全文 観世流の場合とは? わかりやすく解説

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全文 観世流の場合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 14:26 UTC 版)

道成寺 (能)」の記事における「全文 観世流の場合」の解説

名宜 ワキ:『これハ紀州道成寺住僧て候。さても当寺に於いてさる、子細あって。久しく撞鐘退転仕りて候を。この程再興し鐘を、鋳させて候今日吉日て候程に。鐘乃供養を致さばやと、存じ候。 ワキ :『(、)いかに能力 狂言 :『御前て候 ワキ :『はや鐘をば鐘楼へ、上げてあるか 狂言 :『さん候はや鐘楼上げて御覧候へ ワキ :『今日鐘乃供養を致さう(そう)ずるにてあるぞ。又さる、子細ある間。女人禁制にてあるぞ。構へて一人も、入れ候な。その分心得候へ 狂言 :『畏って候 次第 シテ:『作りし罪も消えぬべし。つくりし罪も消えぬべし。鐘の供養に参らん サシ シテ:『これハこの国乃傍に住む白拍子て候。さても道成寺と申す、御寺に。鐘の供養御入り候由 道行 シテ:『月ハ程なく入汐の。月ハ程なく入汐の。煙満ち来る小松原。急ぐ心かまだ暮れぬ日高の寺に着きにけり日高の寺に着きにけり シテ :『急ぎ程に日高乃寺に着きて候軈て供養を、拝まう(もう)ずるにて候 狂言 :『セリフあり シテ :『これハこの国乃傍に住む、白拍子て候。鐘の供養にそと舞を、舞ひ候べし。供養を拝ませて、賜はり候へ 狂言 :『セリフあり シテ :『あら嬉しや。涯分舞を、舞い候べし シテ :『物着 (ここで前折烏帽子付ける) シテ :『嬉しやさらば、舞わんとて。あれにまします宮人乃。烏帽子暫し、假に著て。 カカル シテ:『既に拍子進めけり 次第 シテ:『花の外にハばかり。花乃外にハばかり暮れ初めて鐘や響くらん ~乱拍子~~ ワカ シテ:『道成の卿。うけたまはり。初め伽藍たちばなの。道成興行乃寺なればとて。道。 ノル シテ:『成寺とハ名づけたりや 地謡 :『山寺のや ~~急之舞~~ ワカ シテ:『春乃夕暮来て見れば ノル 地謡:『入相の鐘に花ぞ散りける。花ぞ散りける花ぞ散りける シテ :『さる程にさる程に。寺々の鐘 地謡 :『月落ち啼いて霜雪天に。満汐程なく日高の寺乃。江村漁火愁いに対して人々眠れば好き隙ぞと。立ち舞ふ様にて狙ひ寄りて。撞かんとせしが。思へばこの鐘恨めしやとて。龍頭手を掛け飛ぶとぞ見えし。引きかづきてぞ失せにける 中入 狂言 :『セリフあり ワキ :『言語道断。かやうの儀を、存じてこそ。固く女人禁制の由申して候に、曲事にてあるぞ。 狂言 :『ワキとの問答あり ワキ :『なうなう皆々かう(こう)、渡り候へ。