抗ヒスタミン薬 抗ヒスタミン薬の概要

抗ヒスタミン薬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/06/27 23:05 UTC 版)

用途

作用

アレルギーの中でI型(アナフィラキシー型)は、抗原 + IgE抗体肥満細胞等のIgE受容体に作用し、ヒスタミン、セロトニンロイコトリエン等を放出させるのが契機となって起こる。ヒスタミンには血管拡張作用があり、この作用によりアレルギーの症状である、くしゃみ、鼻水などが発生する。風邪のアレルギー症状も同一の機序による。

この作用を担うヒスタミン受容体はH1受容体と呼ばれ、抗ヒスタミン薬はこの受容体の作用を抑制することで、アレルギー症状を抑える。したがってアレルギーそのものや風邪そのものを治す薬ではない

また、後述のように中枢神経系に作用して眠気を引き起こすことがあるので、服用後は四輪車、オートバイ、工作機械の運転といった、危険を伴う作業には従事しないことが勧められている。特に、飲酒前後の服用は眠気をさらに引き起こし得る。

なお、日本国内においては、自動車の運転中に、この副作用の眠気による意識低下で人身事故を起こした場合、危険運転致死傷に問われる場合があり、さらに、服用を隠蔽すると過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱にも問われる場合がある。

第一世代と第二世代

抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に分類されている。第一世代は脂溶性が高いため血液脳関門を容易に通過し、中枢神経系、特に視床下部に作用して眠気を引き起こす、即ち鎮静作用があると考えられている。第二世代は鎮静作用は少ないものの、肝臓のP450系で代謝されるために他の薬物との相互作用が見られる場合がある。第一世代はエタノールアミン系、プロピルアミン系、フェノチアジン系、ピペラジン系、ピペリジン系に分かれそれぞれ使い分けがある。

エタノールアミン系
塩酸ジフェンヒドラミン(ベナ、レスタミンコーワ軟膏)などがここに含まれる。鎮静作用が強いため夜に服薬させるなど工夫が必要である。抗めまい薬としても使われるジメンヒドリナート(ドラマミン)もここに含まれる。
プロピルアミン系
マレイン酸クロルフェニラミン(アレルギン、ポララミン、クロール・トリメトン)などがここに含まれる。鎮静作用が少ないため第一世代の中では昼間の投与に適していると考えられる。クロール・トリメトンは蕁麻疹の治療で用いられる。
フェノチアジン系
塩酸プロメタジン(ピレチア)などが含まれる。局所麻酔作用がある。
ピペラジン系
ヒドロキシジン(アタラックスP)などがここに含まれる。鎮静薬、制吐薬としての使われ方が多い。
ピペリジン系
塩酸シプロヘプタジン(ペリアクチン)などが含まれる。食欲亢進、体重増加作用がある。
第二世代
エピナスチン塩酸塩(アレジオン)、ロラタジン(クラリチン)、塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)といった薬がここに含まれる。鎮静作用がほとんどないため非常に扱いやすい薬である。妊婦に用いる場合は塩酸セチリジン(ジルテック)が良いと言われている。なお第二世代抗ヒスタミン薬は抗アレルギー薬に分類されることが多い。

抗ヒスタミン薬は鼻炎の症状でよく用いられるがくしゃみや鼻漏、かゆみには有効だが鼻閉には効果がない。鼻閉にはロイコトリエン拮抗薬という抗アレルギー薬が有効であると言われている。抗アレルギー薬は効果が現れるのにひと月くらいかかるものも多く、医師の管理下で用いることが望ましい。

その他のヒスタミン受容体

ヒスタミン受容体にはH2受容体もあり、これはの壁細胞に作用して、cAMPを増加させ、プロトンポンプから得られた水素イオン塩酸の形で胃腔内に放出させる。そのためH2作用を阻害すれば胃酸の分泌を抑えることができる。

H2受容体拮抗剤(H2-blocker、H2ブロッカーと医療現場では呼ばれることが多い)は主に胃に存在するH2受容体に働き、強力に胃酸分泌を阻害するので胃潰瘍胃炎の治療薬として使用されている。H2受容体拮抗剤が臨床で使用されてから、胃潰瘍の外科手術は激減した。シメチジンラニチジンファモチジンなどが代表的。

H3受容体拮抗薬は肥満と注意欠損障害に適応がある可能性が指摘されている。

ただし、これらは通常「抗ヒスタミン薬」とは呼ばない。






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