寂とは? わかりやすく解説

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さび【寂】

読み方:さび

動詞「さ(寂)ぶ」の連用形から》

古びて味わいのあること。枯れた渋い趣。「—のある茶碗

閑寂枯淡の趣。「—に徹した境地

声の質で、低く渋みのあるもの。「—のある声」

謡曲語り物などの声の質で、声帯強く震わせて発する調子の低いもの。

連歌俳諧、特に、蕉風俳諧重んじられ理念中世幽玄・わびの美意識にたち、もの静か落ち着いた奥ゆかしい風情が、洗練され自然と外ににおい出たもの。閑寂さが芸術化された句の情調。→撓(しおり) →細み軽み


じゃく【寂】

読み方:じゃく

常用漢字] [音]ジャク(呉) セキ(漢) [訓]さび さびしい さびれる

[一]ジャク

ひっそりと静かなさま。さびしい。「寂寂寂然(じゃくねん)・寂寞(じゃくまく)/閑寂静寂幽寂

僧が死ぬこと。「示寂入寂

[二]セキ[一]1に同じ。「寂寂寂然(せきぜん)・寂寞(せきばく)・寂寥(せきりょう)」

名のり]しず・ちか・やす


じゃく【寂】

読み方:じゃく

【一】[名]

仏語仏道修行により、生死超越した悟り境地に入ること。

僧が死んだことを表す語。年月日の下に付けて用いる。「明治九年—」

【二】ト・タル[文]形動タリまったく音がしないさま。静まりかえっているさま。ひっそり。「—とした山寺参道


せき【寂】

読み方:せき

⇒じゃく


せき【寂】

読み方:せき

ト・タル[文]形動タリひっそりとして静かなさま。「—として声なし」

生命流れの—として充実した感じが」〈宮本伸子


わび・さび

( から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/13 05:33 UTC 版)

わび・さび侘《び》・寂《び》)は、慎ましく、質素なものの中に、奥深さや豊かさなど「趣」を感じる心、日本美意識。美学の領域では、狭義に用いられて「美的性格」を規定する概念とみる場合と、広義に用いられて「理想概念」とみる場合とに大別されることもあるが[1]、一般的に、陰性、質素で静かなものを基調とする[2]。本来は(わび)と(さび)は別の意味だが、現代ではひとまとめにして語られることが多い[3]茶の湯の寂は、静寂よりも広く、仏典では、死、涅槃を指し、貧困、単純化、孤絶に近く、さび(寂)はわびと同意語となる[4]。人の世の儚(はか)なさ、無常であることを美しいと感じる美意識であり、悟りの概念に近い、日本文化の中心思想であると云われている[5]




「わび・さび」の続きの解説一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 03:25 UTC 版)