この鐘に就いて女人禁制申しつる謂はれの候を、御存じ候か ワキツレ :『いや何とも、存ぜずワキ :『さらばその謂はれを語って聞かせ申し候べし ワキツレ :『懇に、御物語候へワキ :『昔、この所に。真砂荘司と、云ふ者あり。かの一人息女をもつ。又その頃、奥より熊野へ年詣でする、山伏乃ありしが。荘司が許を、宿坊定め。いつも、かの所に来りぬ。荘司娘を、寵愛餘りに。あの、客僧こそ。汝がつまよ 夫よなんどと、戯れしを幼心に眞と思ひ年月を送る。また幾時か客僧荘司が許に、来りしに。かの女夜更け、人静まって後え。客僧の、閨に行。何時までわらはをばかくて、置き給ふぞ。急ぎ迎え給へと、申ししかば。客僧大きに騒ぎ。(、)ざあらぬ由にもてなし夜に紛れ忍び出で、この寺に来り。ひらに頼む由、申ししかば。隠すべき、所なければ。撞鐘を下しその内にこの客僧隠し置く。さてかの女ハ、山伏を。逃すまじとて、追っかくる。折節日高川以っての外に、増りしかば。川の上下を彼方此方へ、走り廻りしが。一念の、毒蛇となって。川を易々と泳ぎ越し、この寺に来り此処 彼処を、尋ねしが。鐘の下りたるを怪しめ。龍頭銜へ七まとひ纏ひ。焔を出し、尾を以って叩けば。鐘は即ち、湯となって。終に山伏を、取り畢んぬなんぼう恐ろしき、物語て候ぞ ワキツレ :『言語道断。かかる恐ろしき、御物語こそ候はね ワキ :『その時の女乃執心残って。又この鐘に障礙をなすと、存じ候。我人の、行劫も。かやうの為にてこそ候へ涯分祈って。この鐘を二度鐘楼上げう(ぎょう)ずるにて候 ワキツレ :『尤も、然るべう(びょう)候 カカル ワキ:『かへって日高川原の。真砂の数ハ盡くるとも。行者法力盡くべきかと ワキツレ :『皆一同に聲を上げ ワキ :『東方降三世明王 ワキツレ :『南方軍荼利夜叉明王 ワキ :『西方大威徳明王 ワキツレ :『北方金剛夜叉明王 ワキ :『中央大日大聖 不動 ワキ ワキツレ:『動くか動かぬか索乃。(曩)三曼多縛曰羅赦。戰拏摩訶路灑拏。娑破吨也吽怛羅吨悍(牟含)聴我説者得大智慧。知我心即身成彿と。 ワキ :『何の恨み有明の。撞鐘こそ 地謡 :『すはすは動くぞ祈れただ。すはすは動くぞ祈れただ。引けや手ん手に千手陀羅尼不動慈救の偈。明王火焔の。黒煙立てて祈りける。祈り祈られ撞かねどこの鐘響き出で。引かねどこの鐘躍るとぞ見えし。程なく鐘楼引き上げたり。あれ見よ蛇体ハ。現れたり 「祈」 キリ 地謡:『謹請東方青龍清浄請西白帝白龍謹請中央黄帝黄龍一大三千大子世界恒沙龍王哀愍納受哀愍じきんの砌なれば。何処大蛇あるべきぞと。祈り祈られかっばと転ぶが又起き上って忽ちに。鐘に向って吐く息ハ。猛火となってその身を焼く日高川波深渕飛んで入りにける。望み足りぬ験者達はハ和が本坊にぞ帰りける 我が本坊にぞ帰りける 不適切仮名遣い送り仮名等があるが、謡本通り記した

