2000年代中期~後期 -若手の伸び悩み、V系メタル-
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「ジャパニーズ・メタル」の記事における「2000年代中期~後期 -若手の伸び悩み、V系メタル-」の解説
「レコード会社#メジャー・レーベルとインディーズ・レーベル」も参照 2000年代以降にデビューし、目立った活動をした主なバンド、アーティストには陰陽座、GALNERYUS、Cloud Nine、夜叉、BLOOD STAIN CHILD等がいる。 しかし、それらの大半はセールス・興行という観点で成功とは言いがたい、あるいは、一応成功しているにしても、そこから伸び悩む状況に終始しているのが実情である。日本産ヘヴィメタルバンドのCDが売れず、観客動員数も少ない背景として、当時のライブハウスの関係者は「バンド側が“自分達の音楽がわかってくれる人にだけ”やっている」「外の社会にそういう閉鎖的な見方でやっているから、結局、自分達も閉鎖的なカテゴライズされた世界に入ってしまっている」と分析し、、ある大手レコード店の店長は、メタルのCDが国に関係なく売り上げが厳しいことを踏まえて、洋楽は純度の高いメタルは受け入れられているが、邦楽は純度が高いと受け入れられない、陰陽座やSEX MACHINEGUNSの様な他の要素が入ったバンドは成功していると分析し、「80年代のジャパメタのカッコ良かったエッセンスを受け継いでいるのは、ヴィジュアル系だと思うんですよね。視覚的なところ、フレージングひとつにしてもね。実際にメタルをやっている人は、そこをないがしろにしているような気がします」とも語っている。 2006年には、DIR EN GREYが海外進出し、日本のメタルバンドとして海外では認知されるようになったものの、海外デビュー当時は、日本のメタル専門マスコミの関係者たちの間には、DIR EN GREYをメタルバンドとして認めない風潮が根強く存在しており、実際、2006年のLOUD PARK06に出演した際に、音楽評論家の伊藤政則が「BURRN!」誌上で「なぜ、LOUD PARKにヴィジュアル系が出演するのか?」と批判を繰り返しているなど、日本と海外での評価が大きく分かれていた。ただし、時間を経て状況は少しずつ変わり、2011年現在は「BURRN!」でもDIR EN GREYのインタビューが普通に掲載されている。また、2003年にメジャーデビューしたムックも2005年にドイツで開催されたメタルフェスヴァッケン・オープン・エア への出場、2008年の「Taste of Chaos」でAvenged Sevenfold、Bullet For My Valentine、Atreyu、As I Lay Dyingなどのバンドと共演を果たすなど、海外進出を行った。他にも、2004年結成のラウドロック、オルタナティブ・メタル、メタルコア 等にダークさや美麗な歌メロを取り入れ、後にLOUDNESSや44MAGNUMやDEAD ENDなどの大御所と対バンをしたり、ラウドロック勢と盛んに交流をしながら全欧デビューも果たしたlynch.や。同じく2004年結成でニューメタル、ミクスチャー色が濃くヴァッケン・オープン・エアに出場したり、海外ツアーも行ったgirugamesh(ギルガメッシュ)、1999年結成のインダストリアル・メタル、ゴシックメタルの要素が強いD'espairsRayもヴァッケン・オープン・エアに出場(2006年8月)したり、実力のあるバンドが存在している(存在していた※)。※D'espairsRayについては、2011年6月15日付けで、girugameshについては、2016年7月10日に惜しまれつつ解散。 1992年から活動を続けるドゥームメタルバンドBORISは、2005年にサザンロード・レコーズ(日本ではDiwphalanx Records)からアルバム『PINK』をリリースし、全世界で5万枚のセールスを記録、ピッチフォーク・メディアのTop 50 Albums of 2006では9位を獲得した。また、2008年にはアルバム『Smile』の先行シングル「Statement」がビルボードのシングルチャートで初登場23位にランクイン、アルバム『Smile』もビルボードのトップ・ヒートシーカーズで20位を獲得している。2007年ごろからは、ポーティスヘッド、フレーミング・リップス、ペイヴメント、ナイン・インチ・ネイルズらとライブで共演を果たしている。 2000年代後半にはVersailles、元Galneryusのメンバーが在籍するDELUHI、現「BURRN!」編集長の広瀬和生が高く評価を与えていたNoGoD等が音楽雑誌やネット上で注目を集めることとなった。サム・ダン監督のドキュメンタリー映画「グローバル・メタル」でマーティ・フリードマンがヴィジュアル系のファンとヘヴィメタルファン同士の対立の激しさを証言しているように、ひと度ヴィジュアル系として認知されたバンドについては、その後に国産メタル以上に純度の高いヘヴィメタルを演奏しても認めない風潮があり、同映画でインタビューを受けたSighの川嶋未来は、サム・ダンの「ヴィジュアル系がメタルではないと思う理由は?」との質問に「メタルがクールだから、それが答えだ」と答えている。 その他、音楽ライターの土屋京輔は、上記のバンドだけでなくマキシマム・ザ・ホルモン、9mm Parabellum Bullet、FACTのようなバンドも新世代のメタルバンドとして高く評価している。 かつてはSHOW-YAに代表された女性ボーカルのメタルバンドや女性メタル系シンガーについては、2000年代に入ってからはヘッド・フォン・プレジデント、HIGH and MIGHTY COLOR、LIV MOONなどの若手・中堅世代が登場している。また、いとうかなこ、栗林みな実、中野愛子の様にそもそもアダルトゲーム主題歌やアニメソングなどのサブカルチャーの分野から表舞台に登場し、周囲のメタル系ミュージシャンからHR/HMに近い様式の楽曲の提供を数多く受けているシンガーも見られる。 2008年にはSHOW-YAを中心とした女性ロッカーのためのイベント「NAONのYAON」の復活開催が行われ、かつての出演者以外にも新たに相川七瀬、長澤奈央らが出演し、一時休止後の2013年には平野綾、中川翔子らが出演するなど、HR/HM系の内外から幅広くミュージシャン、女優、シンガーが集まり、以降も継続的に開催されている。
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