わび・さび」の記事における「寂」の解説

寂(さび、寂び、然びとも)は、「閑寂さのなかに、奥深いものや豊かなものがおのずと感じられる美しさ」を言い動詞「さぶ」の名詞形である。 本来は時間の経過によって劣化した様子意味している。漢字の「寂」が当てられ転じて寂れる」というように人がいなくなって静かな状態も表すようになった。さびの本来の意味である「内部的本質」が「外部へと滲み出てくる」ことを表す為に「然」の字を用いるべきだとする説もある。ものの本質が時間の経過とともに表に現れることをしか(然)び。音変してさ(然)びとなる。この金属の表面現れた「さび」には、漢字の「錆」が当てられている。英語ではpatina緑青)の美が類似のものとして挙げられ緑青などが醸し出す雰囲気についてもpatina表現される。 「さび」とは、老いて枯れたものと、豊かで華麗なものという、相反する要素一つ世界のなかで互いに引き合い作用しあってその世界活性化するそのように活性化されて、動いてやまない心の働きから生ずる、二重構造体の美とされる。 本来は良い概念ではなかったが、寂しいという意味での寂は古く『万葉集』にも歌われている(「わび・さびの語源と用例参照)。寂に積極的な美を見出したのは平安時代後期歌人藤原俊成(しゅんぜい・としなり1114-1204)であると一般に言われる。歌の優劣競う歌合(うたあわせ)」の席で、歌の姿を「さび」ととらえ、それを評価したのである歌われるさびしさ重要な要素で、」「その寂しさ評価」(『さび ―俊成より芭蕉への展開』p.34 復本一郎親書57 1983)した。 俊成の子定家(さだいえ・ていか1162-1241)は「見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋秋の夕暮」(『新古今和歌集363番)と詠み夕暮れ静けさ寂しさ歌った。ここにも静けさ寂しさのなかに美を見出したことが示されている。またこの歌は、茶の湯武野紹鴎によって侘び茶の心であると評されてもいる(前出南方録』「わび茶の心」p.93)。 吉田兼好(1283-1352頃)が書いたと言われる徒然草』(1330~1349ごろ成立)には「羅(うすもの)は上下かみしも)はづれ、螺鈿(らでん)の軸(じく)は貝落ちて後こそいみじけれ」といった友人を立派であると評して第八十二段)、古くなった冊子味わい深いと見る記述がある。また、「花はさかりに、月くまなきをのみ見るものかは」(第百三十七段)として、つぼみの花や散りしおれた花、雲間の月にも美が見出されることを示している。このような美を提示する徒然草』も、「無常観によって対象見ていた」と言われる。(前出『さび ―俊成より芭蕉への展開』p.57) 兼好出家僧であり、「己をつづまやかにし、奢り退け、財(たから)を持たず、世を貪らざらんぞ、いみじかるべき」(『徒然草第十八段)と述べており、禅の生き方理想としていることが読み取れる。侘の美意識とも重なる。また、兼好生きた中世には『平家物語』や『方丈記』が成立し無常観意識されていた時代でもあった。兼好は「これまでにない高度で深遠な美的態度表明した」(『侘び世界』p.13 渡辺誠論創社 2001といえるこの頃には寂しいもの不完全なものに価値見出し古びた様子に美を見出す意識明瞭に表現されていたことが確認される。寂は室町時代には特に俳諧世界で重要視されるようになり、能楽などにも取り入れられ理論化されてゆく。寂をさらに深化させて俳諧歌ったのが江戸時代前期松尾芭蕉(1644-1694)である。芸術性の高い歌を詠み、その独自な趣は蕉風呼ばれた。寂は芭蕉以降俳句では中心的な美意識となるが、芭蕉本人が寂について直接語った記した記録非常に少ないとされる芭蕉は「西行和歌における、宗祇連歌における、雪舟の絵における、利休における、其貫道する物は一(いつ)なり」(『芭蕉文集』「笈の小文」p.52 日本古典文学大系46 岩波書店)と述べる。この「貫道する物」は「風雅」(同、p.52注)であり、風雅とは「広義には芸術狭義には俳諧」(同、p.52注)をさす。そして、「風雅論に根ざし生まれたもの」(『芭蕉研究論稿集成』第一巻 「さび・しをり・ほそみ」p.428 潁原退藏 クレス出版)のひとつとして寂がある。しかし、さびしさそのままさびしいと歌ったのみでは歌の評価は低い。歌の中にさびしさ詠み込むことであったのであり、鑑賞する側から言えば叙述された景の中にさびしさ読み取ること」(前出『さび ―俊成より芭蕉への展開―』p.87)が必要である。このあり方が歌の、絵の、茶の湯の、美を高める。しかも、それが自然にありのままなされるところが肝要である。わざとらしさことさら演出はかえって作り物偽物になってしまうからである。そして、常時寂の境地にあることができるもののひとつが旅であった。「さびと孤独とのかかわりは、旅を通してあるいは草庵通して、…すこぶる緊密である。」(『芭蕉における「さび」の構造』p.49 復本一郎選書77 昭和48年) 芭蕉草庵住みまた、漂泊の旅の中で歌を詠み続けた。これは「人をして孤独に立たしめ、自己の内部における寂しさの質の転換を迫る場所」であり、そこで「本来、否定されるべきさびしさは、肯定すべき境地としての位置占める」(前出『さび ―俊成より芭蕉への展開―』p.115) に至り俳諧の「さび」となる。