されている。

神秘体験説

変性意識状態に入った人間がUFOとの遭遇を異次元にて起こした、と解釈する説。UFOとの遭遇時には体外離脱を経験する者も多く、そうした例では何らかの変性意識下の状態にあったと推測される[35]。(→#アブダクション(第4種接近遭遇)

臨死体験研究者であるケネス・リング英語版やハーバード大学の宗教学教授であるキャロル・ザレスキーによれば、UFOとの遭遇はシャーマンが隠された次元に旅する時に遭遇する神話的な現実と似ているという。研究家のダニエル・ピンチベック英語版は我々の世界に別次元から干渉している妖精や異星人などの存在が太古から存在し、シャーマンのような特殊な資質をもった人間だけが彼らを知っていたのではないか、と述べている[61]

臨死体験説

立花隆によれば、臨死体験を経験した後に、UFOと遭遇する者は少なくない[62]臨死体験の研究者であるケネス・リングが収集した事例では、その体験が臨死体験なのかUFO遭遇体験なのか区別できない事例が複数あったという。

一例として、ニューヨークに住むある女性が腫瘍で倒れ、体外離脱を経験した後に、気が付けば宇宙の施設内の手術台の上にいたという事例がある。女性が窓から宇宙を眺めていると「7人くらいの背の高い痩せた何か」に囲まれ「それ(腫瘍)はもうなくなった」と告げられた。女性の意識が地球に落下していき、肉体の中に戻ると、腫瘍が消失していることに気付いた[35]。臨死体験説は矢追純一によるUFO番組特集でも取り上げられ話題になった。

誤認説

幻覚
UFOやその搭乗者などの目撃は、幻覚の類のものであるという主張がある。この説の問題点は、多くの者が同時にUFOを目撃したケースや物的痕を残したケースを説明できないことである。
例えば報道などにより集団幻覚が誘発できるとしても、その目撃場所にはあまり偏りが生じないと思われる。実際は物体の直線の飛行経路数十km以上にわたって目撃を追跡できる事例がある。幻覚であれば直線に沿って起きることはない。
ここで言う幻覚とは、文字通り覚醒剤などによるものである。
人工物
遠くの車のヘッドライト、夜間に飛行する飛行機やヘリコプターなどを誤認したという説。不規則に明滅する人工衛星も誤認されやすい。これらが偶然に平行して移動していればより「本物」らしく見える。車のヘッドライトなら目撃者との間に木などの障害物があれば、不規則に明滅したり、瞬間的に消えたり現れたりしているように見える。複数台の車が通れば急速に左右に動いているようにも見える。また起伏のある道を走行している車のヘッドライトを遠くから見た場合も、不自然に明滅、移動しているように見えることがあるため、これらを誤認したという説もある。
観測用気球もよくUFOと誤認される。逆に気球を観測中にUFOが目撃された例もある[63]
自然現象
珍しい自然現象を見た際に、そのショックと恐怖によりUFOと誤認したという説。誤認されやすい自然現象の例として球電現象、火球流星プラズマなどがある。金星火星木星も誤認されやすい物体としてあげられる。また空飛ぶ円盤が写ったと言われる写真が、実は鳥、コウモリハエなどの昆虫、麦の穂、道路標識だったと判明したこともある。もし目撃した物が火球や流星であれば、気象台で確認することができる。必ずしもすべての火球や流れ星を気象台が把握しているわけではないが、寄せられた同様の目撃談の特徴から正体が判明することもある。また、月や木星、金星のようにほぼ静止している光源でも、動き回りながら見る人間にとってはUFOに見えることがある。これらの光点をピンボケ撮影するとUFOめいた写真が撮れる。
気温逆転説
1952年に天文学者ドナルド・メンゼルは『ルック』誌と『タイム』誌上でUFO現象は蜃気楼であり、低温の大気層が温かい大気層に挟まれたことにより起こるという「気温逆転説」を発表し話題を呼んだ。UFO目撃時の環境やUFOが砂漠で多く目撃されていること、そして最後には必ず消えてしまうことなどから、UFOの正体は逆転層であると唱えた。
構造の歪み理論(TST)
心理学者のマイケル・パーシンジャー (en:Michael Persinger)によれば、地震竜巻が起こる前後数か月から数年間にかけて、主に震央から数百km以内で異常な発光現象 (ALP) が起こりやすいという。地質構造の歪みを誘起する電場が原因で深い岩石層から発光現象が起こる。それを目撃した距離が遠いとただの発光現象に見えるが、目撃者の距離が近いとその電磁的性質が人間の脳の側頭葉に影響を及ぼし、幻覚的なビジョンを見せるのではないか、と主張している。
この説の疑問点は何故震央直近でUFOが目撃されないのか、といった点である。また、地下深くで電場が生じてもその効果は地表に及ばず大気中に紛れてしまう。電場自体は長い期間にわたって存在しており人間はそれに適応しているため嵐の時に我々の脳に幻覚は起こったりしない。自動車は電場を遮断するが、UFO目撃者の多くは自動車に乗っていることが多い。電場は地表への着陸痕やレーダーへの捕捉といった現象を残さない、といった指摘もされている。
地球光説
上記のパーシンジャーの説と違い、空中の発光球のみを対象とした説である。イギリスなど幾つかの地域では古来より光体が目撃されており、それは主に鉱床や旧鉱で見られ、多くは白色で50cm程のサイズである。この光体はすぐに消えるか、短時間だけ滞在する傾向がある。まれにかなりの高度まで上昇するものがあり、地表に触れると消失する。多くは水上や送電線付近、洞窟の入り口で目撃されている。地球光には電磁的な性質があるため、UFO遭遇者が電磁的な性質を帯びる傾向もこれで説明できる[35]

注釈

  1. ^ : ufology

出典

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