食性・営巣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/22 04:03 UTC 版)
彼らは捕食性であり、おもに他の節足動物を捕らえて女王や幼虫の餌にする。働きアリ自身はおもに液状の餌を摂取して活動エネルギー源としており、ユーカリの樹液や、樹上でカイガラムシの分泌する甘露なども対象となる模様である。 彼らは昼間、その発達した視覚も活用して獲物を探すが、夜間も活動している。巣の外では行列を作るなどして大集団の行動をとることはなく、1〜数頭単位で出かけ、餌を探す。餌は主に昆虫類であるが、比較的小型の両生類や爬虫類なども狩りの対象からは外れない。 狩りにおいて働きアリたちはその長大な大顎を、標的の殺傷、切断よりもむしろ捕縛、固定に用いており、然る後腹部の針から注入する強力な毒でとどめを刺す。 獲物は多くの場合巣へ運搬ののち解体され幼虫と女王に提供されるが、キバハリアリたちはそれらの餌をあまり器用に細かく裁断したり団子状に加工したりはできず、より進化の進んだアリに比べると食べ滓が多く残る傾向にある。巣内には等脚類、甲虫等多様な好蟻性生物が寄生しており彼らの分解活動の果たす役割が大きいと想像されているが、確認はされていない。充分餌を摂り成熟した幼虫は繭を作って蛹化するが、自らの吐く糸だけでは繭を形成できず、働きアリが繭形成を補助する基質(砂など)のある部屋に連れてゆき、それらを幼虫の体になすりつける。何らかの理由で巣内の繭形成の基質が不足していると、幼虫は繭を作らぬまま前蛹となり、働きアリに殺され餌にされてしまう。あるいはまた、幼虫の段階で殺され食べられたり、巣外やゴミ捨て場に運ばれ捨てられたりする、といった現象も起きる。これらの採餌、給餌、育児プロセス上の一連の特徴は、同じく原始的なアリで姿の似たアギトアリやクワガタアリ等の多くとも共通する。 幼虫から給餌要求を示された時に手持ちの餌が無い場合、働きアリはすぐさま自ら産卵し、その卵を幼虫に給餌する。この卵は栄養卵と呼ばれ、女王が生む卵よりも柔らかい。栄養卵は餌として使用されることが多いが、餌にされずに約1ヶ月経つと正常に孵化し、個体が育つ。ただし、働きアリは未交尾であることが多いため、誕生するのは多くの場合染色体が1本しかない個体=雄である。 通常、アリの女王は季節環境変化や何らかのイレギュラーに見舞われぬ限り、一旦産卵を開始するとほぼ一定間隔、等速で卵を産み続ける。しかし、キバハリアリ亜科の女王は、特定の短期間に、一度にまとめて産卵する。このため、キバハリアリの巣内にいる幼虫はサイズや齢が均等なばらつきを示さず、それらの揃った個体が一定数集まって育てられている傾向にある。
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