橋とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 建設 > 土木 > 構築物 > の意味・解説 

1.橋は、神霊などからの情報を得る所である。

『源平盛衰記』巻10中宮御産の事」 中宮徳子御産の折、二位殿が一条堀川戻り橋橋占を問うと、1415歳童部12人、手をたたいては何国王八重の潮路の波の寄せ」と歌い橋上走り過ぎた。これは、安徳天皇8歳壇の浦に沈むことを予示しのだった

ドイツ伝説集』グリム212「橋の上の宝の夢」 男が「レーゲンスブルクの橋へ行くと金持ちになれる」との夢告得て毎日橋へ出かける。そこで会った商人が、木を指して「あの下に宝があるとの夢を見たが、本気にはしないと言う。男は木の下掘って宝を見つける。

味噌買橋』昔話乗鞍岳麓のに住む炭焼き長吉が、「高山味噌買橋に行けば良い事がある」との夢告を得る。長吉高山行って何日味噌橋のたもと立っていると、豆腐屋が来て乗鞍岳麓の長吉という人の家の側にがあって、その根に宝物埋まっているという夢を、私は見た。しかし夢なんかあてにならぬ」と言う長吉はすぐ自分の家帰り根から宝物掘り出して長者になった岐阜県大野郡高山町)。

★2a.橋は、鬼や怪物など恐ろしい物と出会う所である。

『今昔物語集』巻27-13 「近江国安義の橋に怪異あり」との噂の実否確かめるため、1人の男が夕暮れ時、馬に乗って出かける橋上にたたずむ女が声をかけるのを無視して通り過ぎると、女は丈9尺の一眼の鬼となって追って来る→〔変身〕8c。

『今昔物語集』巻27-21 瀬田の橋を渡る紀遠助に、怪しい女が箱を託して、「美濃国某所の橋で待っている女届けて下さい」と依頼する。女は「箱を開けてはなりません」と禁ずるが、遠助の妻が箱を開けてしまう(*→〔箱〕3b)。遠助はあわてて箱にをして、美濃国某所の橋まで持って行く。待っていた女が不機嫌な顔で、「箱を開けましたね」と言って受け取る。遠助はその後死んでしまった。

俵藤太物語御伽草子近江国瀬田の橋大蛇横たわり人々行き悩んでいた。俵藤太秀郷が行って見ると、20丈ほどの大蛇12の角をとがらせ臥している。秀郷は少しも恐れず大蛇の背をむずむず踏んで通り過ぎる〔*大蛇勇者探すために橋上にいたのであり、秀郷を勇者見込んで大百足退治依頼する〕。

橋弁慶(能) 夜更け五条の橋に、小太刀で斬り廻る少年現れる聞いた弁慶は、「その化生の者退治しよう」と出かける橋上弁慶少年激しく闘うが、どうしても勝つことができない少年が「吾は源義朝の子牛若」と名乗るのを聞いて弁慶降参しその場牛若弁慶主従契約を結ぶ。

一条堀川の橋で百鬼夜行出会う→〔唾〕1cの『今昔物語集』巻16-32。

★2b.橋は、生者と死者出会う場所である。

三国伝記6-9 吉野熊野修行した浄蔵6年ぶりに帰京する。彼は一条通り東進し堀川の橋に到った時、父・三善清行葬列出会った浄蔵諸仏祈り死後4日の父を蘇生させた。一条堀川の橋を「戻り橋」というのは、三善清行冥府からこの世戻ったゆえ名づけられたのである〔*撰集抄7-5簡略な類話〕。

★3a.橋は、男女出会う場所でもある。

哀愁ルロイ第1次大戦時、空襲警報下のウォータールー橋で、若い大尉クローニンバレリーナマイラとが出会う2人は恋に落ち結婚約束するが、出動命令下ってクローニン戦線へ行かねばならない。後、不運重なり(*→〔死の知らせ〕3)、マイラは、思い出ウォータールー橋を走るトラック身を投げて死ぬ。それから20年後。第2次大戦開戦の日、大佐となったクローニンは、ウォータールー橋1人たたずみマイラを思う。

君の名は菊田一夫昭和20年19455月24日大空襲の夜、数寄屋橋で、後宮春樹は若い娘(氏家真知子)の命を救う。「半年たって生きていたら、もう1度ここで会おう」と春樹言い、「君の名は?」と問う。真知子は「お互いに名前を知らぬまま再会する方がロマンチックだ」と思い、「必ず来るわ」と答える。2人互いの名を知ることなく手を握り合って別れる→〔すれ違い〕1。