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全文 観世流の場合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 01:38 UTC 版)

石橋 (能)」の記事における「全文 観世流の場合」の解説

名乗 ワキ「これハ大江の定基と云はれし、寂昭法師て候。我入唐渡天し。はじめて彼方此方を、拝み廻り只今清涼山に、参りて候。これに見えたるが石橋にて、ありげに候。暫く人を待ち委し尋ね。このを渡らばやと、存じ候 【一声】一セイ シテ松風の。花を吹き添へて。をも運ぶ。山路かな サシ山路日暮れしょうか漢字牧笛の聲。人間萬事様々の。世を渡り行く身の有様。物毎に遮る眼の前。光乃蔭をや送るらん 下歌「餘りに山を遠く来てまた跡を立ち隔て 上歌入りつる方も白波の入りつる方も白波の。谷の川音とのみ聞えての風もなし。げにやあやま(漢字)って半日の客たりしも。今身の上知られたり今身の上知られたり ワキ「いかにこれなる山人尋ぬべき、事の候 シテ何事を、御尋ね候ぞ ワキ「これなるハ承り及びたる、石橋て候シテ「さん候これこそ、石橋て候へ。向ひハ文殊の浄土清涼山よくよく御拝候へ ワキ「さてハ、石橋て候ひけるぞや。さあらば身命を、佛力委せて。このを渡らばやと、思いシテ暫く候。そのかみ名を得給ひし、高僧達も。難行苦行捨身の行にて。此処に月日を、送りてこそ。をば、渡り給ひしに。 カカル シテ獅子ハ小を食はんとても。まづ勢ひをなすとこそ聞け我が法力のあればとて。行くこと難き石乃を。たやすく思い渡らんとや。あら危うし御事ワキ「謂はれを聞けばありがたや。ただ世の常行人ハ。左右なう渡らぬよなう シテ御覧候へ、この瀧波乃。より落ちて数千丈。瀧壺までハ、深うして。身の毛もよだつ谷深カカル ワキ「巌峨々たる岩石シテ僅かに懸る石の ワキ滑りて足もたまらず シテ「わたれば目も眩れ ワキ「心もはや 上歌 地「上の空なる石の上の空なる石の。まづ御覧ぜよもとに。歩み臨めばこのの。面は尺にも足らずして。下は泥梨白波の虚空を渡る如くなり。危しや目も眩れ心も。消え消えなりにけりおぼろけ行人ハ。思い寄らぬ御事 ワキ尚々の謂はれ、御物語候へ打掛クリ 地「それ天地開闢このかた雨露降して國土を渡る。これ即ち天の浮橋ともに云へり サシ シテ「その外國世界に於いて名所さまざまにして 地「水波の難を遁れ萬民富め世を渡るも。即ちの徳とかや クセ 地「然るにこの。石橋と申すハ人間の。渡せにあらず。自れと出現して。続ける石のなれば石橋と名を名付けたり。その面僅かに。尺よりハ狭うして。はなはだ滑かなり。その長さ丈餘。谷のそくばく深き事。千丈餘に及べり。上にハ瀧の糸より懸りて。下ハ泥梨白波の。音ハ嵐に響き合いて。山河震動し土塊動かせり。気色見渡せば聳ゆるよそほひの。たとへば漢字夕日乃後に虹をなせる姿また弓を引ける形なり シテ遥かに望んで谷を見れば 地「足すさましく肝消え進んで渡る人もなし。神變佛力にあらずハ誰かこの橋を渡るべき。向ひハ文殊の浄土にて常に笙歌の花降りて。笙笛琴箜篌夕日聞え来目前の奇特あらたなり。暫く待たせ給えや。影向時節も今幾程によも過ぎし 【中入】 【乱序後シテ 獅子 地「獅子團乱旋舞楽の砌。獅子團乱旋舞楽の砌。牡丹の英匂い充ち満ち大筋力乃獅子頭打てや囃せや牡丹房。牡丹房。黄金の蘂現れて。花に戯れ伏し轉び。げにも上なき獅子王の勢ひ。靡かぬ草木もなき時なれや。千秋と舞ひ納め千秋と舞ひ納めて獅子の座にこそ。直りけれ 表現揺れ不自然な漢字等があるが、謡本通り記した

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全文 観世流の場合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 10:11 UTC 版)

