護衛空母取得の試みとは? わかりやすく解説

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護衛空母取得の試み (警備隊時代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 09:27 UTC 版)

海上自衛隊の航空母艦建造構想」の記事における「護衛空母取得の試み (警備隊時代)」の解説

保安庁警備隊は、その創設期より、航空母艦取得旧帝海軍との連続性重視するなら再取得)を志向していた。海上保安庁海上警備隊から改編された直後1952年昭和27年)、Y委員会においてまとめられ新日本海軍再建案では、アメリカ海軍からの供与により護衛空母4隻の整備盛り込まれていた。このときには要求過大であったことから新日本海軍再建そのものアメリカ側受け入れられなかったものの、1953年昭和28年3月ごろには、対潜掃討群(HUKグループ)の編成という具体的な運用構想のもと、その中核艦として護衛空母CVE)ないし対潜空母CVS)の貸与を受けることが構想された。保科善四郎元中将によれば、Y委員会作成した30トン海軍再建に対してアメリカ海軍極東艦隊参謀副長務めていたアーレイ・バーク少将は「海軍飛行機を持つべきである」として、航空母艦4隻の保有海軍航空隊再建強く主張し、これらを海軍再建案に入れることを希望していたという。1952年Y委員会作成した1952年2月25日付の「航空軍建設に関する研究」では、海上交通路確保用の護衛空母には1隻当たり戦闘機9機と軽爆撃機3機を搭載することが計画されており、将来機動部隊基礎となる「海上護衛兵力」として、護衛空母4隻に搭載され戦闘機36機と軽爆撃機12機が計上されていた。 1953年昭和28年7月保安庁試案として作成した警備五ヵ年計画案」のA案(アメリカ側要望により、旧日本陸海軍人が合作)には、10,000トン級の航空母艦10隻と航空母艦搭載機920機の保有盛り込まれていたほか、1953年昭和28年9月保安庁作成した防衛五ヶ年計画案」には、警備隊保有する中心勢力に「護衛航空母艦も含む」と明記された。また同時期、アメリカ海軍警備隊において航空母艦必要性認めており、1953年昭和28年12月21日付でアメリカ統合参謀本部事務局作成した日本の防衛力」および別紙資料示され当時警備隊兵力整備目標のなかに、軽空母4隻と防空巡洋艦3隻の保有盛り込まれていた。ただしこれらについては、この時点では日本政府に対して提案されないこととされていた。 これらの流れ受けて1954年昭和29年)には、保安庁昭和29年防衛力増強計画において、警備隊用として駆逐艦母艦AD:7,000トン)1隻が駆逐艦4隻、護衛艦3隻ともにアメリカ側要求され、同艦を空母改造することを検討した。また同じころに、終戦後引揚げ輸送活躍した興安丸(7,077総トン)を警備隊保管転換する話もあり、同船ヘリコプター搭載艦改造することも検討されたが、いずれも実現に至らなかった。 同年4月には、米軍援助顧問団から第二幕監部に対して、HUK部隊中核となる空母2隻を貸与するとの意向示された。これを受けて1955年昭和30年9月には長澤浩海幕長横須賀米海軍護衛空母視察した。また1955年昭和30年)に海上幕僚監部総務部長 庵原海将補訪米した際には、太平洋艦隊航空部隊司令官 ジョイ中将より、空母3隻と巡洋艦3隻を含む対日軍事援助計画案開示され同行した石黒1等海佐モスボール中の空母案内され日本貸与予定の艦と説明された。しかしその後1956年昭和31年)にかけておこなわれた防衛庁部内での検討において、当時経済情勢等を勘案して空母受け入れ時期尚早」と結論されて、これらの構想は一応放棄された。 しかしその後も、海自戦略的部隊としての「へリ搭載母艦基幹とする対潜掃討群」創設構想連綿と維持された。1957年昭和32年)からS2F供与開始されるにあたり、これを受領するためにTBM隊の要員主力として編成された第1訓練派遣隊渡米する際には、横須賀からハワイ経由してサンディエゴ帰国するアメリカ海軍対潜空母CVS)「プリンストン」に便乗するという異例措置取られており、乗艦中に同艦搭載S2F用いた実物教育が行われたが、派遣参加した元隊員は、この時の米部隊は将来空母運用見越して派遣されたと語っている。また、自衛艦隊司令官務めた北村謙一やあまつかぜ艦長務めた是本信義証言によれば上記の「プリンストン」と同じCVS導入検討されていたが、最終的に計画断念された。

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