第24回参議院議員通常選挙
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 09:23 UTC 版)
概要
参議院の議員定数242人の半数、すなわち、2010年(平成22年)7月11日執行の第22回参議院議員通常選挙で選出された選挙区73議席と比例区48議席の合計121議席が、当選挙での改選対象となった。
2015年6月17日に成立した18歳選挙権に関連した公職選挙法改正により、選挙権年齢が20歳以上から高校生を含む18歳以上[注釈 5]に引き下げられてから初めての国政選挙である(18歳選挙権が適用された初の選挙は同年7月3日に執行された福岡県うきは市長選挙)。
また、同年7月28日の公選法改正により、今回から定数10増10減が実施された。宮城県選挙区・新潟県選挙区・長野県選挙区では、いずれも定数4・改選数2から定数2・改選数1に減らされた(参議院一人区)。鳥取県選挙区と島根県選挙区、徳島県選挙区と高知県選挙区とがそれぞれ合併され参議院合同選挙区(鳥取県・島根県選挙区、徳島県・高知県選挙区)となり、定数2・改選数1となった。北海道選挙区・兵庫県選挙区・福岡県選挙区はいずれも定数4・改選数2から定数6・改選数3に、愛知県選挙区は定数6・改選数3から定数8・改選数4に、東京都選挙区は定数10・改選数5から定数12・改選数6に、それぞれ増やされた[5]。
このため、最も人口が少ない選挙区は福井県選挙区となった。
平成時代最後の参議院議員通常選挙である。本選挙から平成時代が終わるまで、参議院の補欠選挙も行われなかったため、平成時代最後の参院選となった。
政党・政治団体の動き
与党
- 連立与党である自由民主党(自民党)と公明党は、今回の参院選でも選挙協力を行うこととし、自民党総裁である安倍晋三首相と連立パートナー・公明党の山口那津男代表は、勝敗ラインとして改選議席の過半数である61議席を自公で獲得することを目指すとしている[6]。また、北海道を本拠地とする新党大地の鈴木宗男代表は「共産党が入った野党協力には協力できない」とし、新党大地が今回の参院選において公認候補を立てず、北海道選挙区に出馬する自民党公認候補の支援に回ることも決定している[7]。なお、今回の参院選では、自民党は選挙区48人・比例区25人を[8]、公明党は多くの選挙区で自民公認候補の推薦に回るほか、埼玉・東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫・福岡の各選挙区にそれぞれ1人ずつ・比例区に17人を擁立[9]。
野党
- 2016年2月19日、当時の野党5党の党首(民主党・岡田克也、維新の党・松野頼久、日本共産党・志位和夫、社会民主党・吉田忠智、生活の党と山本太郎となかまたち・小沢一郎)が国会内で会談を開き、平和安全法制の廃止に向けて今回の参院選などについてできる限り協力していくことや、「安倍政権の打倒」「今後の国政選挙で与党とその補完勢力を少数に追い込む」等の目標で合意した[10]。その4日後の2月23日に行われた野党5党の幹事長・書記局長の会談では、共産党が参院選における定員が1人のいわゆる参議院一人区で党の公認候補者の多くを取り下げる方針を示した。その上で、野党共闘へ向けた候補者調整を目指すことで合意した[11]。
- この方針によって、民主党と維新の党などが合併して2016年3月に誕生した民進党と共産党を中心に、5月31日には32の一人区全てに、同士討ちを避ける目的で候補者が一本化された(野党統一候補の内訳は無所属16人、民進党公認15人、共産党公認1人)[12]。なお、この一本化により選挙区からの出馬を取り下げた共産党の候補者は、比例区に鞍替えし共産党の公認候補として出馬[13]。
- 一方で、社民党は参議院比例区において候補者を統一する「統一名簿構想」(「オリーブの木」構想[14])を生活の党とともに検討し、民進党側にも共闘を呼び掛けたが、6月4日に民進党が「時間的・物理的に困難」という理由で社民党側に断念することを伝えた。また、社民党は生活の党との統一名簿では規模が小さく効果が期待できないため、単独で選挙する方針を決めた。これにより比例区では各党が単独で選挙戦を戦うことになった[15][16]。なお、今回の参院選の比例区では、社民は7名の公認候補者を[17]、生活は5名の公認候補者を[18]、それぞれ擁立した。また社民党は選挙区では、東京・神奈川・愛知・福岡といった複数区に候補者1人ずつを擁立。