高砂 (能)」の記事における「全文 観世流の場合」の解説

ワキ ワキツレ:【真ノ次第(五段次第)(翁附の場合は禮脇又は五段次第)】 ワキ ワキツレ 次第「今を始め旅衣。今を始め旅衣日も行く末久しき ワキノリそもそもこれハ九州肥後乃國。阿蘇乃宮の神主友成とハ、我が事なり。我いまだ、都を見ず程にこの度思ひ都に上り候。又よき、序なれ ば、播州高砂乃浦をも一見せばやと、存じワキ ワキツレ 道行旅衣。末遥々都路を。末遥々都路を。今日思ひ立つ浦乃波。船路のどけき春風幾日来ぬらん後末も。いさ白雲の遥々と。さしも思ひし播摩潟高砂乃浦に。着きにけり高砂の浦に着きにけり 前シテ(以下シテツレ:【真ノ一声シテ ツレセイ高砂の春風吹き暮れて尾上乃鐘も。響くなり ツレ 二ノ句「波ハ乃磯がくれ。 シテ ツレ「音こそ汐の。満干なれ【アユミ(アシラヒ)】 シテ サシ「誰をかも知る人にせん高砂乃。も昔の友ならで。 シテ ツレ サシ続「過ぎ来し世々白雪乃。積り積りて老の乃。時に残る有明の。春乃霜夜起居にも松風を乃み聞き馴れて。心を友と。菅筵の。思ひ延ぶるばかりなり シテ ツレ 下歌「訪れ言問ふ浦風の。落葉衣の袖添へて木陰の塵を掻かうよ木陰乃塵を掻かうよ シテ ツレ 上歌「所ハ高砂のツレ「所ハ高砂のシテ ツレ尾上の松も年ふりて。老の波寄り来るや。木の下蔭の落葉かくなるまで命ながらえて。なほ何時までか生の。それも久しき名所かなそれも久しき名所かな ワキ里人を、相待つ處に。老人夫婦来れり。いかにこれなる老人尋ぬべき、事乃候 シテ此方の事にて候か、何事て候ワキ高砂の松とハ何れの木と、申し候ぞ シテ只今木蔭清め候こそ、高砂の松て候ワキ高砂住吉に、相生名あり當所住吉とハ國を、隔てたるに。何とて相生とハ、申し候ぞ シテ仰せ如く古今乃序に。高砂住吉も。相生のやうに覚えとあり、さりながら。この尉は津の國住吉の者。これなる姥こそ、當所人なれ。知る事あらば、申さ給へ ワキ「不思議見れば老人の。夫婦一所ありながら遠き住吉高砂の浦山國を隔てて住むと。云ふハ如何なる事やらん ツレ「うたて乃仰せ候や。山川萬里隔つれども。互に通ふ心遣ひ乃。妹背の道ハ遠からず シテ「まづ案じても、御覧ぜよ。 シテ ツレ高砂住吉の。非情乃物だにも。相生乃名ハあるぞかし。ましてや生ある人として年久しくも住吉より。通ひ馴れた尉と姥ハ。もろともに。この年まで。相生夫婦となるものを ワキ「謂はれを聞けば面白や。さてさて前に聞えつる。相生物語を。所に言い置く云われハなきか シテ「昔乃人の、申ししハ。これハめでたき、世乃例なり ツレ高砂と云ふハ上代乃。萬葉集の古の義 シテ住吉と申すハ。今この御代住み給ふ延喜御事 ツレとハつ(漢字)きぬ言乃シテ栄え古今相同じと。 シテ ツレ御代崇む喩へなり ワキよくよく聞けばありがたや今こそ不審春乃日の シテ光和らぐ西乃海乃 ワキ彼處住吉 シテ此處高砂 ワキも色添ひ シテ「春も ワキ長閑に 地 「四海波静かにて。