食性と摂食
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1996年、マーティルらは Irritator challengeri が長い吻部と鋸歯状でない円錐形の歯を持つことから、少なくとも部分的には魚食性であった可能性が高いとした。ホロタイプの形態の多くは彼らの考えていたものと大きく違ったものの、後の研究はこれらの観察結果を支持した。スピノサウルス科の顎は狭く長く、同歯性の尖った歯を持ち、最も魚を食べる現生ワニのインドガビアルにも特に見られる配列であった。スピノサウルス亜科の円錐形の長い歯は鋸歯状の縁を持たず、獲物を刺して確保するのに適していた。これらの歯は、肉を切り裂くのに向いた他の獣脚類のものとは異なった。 イリタトルは硬い二次口蓋と小さな前眼窩窓がワニと共通した。2007年にイギリスの古生物学者エミリー・J・レイフィールドらが有限要素法研究により、これらの性質が他のスピノサウルス科にも存在し、摂食の際の獲物によるねじりの力に対する頭骨の抵抗性が高まったと発見した。これと対照的に大半の獣脚類は二次口蓋を持たずに巨大な前眼窩窓を持ち、強度を捨てて頭骨を軽い構造にしていたとエミリーらは指摘した。イリタトルの外鼻孔は吻部先端から遥か後方へ移っていた。これは口の内側と鼻腔を分ける二次口蓋と共に、獲物を抑えている時や水中でも呼吸ができるようにしていた。特に、イリタトルの二次口蓋は首の筋肉が卓越していたことを示唆しており、これは水の抵抗に逆らって素早く顎を閉じることと、急速に頭を引っ込めることに必要とされた。2015年、ドイツの古生物学者セルヨスカ・W・エヴァースらは同様の適応がアフリカのスピノサウルス科シギルマッササウルスにも見られると発見した。この属の頸椎は下面に幾重もの溝が入っている。これは魚や小型の獲物を素早く獲物を捕らえる際に使用した強力な首の筋肉が附随していたことと矛盾せず、この特徴は現生のワニや鳥類にも観察される。セイルズとシュルツが2019年に発表した論文では、イリタトルやバリオニクス亜科は前方に位置した大型の鼻孔と広大な鼻腔を頭骨に持つため、スピノサウルスよりも嗅覚に狩りを頼っていた可能性があると提唱された。スピノサウルスはおそらく視覚、あるいはワニが水中で動く獲物を感じ取るために使う機械的受容器を主に使っていた。 他にスピノサウルス科がガビアルと共有する特徴としては、魚を捉えるのに適した、噛み合う歯がロゼット状をなす肥大した吻部先端が挙げられる。知られている大半のスピノサウルス科よりは低い度合いであるものの、この特徴は Angaturama limai のホロタイプ標本にもある。しかし2002年、スースらはスピノサウルス科が完全に魚食に特殊化したと想定する理由がないと指摘した。頭部の形態はジェラリックな食性を示唆し、特に小型動物を獲物としていたと彼らは強調した。事実、肢足歩行の植物食性恐竜である若いイグアノドンが、バリオニクスの骨格化石の中から発見されている。2004年にナイシュらはイリタトルが沿岸に生息するジェネラリスト捕食者として水棲動物と陸棲動物を両方とも狩り、さらにおそらくは死肉も漁っていたという仮説を支持した。イリタトルに属する歯には翼開長3.3メートルほどのオルニトケイルス科翼竜の頸椎に刺さって発見されたものもある。このことから、狩りを行ったのか死体を漁ったのかは不明であるものの、イリタトルが翼竜も捕食していたことが示唆されている。2018年には、オーレリアノらがロムアルド累層の食物網のシナリオを発表した。ロムアルド累層産のスピノサウルス亜科は陸棲及び水棲ワニ上目、カメ、小型から中型の恐竜を捕食した可能性があると彼らは提唱した。スピノサウルス亜科はこの生態系における頂点捕食者であっただろう。
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食性と摂食
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 06:16 UTC 版)
ハドロサウルス科であるクリトサウルスは大型で二足歩行と四足歩行を行う草食動物である。複雑な頭骨は植物を食べ咀嚼に似た磨り潰し運動をするのに適している。歯は次々に生え変わり、デンタルバッテリーには数千の歯が詰め込まれ、常時一部のものだけが使用されていた。植物は広いくちばしで刈り込まれ、頬に似た構造の顎の中に送り込まれた。摂食は地上から4 m程度の高さで行われたようだ 。クリトサウルスから分離された属で、よく似た同時代の属であるナアショビトサウルスとの間に棲み分けがあったかは不明である。
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