- また沖縄県選挙区では、上記4党に加え沖縄社会大衆党などの地元の地域政党が選挙協力を行い支援に回った、いわゆる「オール沖縄」の候補者を擁立[19]。
- おおさか維新の会は、独自に選挙区・比例区ともに候補者を擁立(選挙区18人・比例10人)したほか、5月25日には河村たかし名古屋市長が代表を務める地域政党減税日本と参院選での選挙協力で合意したことを、おおさか維新の会代表の松井一郎大阪府知事が河村市長とともに発表した。減税日本の本拠地である愛知県を選挙区とする愛知県選挙区に、減税日本が擁立する立候補者をおおさか維新が共同で公認するとしている[20]。
- 中山恭子代表の日本のこころを大切にする党は、比例代表に5人、選挙区には北海道・埼玉・東京・千葉・神奈川・愛知・兵庫・広島・福岡の選挙区に候補者を擁立[21]。また、荒井広幸代表の新党改革は、東京都選挙区に公認候補を1人擁立するほか、比例区に9人を擁立[22]。
- 一方、アントニオ猪木代表率いる日本を元気にする会は、国会に議席を置く政党としては唯一、今回の参院選において公認候補者の擁立ならびに候補者の支援・推薦を見送った。
諸派
候補者を公認で擁立した党
- 大川隆法総裁・釈量子党首の幸福実現党は、全都道府県選挙区と比例区に公認候補を擁立する方針を示した。2015年12月2日、第一次候補者として徳島・高知選挙区に擁立する候補者を発表[23]したのを皮切りに、翌2016年6月までに45の選挙区すべてに候補者を擁立。また、比例区には2名の候補者を擁立した[24]。
- 東京都選挙区では、元牧師・又吉光雄代表の世界経済共同体党、鈴木信行代表の維新政党・新風、福祉関係小売店経営・藤代洋行代表のチャレンジド日本、建築物管理業・ひめじけんじ代表の地球平和党(旧『平和党核兵器廃絶平和運動』)、介護事業会社社長・犬丸勝子代表の『犬丸勝子と共和党』(立国党から改名)、以上5党がそれぞれ候補者を擁立。また、選挙区および比例区では、確認団体として、慶應義塾大学名誉教授・小林節代表の『国民怒りの声』(選挙区1人・比例10人)、情報サービス会社社長・佐野秀光代表の政治団体『支持政党なし』(旧新党本質→安楽死党、選挙区8人・比例2人)が、それぞれ候補者を擁立。
候補者を公認で擁立しなかった党
- 前回2013年の参院選に、単独で選挙区・比例区あわせて10人の公認候補者を擁立した緑の党グリーンズジャパンは、今回の選挙では公認候補の擁立はせず、民進・共産・社民・生活の野党4党の選挙協力に参加し、4党が公認及び支援を行う候補者の支持や推薦に回り、東京都選挙区では4党協力とは別の無所属候補者を独自に支援している[25]。また、前回2013年の参院選にスマイル党から出馬した同党総裁・マック赤坂も、今回の参院選の直後に行われる2016年東京都知事選挙への出馬準備のため、参院選出馬を見合わせた。
参院選1人区の候補政党事情
- 上記のことから、今回の参院選における1人区32のうち山梨県選挙区、奈良県選挙区、香川県選挙区、徳島県・高知県選挙区、熊本県選挙区を除いた27の選挙区で、自民公認・公明推薦の与党候補、民進・共産・社民・生活の野党4党統一候補、幸福実現党公認候補、以上3名の立候補となった。
- 山梨県選挙区・香川県選挙区は与党・野党・幸福に加え、無所属候補を合わせた4名が立候補。
- 奈良県選挙区は与党・野党・幸福に加え、おおさか維新の会公認候補を合わせた4名が立候補。
- 徳島県・高知県選挙区は公明党が自民党公認候補者に推薦状を出さず自主投票にすることとした。
- 熊本県選挙区は与党・野党・幸福に加え、政治団体・支持政党なし公認候補を合わせた4名が立候補。
選挙データ
内閣
- 第3次安倍第1次改造内閣(第97代)
公示日
投開票日
有権者数・投票率など
- 選挙時登録日現在選挙人名簿登録者数106,600,401人(男51,549,824人、女55,050,577人)、国内合計106,494,872人(男51,501,232人、女54,993,640人)、在外合計105,529人(男48,592人、女56,937人)[26][27]。
- 選挙当日の有権者数106,202,873人(男51,326,614人、女54,876,259人)、国内合計106,097,679人(男51,278,222人、女54,819,457人)、在外合計105,194人(男48,392人、女56,802人)[28]
