貴ノ富士の記者会見・その後の経緯
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「スダリオ剛」の記事における「貴ノ富士の記者会見・その後の経緯」の解説
理事会翌日の27日、貴ノ富士は協会の決定を不服として代理人弁護士を伴い文部科学省で記者会見を行った。 会見中で貴ノ富士は新弟子に対しての差別発言と暴力行為を事実であると認め、「中卒で何も分からない中で、生半可な優しさじゃダメだと思ってた。そういうふうに育ててきてもらった。そういう気持ちを持ってもらいたいと指導してきた」と弁明。「今回の処分はあまりに重く受け入れられません。中学から憧れ、この世界に入り、きつい稽古に耐え、相撲道に一歩ずつ歩んできた私には相撲しかない。本件の暴行という愚かな行いを反省し、自らの身を戒め、土俵に戻って相撲道に精進したい」と話し、また「(研修内容が協会員に対して)正直伝わっていない」「手を出さない代わりにどういうふうに指導しなければいけないのか教えてもらっていない」と協会を非難した。この会見は“議論のすり替え”との印象が強く、批判的な意見が大半を占めた。 この会見を受けて相撲協会は「理事会は貴ノ富士に自主引退を促しており、まだその正式な返答がありませんので、コメントすることはありません」と発表した。芝田山広報部長は「(自主引退を)受け入れるのか、受け入れないのか、本人が言うべき」とコメントしている。 この会見以降、貴ノ富士は千賀ノ浦部屋に不在となり、連絡や接触が出来なくなったことを貴源治と20代千賀ノ浦が明かしている。 28日、両国国技館で22代佐ノ山の襲名披露大相撲が行われ、貴源治がマスコミの取材に応じた。貴源治は自らけん責処分を受けたことについて反省の弁を述べ、兄の二度目の暴力についても謝罪、差別的な発言があったことも認めた。前日の兄の会見は20代千賀ノ浦の反対を押し切ってのことであると明かし、「会見を開くと報道で知り『やめた方がいい』と言いました。それから連絡が取れなくなりました」「兄貴もうすうす戻れないと思っているのでは」と話している。同日、貴ノ富士の代理人は今後の対応について「お答えできません」と言葉を濁した。 10月4日に貴源治は「協会に残れないのは誰もが分かること。兄貴が自ら招いた問題。自分でしっかり責任を取らないといけない」「親も兄貴のことを心配して疲れ切っていた。仕事が身に入らないと言っていた。申し訳ない」と話した。また暴行事件の反響について、「先代(元貴乃花親方)や親の教えを批判している人がいる。これは個人の問題で、先代もうちの親も関係ない。自分と兄貴が言われることは仕方ないけれども、勘違いしてほしくない。自分を関取に育ててくれた親方ですから」と述べている。 20代千賀ノ浦は同月7日の朝稽古後にマスコミ取材に応じ、第三者から情報を得て、都内のマンションで生活している貴ノ富士を毎日訪れていると話した。「顔見て話をしたい。何度かマンションに行っているが全く応答がない(住んでいるのは)1人じゃないみたいですよ」「親心としては(解雇ではなく自ら引退して)退職金をもらった方がいい。経歴に傷が付く? そういうのもありますから。(暴力を)2回やっちゃ駄目なんですよ」と述べている。 また同日、芝田山広報部長が貴ノ富士が代理人弁護士を通じて11日までに文書で進退を明らかにする意向であると連絡してきたことを明かした。協会は9月29日に意思確認のため20代千賀ノ浦を通じて「30日午後2時に師匠とそろって(協会に)来るように」と伝えたが、貴ノ富士は「弁護士が対応するから自分は行かない」と師匠にショートメールをしてきたという。貴ノ富士は9月30日以降は千賀ノ浦の電話にも出ていない。代理人弁護士は協会との協議日程を複数指定、協会はその希望を尊重して10月3日に貴ノ富士が同席しての面談を設定したが、再発防止策に対する不満を理由に断られ実現しなかったという。 貴ノ富士が引退を受け入れず懲戒解雇となった場合は退職金が出ないため、その前に親方が引退届を提出し『強制引退』させる方法も存在したが、「本人と話して、自分(貴ノ富士)から出す方向に持っていってあげたい」と20代千賀ノ浦は話していた。しかし9日、「向こうの弁護士から“もう(接触を試みるのは)やめてくれ”と言われたから。会って話したいんですけど…」と貴ノ富士との対面を断念したことを明らかにした。着信音は鳴るため電話の着信拒否はされていないと思われるものの、「(7日午後に)『携帯電話にかけないように』と(代理人弁護士から)連絡があり、それ以降はしていない」と述べている。 10日には相撲協会に設置されている「大相撲の継承発展を考える有識者会議」(山内昌之委員長=東京大名誉教授)の会合が行われ、貴ノ富士に対し自主引退を促した協会の判断を支持する考えで一致した。山内委員長は記者会見で「差別的発言をしたことも深刻。弟弟子への思いやりが感じられない。自主引退を勧めることで、貴ノ富士の将来にも配慮している」と述べた。会合では「まず被害者の将来を協会は守らなければならない。(処分へ)厳しい意見も出た」という。
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