芭蕉に「この道や行く人なしに秋の暮れ」という歌がある。最晩年の歌である。「この道」は、秋の暮れ歩く人もいないさびしい道である。一般にこの句は、芭蕉歩む俳諧の道が孤独であることを歌っている、と解釈される。しかし、芭蕉仕官し立身出世しようとしたり、学問により自らの愚かさを悟ろうとしたり(前出笈の小文』p.52)、仏門入ろうとしたり(『幻住庵記』)したが、俳諧の道を選んだのである。このことを鑑みるに、「この道」は俳諧の道以上ののであるだろう。芭蕉における寂の精神性深さがある。「この道」は「絶対的な存在としての道」(『侘び然び幽玄のこころ』p.198 森神逍遥 桜の花出版であろう。「寂びしい自分の姿を超越した絶対的な静寂がそこを支配している」(同)という根源的事実表現である。ここに寂び観の本質があり、これが仏教根本重なのである侘びとともに利休以後茶道真髄として語られる寂びだが、意外なことに利休時代文献には見当たらない。「侘び」の項に挙げた山上宗二記侘びの十ヶ条にも寂び見られず、同書の他の部分にも「寂び」「寂びた」の語は現れない。おそらく江戸時代以降俳諧盛んになり寂び概念広がるとともに侘びと結びつけられ茶道においても用いられることになったものであろう俳諧での寂とは、特に、古いもの、老人などに共通する特徴のことである。寺田寅彦芭蕉の「さびしおり」を「自我主観的な感情動きを指すのではなくて事物表面外殻破ったその奥底存在する真の本体正しく認め時に当然認められるべき物の本情の相貌指していう」(「俳諧本質的概論」『寺田寅彦全集第十二巻 p.90 岩波書店 1997年)とする。単なる寂しいや悲しいではなく、「もっと深い処に進入している」(同)のである。そして、芭蕉にこのことが可能であったのは、「自然と抱合自然に没入した後に、再び自然を離れて静観し認識するだけの心の自由を有(も)っていた」(同p.105)からであると言う。さらに、俳句という領域超えて、あるいは現代人においては、「飽く処を知らぬ慾望節制して足るを知り分に安んずることを教え自己批判がさびの真髄ではあるまいか」(「俳句精神」同全集同巻 p.147)とも言うのであるこのような境地に立つときに見えてくる、古いものの内側からにじみ出てくるような、外装などに関係しない美しさ寂びのである例えば、コケ生えた石がある。誰も動かさない石は、日本の風土の中では表面コケ生え緑色になる。日本人はこれを、石の内部から出てくるものに見立てたまた、内部的本質から外部へと滲みでてくる「然び」には、エイジング錆びついていく古めかしく渋み」が出たアンティークの意味合いがある(前出侘び然び幽玄のこころ』p.173)。このように古びた様子に美を見出す態度であるため、骨董趣味関連が深い。たとえば、イギリスなど骨董アンティーク)とは、異なる点もあるものの、共通する面もあるといえる。寂はより自然そのもの作用重点がある一方で西洋骨董では歴史面に重点があると考えられるわびさび一般に茶の湯俳諧場面で論じられる利休芭蕉歴史に名を残すわびさび境地深めるため、茶の湯という場を作り、あるいは、旅に出る。そこで侘しさや寂しさ生きるのである。しかし、わざわざ選び取るまでもなく、長い歴史の中で否応なくぎりぎりの侘しさや寂しさの中で日常送ってきたのが、庶民であった寂しさや侘しさに浸りきってしまっては生活は成り立たない生きていくためには、「自己の内部における寂しさの質の転換」(同出『さび―俊成より芭蕉への展開―』p.115)をなさないわけにはいかない。「否定されるべきさびしさは、肯定すべき境地としての位置占める」(同p.115)しかないのである。「諦め受け入れ意識」(前出侘び然び幽玄のこころ』p.51)の意識の中で生きるであれば侘び寂びの生そのものである。日常生活空間である。しかし、この生は未だ美にまでには昇華されていない。」(同p.52) そのためには、そのような侘しさ寂しさの生を生きながら、「ふと我に返り達観した思いの中で今を見詰め許容しその人乃至その時愛でる」(同p.46 )ことがなければならない。この時の美は歴史表舞台には現れないが、庶民の生活の中に息づいてきた。日本古来神道考え方ハレとケとの伝統的な区別仏教教えなどと共に醸成され意識であろうわびさびは、この現実の生活を営みながらも「世俗離れ」(『日本大百科』「わび」)「飾りやおごりを捨て」(『大辞林』「わび」)、さらにはいっさい否定し捨て去ったなかに」見えてくる、「人間本質」(『日本大百科』「わび」)に直結し美意識である。それゆえ否定し捨て去る度合いによってそれぞれに深浅の差があるにしても、「日本人一般的な生活感情の領域にまで影響与え今日至っている」(『日本大百科』「さび」)のである歴史に残る侘び寂びのみならず庶民の生活の中にも侘び寂び見出されることによって、侘び寂び日本の美意識日本哲学であるといえる

※この「寂」の解説は、「わび・さび」の解説の一部です。
「寂」を含む「わび・さび」の記事については、「わび・さび」の概要を参照ください。

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出典:『Wiktionary』 (2021/07/06 08:34 UTC 版)

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