- 今回の参院選における投票率は、54.70%で、前回3年前の参院選に比べて2.09ポイント上回った(総務省まとめ)[29]。
- 18歳の有権者数は1,194,344人、投票者数は612,433人、投票率は51.28%(7月11日公表抽出調査51.17%)。19歳の有権者数は1,201,028人、投票者数は508,088人、投票率は42.30%(7月11日公表抽出調査39.66%)、18歳19歳の投票率46.78%。
- 選挙区別での投票率は、高投票率1位は長野で62.86%。反対に低投票率1位は今回から徳島と合区となった高知だった[30]。
- 期日前投票者数は前回3年前の参院選に比べて23.47%増の15,986,898人、選挙人名簿登録者数に占める合計の割合15.00%。これまで最多だった2009年衆院選の1398万人を上回り、国政選挙で過去最多となった[31]。
- 開票結果最終確定は投票締めきりの7月10日20時から約18時間後の7月11日14時頃。
- 選挙区合計投票者数58,094,005人(男28,296,824人、女29,797,181人)、国内合計58,070,644人(男28,284,858人、女29,785,786人)、在外合計23,361人(男11,966人、女11,395人)。合計投票率54.70%(男55.13%、女54.30%)、国内合計54.73%(男55.16%、女54.33%)、在外合計22.21%(男24.73%、女20.06%)。投票総数58,092,778(有効投票数56,555,393、有効投票率97.35%。無効投票数1,537,385、無効投票率2.65%)。
- 比例代表合計投票者数58,085,578人(男28,292,337人、女29,793,341人)、国内合計58,061,964人(男28,280,256人、女29,781,808人)、在外合計23,614人(男12,081人、女11,533人)。合計投票率54.69%(男55.12%、女54.29%)、国内合計54.73%(男55.15%、女54.32%)、在外合計22.45%(男24.96%、女20.30%)。投票総数58,083,019(有効投票数56,007,830、有効投票率96.43%。無効投票数2,075,189、無効投票率3.57%)。
選挙制度
改選数
定数の変更
今回は選挙区定数の10増(北海道・東京・愛知・兵庫・福岡各2人)10減(宮城・新潟・長野各2人、鳥取・島根と徳島・高知を合区し各2人)が行われる。
- 選挙区
北海道 3
青森 1
岩手 1
宮城 1
秋田 1
山形 1
福島 1
茨城 2
栃木 1
群馬 1
埼玉 3
千葉 3
東京 6
神奈川 4
新潟 1
富山 1
石川 1
福井 1
山梨 1
長野 1
岐阜 1
静岡 2
愛知 4
三重 1
滋賀 1
京都 2
大阪 4
兵庫 3
奈良 1
和歌山 1
鳥取・島根 1
岡山 1
広島 2
山口 1
徳島・高知 1
香川 1
愛媛 1
福岡 3
佐賀 1
長崎 1
熊本 1
大分 1
宮崎 1
鹿児島 1
沖縄 1
太字は複数改選の選挙区。 は新たに定数増加、 は新たに定数減少のあった選挙区。 |
イメージキャラクター・キャッチフレーズ
- 選挙権が18歳に引き下げられて初めての国政選挙であることから、総務省は「18歳からの選挙権」と題し、キャンペーンを展開。6月19日に18歳を迎えた広瀬すずをイメージキャラクターとして選挙ポスター等に起用[32][33]。
- キャッチフレーズは「選挙は私たちが主役ですから。」「日本の将来を決めに行こう」。
その他
党派別立候補者数
党派 | 候補者数 | 改選数 | 公示前 勢力 |
当選者数 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
合計 | 選挙区 | 比例 | ||||||
自由民主党 | 73 | 48 | 25 | 50 | 115 | 56 | ||
民進党 | 55 | 33 | 22 | 45 | 62 | 32 | ||
公明党 | 24 | 7 | 17 | 9 | 20 | 14 | ||
日本共産党 | 56 | 14 | 42 | 3 | 11 | 6 | ||
おおさか維新の会 | 28 | 10 | 18 | 2 | 7 | 7 | ||
日本のこころを大切にする党 | 15 | 10 | 5 | 0 | 3 | 0 | ||
社会民主党 | 11 | 4 | 7 | 2 | 3 | 1 | ||
