概論(アメリカ)
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アメリカで新しく生まれた音楽として、ジャズが挙げられる。一般的にはクラシック音楽とジャズは切り離して語られるものであり、詳細はジャズの項に譲るが、このジャズ(最初期のディキシーランド・ジャズやスウィング・ジャズ)をたくみに取り入れた作曲家としてガーシュウィンが挙げられる。 ガーシュウィンはジャズを取り入れた「ラプソディー・イン・ブルー」によって一躍有名となり、後には「パリのアメリカ人」や歌劇「ポーギーとベス」やミュージカルなどを書くが、多忙が祟って39歳で病死した。 ガーシュウィンと同じくユダヤ人のアーロン・コープランドは1900年の生まれだが、様式的には近代音楽に入れられる。アメリカ人で最初のアメリカらしい作品を書いたことで有名で、「エル・サロン・メヒコ」などのようにラテン音楽からのイディオムも使ってはいるが、多くは三大バレエのように映画音楽からの敷衍である。これらを総合した物に交響曲第3番がある。その同じユダヤ系の弟子のレナード・バーンスタインは「ウェスト・サイド・ストーリー」のようにむしろポピュラー系のミュージカルによって圧倒的に知られているが、本人の志向していたのはむしろ別で、3つの交響曲などの近代・現代手法の混合したテクニックによる一流の構成法で垣間見る事ができる。 アイヴズ、エリオット・カーター、ヴァレーズなど戦前の前衛音楽については現代音楽に分類される事が多い。
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概論(日本)
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ここでは明治維新以降の西洋音楽の受容から民族主義、戦時中の動向について記す。 日本では1879年(明治12年)に東京藝術大学の前身である音楽取調掛が設けられ、音楽研究および西洋音楽をベースとした音楽教育(唱歌教育)の形成の取り組みが始められた。1881年(明治14年)に『小学唱歌集』初編の出版届け出がなされる。 音楽取調掛を率いたのは伊沢修二だが、ほかに神津仙三郎(専三郎とも)、山勢松韻、内田彌一、芝葛鎮(ふじつね)、上眞行(うえ・さねみち)らの名を挙げることができる。後に近代的な日本美術の形成に力を尽くすことになる岡倉覚三(岡倉天心)は、音楽取調掛の最初期に通訳としてかかわった。 さらに、米国の音楽教育家であるメーソンの存在を忘れるわけにはいかない。メーソンは1880年(明治13年)の春に来日、1882年(明治15年)の夏まで滞日して、明治国家の西洋音楽受容に一定の役割を果たしたと言える。メーソン離日後、しばらく後任はいなかった。1883年(明治16年)6月からは、かねてより海軍軍楽隊教師として滞日していたエッケルト(ドイツ)が、音楽取調掛を指導するようになる。日本のドイツ音楽偏重志向はこのときから始まると言えるかもしれない。 音楽取調掛は一時音楽取調所と称されるが、またすぐに元に戻る。1887年(明治20年)には東京音楽学校に昇格した。 のちに瀧廉太郎がドイツへ留学し、日本人による初の西洋音楽の様式による作曲が行われる。滝が世に出した器楽曲はピアノのためのメヌエットと憾みの2つであった。滝は留学直前に多くの唱歌(幼稚園唱歌、小学唱歌など)を作曲するが、ライプツィヒ留学中に結核に罹り、中退・帰国後に夭折してしまう。 滝の跡を継いで日本の洋楽シーンを牽引したのは山田耕筰である。山田はドイツに留学し、日本人初のオーケストラ曲「序曲ニ長調」、交響曲「勝鬨(かちどき)と平和」といういずれもドイツ中期ロマン派の伝統を継ぐ師のブルッフの語法に沿った作品を相次いで発表する。その後、ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスなど後期ロマン派の影響を受けた音詩『曼陀羅の華』、『暗い扉』などを発表。帰国後に指揮者としてまず日本のオーケストラ運動を興すが挫折し、アメリカへ渡って自作を紹介するなどして成功した後に日本で作曲と指揮の両面で活動を再開、日本で初めての本格的なオペラ「黒船」を作曲するなど多方面で活動した。 明治以降日本の洋楽シーンはドイツ偏重だったが、池内友次郎はフランスに渡り、近代フランス音楽の様式を日本に持ち込んだ。 諸井三郎などのドイツ派、池内友次郎などのフランス派の2大アカデミズムが東京音楽学校において日本の洋楽シーンを席巻していたが、一方で昭和に入ると、松平頼則、伊福部昭、早坂文雄のように独学や東京音楽学校とは無縁の出自を持つ作曲家も現れた。彼らは戦後まもなく新作曲派協会を結成することになる。
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