食性と生息地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 15:18 UTC 版)
ホモテリウム属の衰退は更新世の末にマンモスなどの大型植物食動物が姿を消したことによる可能性がある。北アメリカにおけるホモテリウムの化石記録は同時期のスミロドンほど豊富ではない。ホモテリウムは緯度または標高の高い場所に生息していたことから、寒冷なマンモスステップに適応していた可能性が高い。小さい鉤爪、比較的細い四肢、傾斜した背中は、開放的な生息地での長時間の走行に適応していると推測される。 ゲノム解析では、ホモテリウムは社会性を持ち、追撃型捕食者としての生活に適応していたという仮説が支持された。また、高い遺伝的多様性を示した遺伝子は、従来想定されていた個体数や分布が化石バイアスを受けていて、本来は遥かに多く生息していたことを示している。また、昼行性である可能性が高いことも明らかにされた。 先述したテキサス州Friesenhahn洞窟の化石群は、400頭のマンモス幼獣の化石に加えて幼獣から老齢個体まで数多くのホモテリウムの化石が確認されている。これに基づいて、北アメリカのホモテリウムは社会性を持つ捕食動物で、若いマンモスを狩ることに特化していたと考えられている。また、ホモテリウムはネコ科の動物に見られる優れた夜間視力を持っていたと見られ、多くのホモテリウムが発見されている北極圏では、夜間に狩りをすることが有力な手段だったと考えられている。他の大陸ではマンモスではないにせよ同様に大型草食動物の幼獣を狙っていたと推測される。ホモテリウムはバッファローの成獣ほどの草食動物を獲物として好み、その死体を解体して洞窟などに運搬し、安全な場所で効率的に摂食していたと推定される。これは現生のハイエナやヒョウにも見られる行動であり、また獲物の骨に残された歯型の頻度もそれらと類似する。また、従来は初期のホモ属(ヒト)がホモテリウムから肉を奪って食料にしていたと考えられていたが、ホモテリウムのこの行動を鑑みると、ホモテリウム経由で初期のヒトが得られた肉は従来考えられていたよりも多くなかったと推測される。
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