抗ヒスタミン薬 抗ヒスタミン薬の概要

抗ヒスタミン薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/01 05:11 UTC 版)

抗ヒスタミン薬(ヒスタミンH1受容体拮抗薬)は現在2種類存在する。先に登場した第一世代抗ヒスタミン薬の強い鎮静作用が眠気を引き起こしたり、インペアード・パフォーマンスという認知機能の低下を引き起こすことから、その点において改良された第二世代抗ヒスタミン薬が登場している。日本はこの副作用の危険性の認知度があまり高くなく、成人で20-40%、小児では80-95%という頻度で医師によって処方され、医師や薬剤師による説明の必要性が認識されている[1]

歴史

抗ヒスタミン薬は20世紀半ばに世界的に発売された[2]。1983年以降のものはヒスタミン受容体の選択性が向上し脳にも到達しにくく、第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれる[2]

当初の第一世代抗ヒスタミン薬は、容易に血液脳関門を通過することから眠気などの中枢作用が強かった[2]。初期には、ジフェンヒドラミンプロメタジンが開発されたが、持続性が短く、副作用が強かったため、クロルフェニラミンなどが開発され持続は長くなったが、副作用はあまり軽減されていない[3]。その後、第二世代抗ヒスタミン薬が開発され、効果の持続が長くなり、副作用は著しく改善され、アレルギー症状に対しての全般的改善度も第一世代のものより優れている[3]

用途

ガイドライン

鼻のアレルギー症状に対しては、第二世代抗ヒスタミン薬は第一世代に比べて副作用が著しく改善され、効果も持続し、また全般的改善度が優れており、国際ガイドラインの Allergic Rihinitis and its Impact on Asthma においても花粉症治療には第二世代が推奨されている[3]

日本睡眠学会は、不眠症、特に慢性の場合に対して、ジフェンヒドラミンなどの第一世代抗ヒスタミン薬は推奨できず、痒みによる二次性の不眠症に対しては、催眠鎮静作用の強い第一世代抗ヒスタミン薬は推奨できないとし、第二世代抗ヒスタミン薬でも翌日の眠気への影響を考慮すべきだとしている[4]

高齢者では、第二世代の抗ヒスタミン薬を使用するのが望ましい[2]

作用

アレルギーの中でI型(アナフィラキシー型)は、抗原 + IgE抗体の抗原抗体複合体が肥満細胞(マストセル)等のIgE受容体に作用し、ヒスタミン、セロトニンロイコトリエン等のケミカルメディエーターを放出させる反応が契機となって起こる。ヒスタミンには血管拡張、血管透過性亢進作用などがあり、これらの作用によりアレルギーの症状である、くしゃみ、鼻水などが発生する。風邪のアレルギー症状も同一の機序による。

この作用を担うヒスタミン受容体はH1受容体と呼ばれ、抗ヒスタミン薬はこの受容体の作用を抑制することで、アレルギー症状を抑える。したがってアレルギーそのものや風邪そのものを治す薬ではない。

抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に分類されている。第一世代は脂溶性が高いため血液脳関門を容易に通過し、中枢神経系、特に視床下部に作用して眠気を引き起こす、即ち鎮静作用があると考えられている。

また中枢神経系に作用して眠気を引き起こすことがあるので、服用後は四輪車、オートバイ、工作機械の運転といった、危険を伴う作業には従事しないことが各添付文書に記載されている。なお、日本国内においては、自動車の運転中に、この副作用の眠気による意識低下で人身事故を起こした場合、危険運転致死傷に問われる場合があり、さらに、服用を隠蔽すると過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱にも問われる場合がある。

古い第一世代抗ヒスタミン薬の副作用を逆手に取って睡眠薬や乗り物酔いの薬として利用するケースもある。ヒドロキシジンが古くからこの目的で使用されてきたほか、ジフェンヒドラミンは2003年に睡眠改善薬として初めて市販が認可された。子供の風邪などでも、ちょっと鎮静のかかった感じにしてぐっすり寝て改善してもらう、といった狙いもあって、あえて古い世代の抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を用いることがある。しかし、インペアード・パフォーマンスとして知られ、認知機能を低下させる副作用であるため、この副作用を改良した第二世代抗ヒスタミン薬が開発されてきた。

代謝

第一世代の抗ヒスタミン薬は肝臓のシトクロムP450CYP3A4CYP2D6で代謝されてから腎臓より排泄される[2]。このため、高齢者では生理機能の多くが低下しているため、薬剤が蓄積しやすく副作用が生じやすい[2]。一方で、第二世代抗ヒスタミン薬では代謝の必要はなくそのまま排泄される薬剤も多い[2]






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