陸上自衛隊の旗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 16:31 UTC 版)
連隊旗に相当する自衛隊旗は、自衛隊法施行令によってその規格が定められている。自衛隊旗を除く陸上自衛隊の旗には、「自衛隊の旗に関する訓令」(昭和47年3月14日防衛庁訓令第3号)により、基本的に共通の意匠(桜星を中心に桜葉及び桜蕾を周辺に配したもの。帽章と同一。)が定められている。群旗、大隊旗、中隊旗(甲)及び中隊旗(乙)である。 原則として自衛隊の中隊以上の部隊に備え付けられており、地方協力本部・補給処・学校等の機関には備え付けられていない(陸上自衛隊幹部候補生学校及び陸上自衛隊高等工科学校は隷下に学生隊・生徒隊を有する関係から学校旗として備え付けられている。また、陸上自衛隊高射学校など一部学校では学校旗を使用する場合がある。)。これらは、いずれも陸上自衛隊の帽章の図及び横線によって構成されている。これらの隊旗は部隊を表す旗であることには違いなく、隊員同士の結束を固める旗である。もっとも、実戦での効用はなく、また連隊本部の所在を示すことになりかねないので有事の際や日常で使用されることは殆どなく、使用されるのは式典においてのみのことが多い。 地色は、指揮官旗の場合は白色、隊旗の場合は原則として当該職種の隊種標識色となる。空挺部隊の場合は、職種の別なく、白地に浅黄色の横線の隊旗が用いられる。また、横線の数(中隊旗は線の太さ)により部隊の規模を表している。 群若しくは指揮官の階級が1佐職に指定されている部隊旗「群旗」…横線3本(特科群・方面特科隊・高射特科群・方面戦車隊・施設群・方面後方支援隊・通信群・方面総監部・師団(旅団)司令部所在駐屯地業務隊・混成団本部等が該当) 大隊や2佐職の自衛官が指揮する部隊若しくは後方支援連隊補給隊・衛生隊、隷下に1 - 2個中隊程度を保有する大隊以外の「隊」・隷下に中隊を持たず小隊編成を隷下に持ち、2佐が指揮する「隊」編成の部隊等「大隊旗」…横線2本(2佐が指揮官の中規模の駐屯地業務隊も該当)。 3佐相当の自衛官が指揮する普通科・特科・戦車等の中隊等、後方支援連隊整備大隊直接支援中隊(隊)、(中隊に準ずる隊編成の部隊含む)及び総監部・師団(旅団)司令部付隊旗「中隊旗(甲)」…横線1本(巾は少々太め) 連隊・群等の大隊若しくはそれに準ずる部隊の隷下中隊、整備大隊本部付隊、衛生隊治療中隊、師団旅団音楽隊等1尉若しくは2尉の階級を持つ自衛官が指揮する部隊「中隊旗(乙)」…横線1本(巾は少々細い) 自衛隊旗 自衛隊旗の規格 陸上幕僚長旗 陸上総隊司令官旗及び方面総監旗 師団長旗 旅団長旗 団長旗 99年3月の13旅団が編成されるまでの間、団本部に備えられ団長旗として使用されていた桜星1個の団長旗及び編成上陸将補若しくは1等陸佐(一)が指揮官の隊旗 東京2020オリンピック・パラリンピック支援団長旗。 普通科職種(標識色:赤)の大隊旗 空挺部隊の大隊旗。白地に浅葱色の横線。 普通科職種(標識色:赤)の中隊旗 自衛隊旗 水陸機動団の特科・施設科等の職種旗 中が自衛隊旗、左右が特科職種(標識色:濃黄)の中隊旗。 奥の隊旗は中隊旗(教育隊なので標識色:白)、手前の隊旗は大隊旗(標識色:白)。 式典における国旗に対する旗の敬礼、この時隊伍の隊員は着剣捧げ銃をしている 予備自衛官補標旗 陸上自衛隊で用いられている予備自衛官標旗 警察予備隊時代 普通科連隊及び旅団対戦車中隊における中隊旗の例 教育隊旗の例、桜星を中心に部隊の特性を示す意匠を取り入れている。 連隊旗及び大隊旗(いずれも廃止となった部隊の旗) 廃止された第5対戦車隊の隊旗、普通科部隊であるため赤を基調として横線は白の2本線である。 施設科部隊旗及び諸職種混成部隊旗 廃止となった北部方面武器隊の隊旗(隊旗及び中隊旗) 札幌オリンピック支援集団長旗及び隷下部隊旗、集団長旗は五輪を意匠として桜星2個で部隊規模を示していた。隷下部隊旗は支援目的を示した意匠を元に作成されていた 札幌オリンピック支援集団隷下部隊旗、意匠はそれぞれ支援目的に応じて選定された物が使用されている 第11師団長旗、広報館展示物 かつての団長旗、桜星1個で陸将補若しくは1等陸佐が指揮官の団長旗として使用。その隣にある中隊旗は施設群等隷下の施設中隊旗で、横線が細い事から中隊旗(乙)となっている。いずれも南恵庭駐屯地資料館にて撮影 教育団や混成団等の1佐が指揮官の団は、指揮官旗でなく群旗(団本部旗)が与えられている 指揮官には必ず指揮官旗または部隊旗が随行する。写真は富士教導団長及び団長旗 西部方面戦車隊長と隊旗。三本線の群旗であり、指揮官は1佐職であることがわかる。 第1戦車団長旗、廃止後に恵庭市資料館にて展示されている。 陸上自衛隊 第11師団滝川自動車教習所 隊旗 駐屯地資料館に展示されていた資料より99年3月まで使用されていた方面総監・師団・団長旗。現在の物とは異なる。 東京2020オリンピック・パラリンピック支援団長旗。通常の団長旗の右下に大会のエンブレム(ロゴマーク)が添えられ、下には「防衛省 陸上自衛隊 東部方面隊」と印字されている。 東京2020オリンピック・パラリンピック支援団隷下支援群長旗。隊種識別色は『その他』 東京2020オリンピック・パラリンピック支援団隷下支援隊長旗。旗は大隊相当。 補給処支処や連隊等の教育隊旗(陸教の区隊旗含む)・中隊隷下の派遣部隊旗に関しては規定が存在しないため各部隊でデザインや意匠・サイズ等が選定され作成されている。当該部隊が所属する駐屯地域や部隊等の特性を示すものを意匠として旗に組み込まれており、また当該部隊長が1佐を示すように横3本線を組み込むなどした例もある。
※この「陸上自衛隊の旗」の解説は、「自衛隊の旗」の解説の一部です。
「陸上自衛隊の旗」を含む「自衛隊の旗」の記事については、「自衛隊の旗」の概要を参照ください。
- 陸上自衛隊の旗のページへのリンク