*→〔遊女〕1の『猿源氏草紙』(御伽草子)。

★3b.男どうしが出会うこともある。

絵本太閤記 三河岡崎矢作(やはぎ)橋の上日吉丸眠っていると、蜂須賀小六一行通りかかり、日吉丸の頭を蹴った日吉丸起き上がり、「気をつけて歩け! 通るなら、目を開けて、お辞儀をして行け」と、啖呵をきった。蜂須賀小六日吉丸を見ると、まだ1213歳の子供だったが、胆力があり、頭も良さそうだった小六日吉丸無礼詫び、「行く所がないなら、おれの手下にならぬか」と誘った

*この物語変形が、『明(みん)史』巻322外国」3「日本」の、平秀吉関白信長出会い物語であろう→〔木〕13c。

★4a.橋は現実世界異郷を結ぶものである

『黄金伝説』49「聖パトリキウス貴族ニコラウスが、悪行償うため煉獄へ下る。火と硫黄川の上の狭い橋を、主の御名唱えつつ渡り花々香る草原到る2人少年が彼を黄金宝石に輝く都に案内し、「ここは楽園だ」と告げる。

『古事記』上巻 高天の原に生まれ出たイザナキ・イザナミの2神は、くらげのごとく漂っている下界土地修め固めるために、天の浮橋の上立った。2神は天の浮橋から天の沼矛指し下ろしてオノゴロ島作り成した

石橋しゃっきょう(能) 唐の清涼山石橋は、人間造ったではなく自然に出現したのである。幅1尺足らず長さ丈余で、深さ千丈の谷にかかっており、向かい文殊菩薩浄土である。渡唐した寂照法師石橋渡ろうとすると、童子が「危険である。人間には渡れない」と言って止める。やがて石橋の上に、文殊菩薩乗り物である獅子現れ千秋万歳祝って舞う。

*→〔梯子1aの『丹後国風土記逸文「速石の里」(天の橋立)。

★4b.橋を渡って異郷行ける人と行けぬ人。

『黄金伝説』156「奉教諸死者記念死者のうち心正しい者は、橋を渡って美しい草原へ行く。そこには純白の衣を身にまとった一群人々がいる。心正しくない者は橋を渡れず、下の悪臭放つどぶ川にころげ落ちる。

奇談異聞辞典柴田宵曲)「鬼橋」 備後国帝釈山谷川に、石をもって切り立て長さ20間・幅3間の反橋があり、これを「鬼橋」と名づけている。神代の昔、梵天帝釈天下り数万眷属の鬼が来て一夜のうちに橋が完成した。この橋を渡り得れば浄土至り渡り得ざる者は地獄堕ちるという。しかし今では渡る人がなく、草木茂っている(『諸国里人談』巻1)。

★5.橋を架ける

俊頼髄脳 役行者えんのぎょうじゃ)が、葛城山に住む一言主神に「この山から吉野山まで、岩橋渡して下さい」と請う一言主神願い聞き入れ、「私は容姿醜く人々恐れるといけないから、夜だけ現れて橋をけよう」と言う。しかし一言主神は、橋を少し造りかけながら、途中でやめてしまった。役行者怒り一言主神(かずら)で山に縛りつけた。

『ラーマーヤナ』第6巻戦争の巻」 ラーマ軍は、工神ヴィシュヴァカルマン息子ナラ援助得て5日間でインドからランカー島への橋を作るラーマ軍を率いてランカー島ラーヴァナの城へ攻めこむ。

*→〔最初の人2cの『ドイツ伝説集』(グリム186フランクフルトのザクセンホイザー橋」・〔名当て〕2の『大工鬼六』(昔話)。

★6.橋が落ちる。

八幡祭小望月賑はちまんまつりよみやのにぎわい河竹黙阿弥深川八幡祭の夜、大勢人出の中で喧嘩騒ぎが起こる。花水橋の欄干壊れ多くの人が川に落ちて死ぬ。芸者美代吉は、橋の下を通りかかった縮屋新助小舟落ち命拾いをする。かねて美代吉に思いを寄せていた新助は、彼女を口説く断られる〔*新助妖刀村正をふるい、美代吉をはじめ20数人を殺す。その直後新助は、美代吉が5歳時生別れた妹だったことを知る〕。