國も治まる時つ風鳴らさぬ御代なれや。あひに相生乃。こそめでたかりけれ。げにや仰ぎても。事も疎かやかかる代に。住める民とて豊かなる。君の恵みぞ。ありがたき君の恵みありがたき ワキ「なほなほ高砂めでたき謂はれ委しく、御物語候へクリ「それ草木心なしとハ申せども果実の時を違へず。陽春乃徳を具へて南始めて開く シテ サシ然れどもこ乃ハその気色とこしなへにして花葉時を分かず 地 「四つ乃時至りても。一子年乃色中に深く。またハ花乃色十廻りとも言へり シテ「かかるたよりを松が枝の 地 「事の葉草の露乃玉。心を磨く種となりて シテ生きとし生ける。も乃ごとに 地 「敷島乃かげによるとかや 地 クセ然るに。長能が詞にも。有情非情乃そ乃聲みな歌に洩る事なし草木土砂風聲水音まで萬物籠る心あり。春乃乃。東風動き秋乃の。北露に鳴くも皆和歌乃姿ならずや。中にもこ乃ハ。萬木勝れて十八公乃よそほひ。子秋乃緑をなして。古今の色を見ず。始皇乃御爵に。預かる程乃木なりとて異國も。本朝にも萬民これを賞翫シテ高砂乃。尾上鐘の音すなり 地 「暁かけて。置けども松が枝乃。葉色ハ同じ深緑立ち寄る蔭の朝夕に。掻けども落葉乃つ(漢字)きせぬハ。真な松の葉散り失せずして色ハなほ真折乃ながき世の喩へなりける常磐木中にも名ハ高砂乃。末代の例にも相生めでたきロンギ「げに名を得た松が枝乃。げに名を得た松が枝の。老木の昔顕して。そ乃名を名のり給えや。 シテ ツレ「今ハ何をか褁むべき。これハ高砂住吉乃。相生の精。夫婦現じ来たりたり 地 「不思議やさてハ名所の。奇特顕しシテ ツレ草木心なけれども 地 「畏き世とて シテ ツレ「土も木も 地 「我が大君の國なれば。何時までも君が代に。住吉先ず行きてあれにて。待ち申さんと。夕波乃汀なる海女小舟にうち乗り追風任せつつ沖乃方に出でにけりや沖の方に出でにけり 【中入 狂言間語アリワキ ワキツレ「高砂や。こ乃浦舟に帆をあげて。こ乃浦舟に帆をあげて。月もろとも出汐の。波乃淡路島影や。遠く鳴尾の沖過ぎてはや住吉に。つきにけりはや住吉着きにけり 後シテ(以下シテ):【出端シテ我見ても久しくなりぬ住吉乃。岸乃姫松幾代経ぬらん。睦ましと君ハ知らず瑞牆の。久しき代々乃神かぐら。夜の鼓拍子揃えてすずしめ給へ。宮つ子たち 地 「西の海。檍が原乃波間より シテ現れ出でし。神の。春なれや。残ん乃浅香潟 地 「玉藻刈るなる岸陰乃 シテ松根によ(漢字)って腰を摩るれば 地 「子年の翠。手に満てり シテ梅花折って頭に挿せば 地 「二月雪衣落つ神舞】 地 ロンギありがた影向や。ありがた影向や。月住。吉の神遊御影を拝むあらたさよ シテ「げにさまざまの舞姫乃。聲も澄むなり住吉乃。松影も映るなる青海波とハこれやらん 地 「神と君との道すぐに。都の春にいくべくハ シテ「それぞ還城楽乃舞 地 「さて歳の シテ小忌衣 地 「さす腕にハ。悪魔を拂ひ。をさむる手にハ。壽福抱き。子秋楽ハ民を撫で萬歳楽にハ命を延ぶ相生松風諷々乃聲ぞ楽しむ諷々乃聲ぞ楽しむ

