聖職者・教役者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 15:04 UTC 版)
日本において代表格の聖職位は首座主教(Primate)と呼ばれ、全国の11教区の主教で構成される主教会の議長および日本聖公会総会の議長の役割を担う。首座主教は現役の各教区主教の中から聖公会総会での選挙によって選出され、教区主教の職を兼ねつつ輪番で務める。現在の首座主教はルカ武藤謙一。教区(Diocese)はそれぞれ独立しており、個別の宗教法人格を有し、原則として聖職の人事も教区単位で行われることになっている。よって、首座主教の権限は他の国・地域の聖公会に比しても限定的である。教区の連合体としての日本聖公会は日本管区(Province)と呼ばれ、全国規模で行うことが望ましい事務を取り扱っている。なお、日本管区事務所は東京教区の牛込聖公会聖バルナバ教会(2020年12月31日をもって教会運営を終了)と同一の建物内に置かれている。 全世界の聖公会における名誉的代表格の聖職位は、イングランド国教会のカンタベリー大主教と、次席でヨーク大主教(英語版)であるが、これは全世界の聖公会の連合体であるアングリカン・コミュニオンの幹事(host manager)という位置付けであり、ローマ・カトリック教会におけるローマ教皇のような全教会の絶対的指導者ではない。各管区における代表の主教(首座主教、総裁主教等)が、他の教区主教や信徒議員との会合に基づいて各管区の聖公会を取りまとめる。10年ごとに全世界の聖公会の代表がロンドンまたはカンタベリーに集まる場がランベス会議として設けられており、さまざまな意見が交換されるが、各管区への強制力はなく、最近の会議は2008年に行なわれている。 聖職者の構成は、主教・司祭・執事(Bishop, Priest, Deacon)の三職位制をとっている。主教は、各教区の長として教区全体の司牧に当たる。主教の監督下に司祭が置かれ、主に地域の個教会の牧師(Rector)の任務に従事する。主教・司祭を補助する職務を行う執事がおり、牧師補(Curate)の任務や信徒集会である受聖餐者会の補助・助言、また「み言葉の礼拝」の司式などを行う。 聖公会における「牧師」(Rector)とは、プロテスタント教会の牧師(Pastor)とは大きく意味が異なり、各個教会を司牧する責任者たる司祭または主教を指す役職名である。カトリック教会における主任司祭がこれに相当し、司祭または主教がこの任に就く。呼称としては「司祭」または「先生」と呼ばれることが多い。「神父」という敬称も稀に使われるが、日本では修道司祭を神父と呼ぶことが多い。また、学校や病院などの中の礼拝堂を管理する聖職者は「チャプレン」と呼ばれる。 聖餐式の執行など教会での信徒司牧は、司祭以上の職位である必要がある。多くの場合、聖職者は教会付属の牧師館(Rectory)に居住するが、聖職者不足などの事情で、別の教会の牧師を務める司祭が非常駐の管理牧師(Rector in Charge)として着任することもある。また、定年後の退職主教、退職司祭が嘱託として配属されることもある。管理牧師に代わる常駐の教役者(Church Worker)として、執事・伝道師(Catechist)・聖職候補生(Candidate for Orders; 神学生ないしは神学教育を終了後まだ聖職按手叙任を受けていない者)が配属される場合もある。なお、聖職者・教役者には含まれないが礼拝等に奉仕する信徒の役職として、信徒奉事者(英語版)やアコライトなどがある。 従来、日本聖公会では聖職志願の要件として「満24才以上の男であること」と『日本聖公会法憲法規』に定めていたが、1998年の日本聖公会総会おいて法規が改定され、現在では主教・司祭・執事のいずれにも女性が按手されるようになっている。ただし、教区の雰囲気として導入は時期尚早であるとの判断、あるいは教区主教の牧会方針により、女性聖職者の任職・叙任の実績がまだない教区もある。
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