AD&D1版(1977)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 09:08 UTC 版)
「ビホルダー」の記事における「AD&D1版(1977)」の解説
AD&D1版『Monstrou Manual』(1977)に登場。 AD&D1版は上級ルール的な位置付け(直接の互換性はないので上級者向けゲーム)であり、ビホルダーはこちらに収録された。直径4~6フィート、Lサイズの怪物に改められ、全身は幾重にも重なるキチン質の外殻に覆われている(眼とeyestalksも同様だが体に比べると薄い)。悪意に満ち、好戦的かつ貪欲なので普通戦闘は避けられない。ただし特に強力なパーティーに対しては50%の確率で交渉に応じることがある(交渉内容を曲解して後に襲撃してくることは充分有り得る)。 独自の言語の他、ローフル・イビルの言語を話す。 1:Charm Person Spell 2:Charm Monster Spell 3:Sleep Spell 4:Telekinesis 5:Flesh-Stone Ray 6:Disintegrate Ray 7:Fear(as a wand) 8:Slow Spell 9:Serious Wound 10:Death Ray 11:Anti-Magic Ray Anti-Magic Ray(アンチマジック・レイ)はAD&D固有のルールであるモンスターの魔法抵抗力(MAGIC RESISTANCE)の特殊な形とされた。ビホルダーのアンチマジック・レイは照射範囲内の魔法を100%無効化する。怪物の成り立ちに由来するいわば自然な現象であるため、その使用に際し照射範囲以外の制限は無い。一方で範囲外からの魔法に対しては魔法抵抗力がない上、「自身に掛けられた魔法に対する100%の抵抗」であるため、自身のeyestalksの魔法、そしてマジックアイテムに対する影響は明記されていない。後述記事「ビホルダーの生態」では魔法の呪文や呪文に似た力のみを停止させ、魔法の剣の+ボーナスには作用しないだろうとされている。eyestalksについては触れられていない。 eyestalksは一つの方向90°に1d4本、攻撃範囲が90°増えるごとに倍の数(後方180°には最大8本、左右後方270°には最大10本)使用できる。7「恐怖」が円錐状の光線を照射するマジックアイテムのwand扱い、9「重傷」がSpellともRayとも表記されていない(有効距離のみが記されており判定方法は不明)以外、魔法の内訳も同じ。 ビホルダーに対する近接攻撃は常にどこに命中し得るかの判定(キャラクターの狙いとビホルダーの回避の結果としてパーセンテージ判定)の後に命中判定を行う。本体75%、一つ目10%、いずれかのeyestalks10%、いずれかのeyestalks先端の単眼が5%である。単眼は命中すると即座に使用不能になる。 DRAGON #78(1983.8.)にはEd GreenwoodとRoger E. Mooreによる記事「ビホルダーの生態」が掲載された。 ビホルダーの体の中心には脳に囲まれるレヴェイター・マグナス(levator magnus)と呼ばれる魔法の器官があり、これがビホルダーの恒久的浮力を生じさせている。いかなる魔法を用いてもこの働きを止めることはできない反面、ビホルダーは強い風圧に抗えない。故に風のない地下の空洞や遮蔽物の多い荒れ地を好む。 アンチマジック・レイは微かに灰色がかった可視光線で全長140ヤード、基点(=一つ目周辺)で直径1フィート、底面で直径10フィートの細長い円錐状で、普通一人に向けられる。 雑食性だが非常に生肉、特に牛や馬、そして人間を好み、植物も種類を問わず大量に消費する食物連鎖の頂点である。骨などの不消化物は巣を特定されぬよう離れた場所に老廃物と共に吐き出す。独自言語さえ持つビホルダーだが、これらの特徴ゆえに同族との同盟を望みながらも互いの生活圏を侵さぬよう離れて暮らしている。自身の安全や財宝の収集を担う召使いや僕を従えていることもある。 年に1度、全てのビホルダーは生殖巣から口腔を経て直径1フィートの卵を1~4個吐き出す。卵はツヤのない白色で皮の球体のような質感と外観、捕食者を寄せ付けない不快な臭いを持つ。ビホルダーは自身が孵った荒れ果てた岩の丘を記憶しており、本能的に同じ場所=幾世紀にもわたる産卵場所に卵を産み捨てる。この臭いと歴代の産卵場所はビホルダーを滅ぼそうとする者を結果的に引き寄せてしまう。卵は世話される事無く、気候や病気、殺戮者に曝されながらも2~12ヶ月で直径3フィートまで膨らみ孵化する。この発達期間のばらつきのため、ビホルダーの産卵に特定の季節や周期はない。孵化した幼生は卵の殻を食すことで成体の能力を引き継ぐ。当初の能力は相応に低いが、1年で成体になる。 ビホルダーの寿命は季節が900回巡る程(=約225年)と言われている。 戦闘において、ビホルダーは魔法を使うべく距離を保とうとする。テレキネシスの力で飛び道具を逸らしたり取り上げながら、アンチマジック・レイを魔法を使いそうなもの=防具を付けていないものに向ける。接近戦においても武器の届かぬ位置に浮かび上がりつつ体を傾けて目の魔法を使うであろうから、ビホルダーとの屋外戦は困難。ビホルダーは飛行速度こそ緩慢だが空中での旋回性など機動力は高く、飛行高度も呼吸可能な高度まで制限なく上昇できる。天井の下、大勢の射手を雇ってビホルダーや僕から守り、大量の矢を射かけさせるのが最良だが上手く餌に毒を仕込めた例もある、とされている。 背景世界の一つフォーゴトン・レルムのウォーターディープの犯罪王「ザナサー(Xanathar、国内移植版『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』(1991)ではクサナタール)」は今日までサプリメントなどに登場している。
※この「AD&D1版(1977)」の解説は、「ビホルダー」の解説の一部です。
「AD&D1版(1977)」を含む「ビホルダー」の記事については、「ビホルダー」の概要を参照ください。
- AD&D1版のページへのリンク