【9mm機関けん銃】(きゅうみりきかんけんじゅう)
自衛隊で使用されている国産のマシンピストル、「ミネベアM9」の制式名称。
9mmけん銃の後継及びロードマスター、輸送機パイロット向けの自衛用として開発・生産された。
開発は9mmけん銃のライセンス生産やニューナンブM60の製造をしているミネベアが担当した。
機関部は削り出し加工にて製造されている。
また、自動小銃などで一般的なセレクタレバーによるフルオート、セミオートの切り替えが可能である。
もちろん(64式小銃や89式小銃と同様に)「ア」「タ」「レ」の文字も刻まれている。
銃弾は9mmけん銃同様に9ミリパラベラム弾(9mmx19)を用いる。
作動方式は単純吹き戻し方式でオープン・ボルト撃発となっている。
一般的にオープンボルトはその機構上、銃身がぶれやすく命中精度が悪くなるが、本銃は大型のフラッシュハイダーを装着しているため、この手の火器としては比較的命中精度が高い。
弾倉は箱型で1つにつき25発装填可能。
本銃最大の欠点は、(1挺あたり約42万円と非常に高価な)調達価格である。
これは(武器輸出三原則等との関係で)調達数が少ない上に実際の調達数以上の生産設備を維持する経費も含まれていることが関係している。
現在、陸上自衛隊向けの生産は終了しているが、航空自衛隊及び海上自衛隊向けの生産は続けられている。
なお、最初に調達要求をしたのは航空自衛隊であった。
余談ながら、本銃はサブマシンガンと間違われており、MP5やUZIなどとよく比較されることが多いのだが、名称にもあるとおりマシンピストルである。
また、タスコ・ジャパン(現 サイトロン・ジャパン)より本銃向けにレールシステムが発売されている。
スペックデータ
口径:9mm
全長:399mm
銃身長:120mm
重量:3.5kg
装弾数:25発(箱型弾倉)
仕様弾薬:9mmパラベラム弾
作動方式:単純噴出し式・オープンボルト撃発、セミオート/フルオート切替式
発射速度:約1,185発/分
有効射程:約25m
製作 ミネベア株式会社
9mm機関けん銃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/02 06:37 UTC 版)
9mm機関けん銃(9ミリきかんけんじゅう)[1]は、長野県の企業であるミネベア(現ミネベアミツミ)社が製造し、1999年に自衛隊が採用した9 mm口径の短機関銃[注釈 1]である。防衛省は略称をM9、広報向けの愛称を一般公募から選ばれた「エムナイン」としている。
注釈
- ^ 自衛隊の前身である警察予備隊では、サブマシンガンを「短機関銃」と呼称し、その後発足した自衛隊・防衛庁(当時)もこれを継承した。なお、「拳」の字は常用漢字ではなかったため、『武器等製造法施行規則』(昭和28年9月1日通商産業省令第43号)や、『法律第百十五号(平13・11・2)自衛隊法の一部を改正する法律』においては、「機関けん銃」と表記されている
- ^ 11.4mm短機関銃(トンプソン・サブマシンガン・M3サブマシンガン)更新用として、1960年代にニューナンブM66短機関銃が試作されたが採用されずに終わった。
- ^ 量産品のグリップパネルおよびフォアグリップは黒色の樹脂製だが、試作品では木製だったとされ、陸上自衛隊武器学校に収蔵・展示されている試作品のグリップパネルは木製である(ただし、武器学校の展示品にはフォアグリップが付いていない)。また、防衛省公式の画像などにはフォアグリップおよびグリップパネルが茶色のものが存在している。
- ^ 配備された部隊の指揮官のコメントに拠れば、威力不足や命中精度の面から「従来の9mm拳銃や折り曲げ銃床式の89式の方がはるかにマシ」との意見があり、『ここが変だよ自衛隊』などの書籍に掲載されている
出典
- ^ a b c d e f g 『9mm機関拳銃』 陸上自衛隊装備紹介
- ^ a b c d e f 大井川, 武如「陸上自衛隊本隊の装備その1」『月刊Gun』第43巻第5号、国際出版、2004年4月、100-102頁、2019年8月20日閲覧。
- ^ 「エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]」p139
- ^ “平成26年度調達予定品目(中央調達分)” (PDF). 2015年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年2月22日閲覧。
- ^ 『月刊アームズ・マガジン』2003年12月、35頁。
- ^ 『エリートフォーセス 陸上自衛隊編[Part1]』ホビージャパン、34頁。
- ^ 大波篤司『図解ハンドウェポン』新紀元社。
- ^ Matsuo, Satoshi「9mm機関拳銃」『Gun Professionals』2021年10月、116-119頁。
- ^ 防衛省・自衛隊 予算等の概要 平成12年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度
- ^ “防衛省仕様書改正票 9mm機関けん銃” (PDF). 2010年8月11日閲覧。
- ^ 『Jground』第17巻、イカロス出版。
- ^ 『自衛隊図鑑2002』学研〈歴史群像シリーズ〉。
- ^ 大波篤司『ミリダスJ』新紀元社。
- ^ “契約に係る情報の公表(中央調達分)”. 2019年4月1日閲覧。
- ^ “調達予定品目(中央調達分)”. 2019年4月1日閲覧。
- 1 9mm機関けん銃とは
- 2 9mm機関けん銃の概要
- 3 登場作品
- 4 脚注
固有名詞の分類
- 9mm機関けん銃のページへのリンク