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全文 観世流の場合

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 13:58 UTC 版)

羽衣 (能)」の記事における「全文 観世流の場合」の解説

ワキ ワキツレ:【一声ワキ ワキツレ「風早乃。三保浦曲を漕ぐ舟乃。浦人騒ぐ。波路かな サシ ワキ「これは三保の松原に。白龍と申す漁夫て候ワキ ワキツレ「万里乃好山に忽ち起り。一名月初め晴れり。げに長閑な時しもや。春の景色松原の。波立ち続く朝霞。月も残り天の原。及びなき身の眺めにも。心そらなる景色かな 下歌 ワキ ワキツレ「忘れめや山路分けて清見潟遥かに三保の松原に。立ち連れいざや。通はん立ち連れいざや通はん 上歌 ワキ ワキツレ「風向かふ。乃浮波立つ見て乃浮波立つ見て。釣せで人や帰るらん。待て暫し春ならば吹くものどけき朝風乃。常磐の聲ぞかし。波は音なき朝凪に。釣人多き小舟かな釣人多き小舟かな ワキ「我三保の、松原上り。浦の景色を、眺むる処に。虚空に花降り音楽聞え霊香四方薫ず。これ常事と、思はぬ處に。これなる美しき、衣懸かれり。寄り見れば色香妙にして常の、衣にあらず。いかさま取り帰り古き、人にも見せ家の宝となさばやと、存じ候 呼掛 シテ「なうそ乃衣ハ、此方乃にて候何しに召され候ぞ ワキ「これハ拾ひたる衣にて候程に取りて、帰り候よ シテ「それハ天人の、羽衣とて。たやすく人間に興ふべき、物にあらず。もと乃如くに、置き給へ ワキ「そもこ乃衣の、御主とハ。さてハ天人にて、ましますかや。さもあらば末瀬の奇特に、留め置き。国の宝と、なすべきなり。衣を返す、事あるまじ シテ「悲しやな羽衣なくてハ飛行乃、道も絶え天上に帰らん事も、叶ふなじ。さりとて返し、賜び給へ カカル ワキ「こ乃御言葉聞くよりも。いよいよ白龍力を得ワキもとよりこ乃身ハ、心なき。天乃羽衣、とり隠し。叶ふまじとて立ち退けシテ「今ハさながら天人も。羽なき如くにて。上らんとすれば衣なし ワキ「地に又住めば下界なり シテ「とやあらんかくやあらんと悲しめど ワキ白龍衣を返さねば シテ力及ばず ワキせん方も 地 「涙の露乃玉鬘挿頭の花もしをしをと。天人五衰目の前に見えて浅ましや シテ天の原ふりさけ見えば。霞立つ雲路まどいて。行方知らずも 下歌 地「住み慣れし空に何時しか行く乃羨ましき気色かな 上歌 地「迦陵頻伽馴れ馴れし迦陵頻伽馴れ馴れし。聲今更僅かなる。雁がね帰り行く。天路聞けば懐かしや。千鳥沖つ波。行くか帰る春風乃空に吹くまで懐かしや空に吹くまで懐かしワキ「いかに申し候。御姿を、見奉れば。餘りに、御傷はしく候程に。衣を、返し申さうずるにて候 シテ「あら嬉し此方へ、賜はり候へ ワキ暫く承り及びたる、天人の舞楽。只今此処にて、奏し給はば、衣を、返し申すべし シテ嬉しやさてハ天上に、帰らん事を得たり。こ乃喜びに、とてもさらば。人間御遊乃、形見の舞。月宮を廻らず、舞曲あり。只今此處にて、奏しつつ。世乃憂き人に傳ふべし、さりながら。衣なくてハ、叶ふまじ。さりとて先ず返し給え ワキ「いやこ乃衣を、返しなば。舞曲をなさで、そのままに。点にや上り給ふべき シテ「いや疑ひハ、人間にあり。天に偽りなきものワキ「あら恥かしやさらばとて。羽衣返し與ふれば【物著(ここで長絹及び舞衣附ける)】 シテ乙女ハ衣を著しつつ。ゲイショウ漢字羽衣乃曲をなし ワキ天乃羽衣風に和し シテ潤ふ花乃ワキ一曲奏で シテ「舞ふとかや 地 次第東遊駿河舞東遊駿河舞この時や。始めなるらん 地 クリ「それ久方乃天と云っぱ。二神出世乃古。十方世界定めしに。空ハ限りなければとて。久方乃。空とハ名づけたり シテ サシ然るに月宮殿有様玉斧修理とこしなへにして 地 「白衣黒衣天人乃。数を三五に分って。一月夜々天少女奉仕定め役をなす シテ「我も数ある天少女 地 「月乃の身を分けて假に東乃。駿河舞世に傳へたる。曲とかや 地 クセ春霞。たなび(漢字)きにけり久方の月乃乃花や咲く。げに花鬘色めくハ春のしるしかや。面白や天ならで。ここも妙な天つ風通路吹き閉ぢよ少女乃姿。暫し留まりて。こ乃松原の。春乃色を三保が崎。月清見潟富士いづれや春乃曙。類ひ波も松風長閑なる浦乃有様。その上天地ハ。何を隔て玉垣乃。内外神乃御裔にて月も曇らぬ日の本シテ君が代天乃羽衣稀に来て 地 「撫づともツ(漢字)きぬ巌ぞと。聞く妙な東歌。聲添えて数々乃。笙笛琴箜篌孤雲乃外に充ち満ちて落日くれなゐ命路乃山をうつして。緑ハ波に浮島が。拂ふ嵐に花降りて。げに廻らす白雲乃袖ぞ妙なる シテ南無帰命月天子本地大勢至 地 「東遊乃舞の曲【序之舞】 シテ ワカ「或ハ。天つ御空緑の衣 地 「又ハ春立つ乃衣 シテ色香妙な少女乃、裳裾 地 「左右左左右諷々の。花を翳し乃。天の羽袖。靡く返すも。舞の袖【破之舞】 地 「東遊数々に。東遊数々に。その名も月乃色人ハ。三五夜中の。空に又。満願真如乃影となり。御願圓満國土成就七寶充満乃寶を降らし國土にこれを。施し給ふさる程に。時移って天の羽衣浦風にたなび(漢字)きたなび(漢字)く。三保松原浮島の。愛鷹山藤野高嶺かすかになりて。天つ御空の。紛れて失せにけり

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