生活の党と山本太郎となかまたち | 5 | 0 | 5 | 2 | 3 | 1 | ||
日本を元気にする会 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | ||
新党改革 | 10 | 1 | 9 | 2 | 2 | 0 | ||
幸福実現党 | 47 | 45 | 2 | 0 | 0 | 0 | ||
国民怒りの声 | 11 | 1 | 10 | 0 | 0 | 0 | ||
支持政党なし | 10 | 8 | 2 | 0 | 0 | 0 | ||
減税日本[注釈 6][注釈 7] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
世界経済共同体党[注釈 8] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
維新政党・新風[注釈 9] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
チャレンジド日本[注釈 10] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
地球平和党[注釈 11] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
犬丸勝子と共和党[注釈 12] | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||
沖縄社会大衆党 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | ||
無所属 | 38 | 38 | - | 4 | 11 | 4 | ||
欠員 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | ||
合計 | 389 | 225 | 164 | 121 | 242 | 121 |
- 公示前勢力、候補者数の順で参考にして並べている。
- 小野次郎、柴田巧、山田太郎の3名は、平成12年に国会法109条の2(比例代表選出議員の失職)が規定されて以来はじめてとなる、推薦無所属の比例代表候補である。表では推薦政党に含めて表示している。
注釈
- ^ 前身の民主党時代を含む。
- ^ 前身の政党である民主党による選挙結果。
- ^ 前身の次世代の党時代を含む。
- ^ 前身の生活の党時代を含む。
- ^ 投票日翌日の7月11日までに18歳の誕生日を迎える者が投票できた(この場合は1998年(平成10年)(18年前(6つ前の第18回参議院議員通常選挙の実施年))に生まれた人。[4]。全日制高校3年生のうち投票できたのは2-3割である[要出典]、高校生選挙を参院選で実現したいなら、参院選年(この例では、当年=2016年)の4-6月(確実に)に生誕して、その後18年後(その場合は2034年=第30回)参院選で高校生選挙ができる。
- ^ 愛知県選挙区(立候補届出順位4番[37])
- ^ おおさか維新の会と共同での公認となる。
- ^ 東京都選挙区(立候補届出順位9番[38])
- ^ 東京都選挙区(立候補届出順位15番[38])
- ^ 東京都選挙区(立候補届出順位28番[38])
- ^ 東京都選挙区(立候補届出順位29番[38])
- ^ 東京都選挙区(立候補届出順位31番[38])
- ^ 上限・中心・下限を示している場合は中心のみ抜粋。
- ^ 公明党自身は、自ら「改憲勢力」ではないとしている[54][55]
- ^ a b c d e f 具体的な数値予測は示していない。
- ^ a b 自民・公明・おおさか維新・民進・共産以外はすべて「その他」に集計されている。
- ^ a b 欠員1名。
- ^ 衆議院議員経験者
- ^ 埼玉県知事選挙立候補のため。
- ^ 静岡県知事選挙立候補のため。
- ^ 不祥事による引責のため
- ^ 衆議院議員総選挙立候補による自動失職のため。
- ^ 他党から参議院議員通常選挙立候補のため。
- ^ 国会法の規定により民進党の結党に参加できず無所属議員のまま、会派「民進党・新緑風会」に参加していたが、改選の際に民進党公認として出馬するため任期満了直前で議員辞職している。
出典
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