祭り群集重みで、永代橋落ちる→〔財布〕1の『永代橋』(落語)。

★7.橋を破壊する

『戦場にかける橋』ブール第2次大戦下、日本軍イギリス捕虜たちを使役して、タイ・ビルマミャンマー国境クワイ河に、橋を架ける捕虜長ニコルスン大佐綿密な工事計画をたて、日本兵作業協力し、橋は完成するその時連合軍特殊部隊が橋を破壊すべく爆弾をしかける。ニコルスン大佐は橋を守ろうとし、特殊部隊は、日本兵のみならずニコルスン大佐をも砲撃する。しかし橋に大きな損傷与えることはできなかった。

誰がために鐘は鳴るヘミングウェイ内戦下スペインで、アメリカ人青年ロバート・ジョーダン民主主義防衛のため、ゲリラ活動身を投じて政府軍支援するゲリラたちは、敵ファシスト部隊孤立させるべく、その背後鉄橋爆破するが、ロバートは馬の下敷きになり、大腿骨骨折して動けなくなる。彼は恋人マリア仲間たち託して去らせ、1人残って敵兵に銃を向ける。

★8a.多く動物連なり並んで、橋を作る

橋の伝説 行基菩薩川向こうの寺を訪れようとするが、大洪水で橋が流される大群が背を連ねて行基前に集まり行基の背に乗り川を渡る人々はこれを「橋」と呼び以後殺生絶った大阪府豊中市)。

淮南子逸文 7月7日の夜、天の川多くが羽を連ねて橋を作り織女を渡す。

猿橋伝説 推古天皇の代。百済の志羅乎(しらこ)が桂川架橋工事依頼され、その設計苦慮していた。ある日多くたちが体をつなげ合って橋を作り対岸へ渡るのを見て、木を少しずつ重ね合わせ支柱なしで橋を作る方法を、志羅乎は思いついた(山梨県大月市猿橋町猿橋)。

『捜神記』14-3通巻342話) 稾離(高麗国王は、息子東明に国を奪われるではないか恐れ東明の命をねらった東明逃げ南方の施掩まで来て弓でを叩くと、すっぽんが橋を作って東明渡した〔*『論衡』「吉験篇」に類話〕。

『平家物語』巻5「咸陽宮秦国捕らわれていた燕の太子丹が、故国帰ろうとするが、秦軍が橋に仕掛けしたため、丹は川中落ちる。しかし数多くの亀が水上浮かんで甲羅並べ、丹はその上歩いて対岸に着く。

*1頭の大鹿が橋となって多く獣たちを渡す→〔犠牲4cの『大智度論』巻26

*兎がだまして一列に並ばせる→〔わに〕3の『古事記』上巻

★8b.わらが横たわって橋になる。

と炭と豆の旅』昔話と炭と豆が、京参り旅をする。川に橋がなかったので、横たわって橋になる。炭が橋を渡る時、川風で炭の火がおこり、燃えて、炭とは川に落ちる。豆がそれを見て笑い、腹の筋が切れたので、富山の薬売り黒糸縫ってくれる。今でも豆の腹には、黒糸縫い目残っている(新潟県長岡市栖吉町)〔*『わらと炭とそらまめグリム)KHM18と同型〕。

★8c.「私」横たわって橋になる。

『橋』カフカ「私」は橋だった。深い谷のこちら側両足つま先を、向こう側両手突き立てて、誰か来るのを待っていた。旅人来て「私」をつつき、ヒョイ「私」真ん中跳び乗った「私」は「誰だろう?」と思い子供か、幻影か、追い剥ぎか、自殺者か、誘惑者か、破壊者か、知りたくて寝返りを打ったとたんに「私」落下しバラバラになった

★9.橋から落として殺す。

『唄をうたう骨』グリムKHM28 2人兄弟猪退治に出かけ、弟がしとめる。しかし兄が、弟を橋の上から川へ突き落とし殺し死体を橋の下に埋める。兄は猪退治の手柄を横取りし褒賞として王女を得る→〔笛〕6。

『踊る骸骨昔話) 七べえと六べえが出稼ぎに行くが、その帰り、七べえは六べえを一本橋から谷底突き落とし殺し金品を奪う。翌年、七べえが一本橋を通る時、骸骨現れ、「おれは六べえだ。骸骨姿で踊るから、それを人に見せて金を取れと言う。七べえは、方々骸骨踊り見せ、金をもうける(新潟県長岡市前島町)→〔霊〕6c

橋を渡る→〔無言〕1cの『橋づくし』(三島由紀夫)。





橋と同じ種類の言葉

このページでは「物語要素事典」からを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書からを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から橋 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「橋」の関連用語

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



橋のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
物語要素事典物語要素事典
Copyright (C) 2024 物語要素事典 All rights reserved.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS