精霊術師
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:56 UTC 版)
四大精霊の力を借りる能力者の総称。 この世界を生み出した何者かが作った、あるいは世界そのもの制定した「原初の法則」に対し、精霊術師は精霊を用いることで干渉する。より強き意志で精霊に働きかけるほど大きい力を発揮でき、強力な能力者になれば単なる物理現象を越えた事象を引き起こすことができる。一般に精霊術師と精霊との関係は対等であり、「精霊から力を貸して貰っている」という考え方が通説である。 日本では地術の石蕗家、炎術の神凪家(風術の風巻家)。外国にも風術の凰家、炎術のマクドナルド家など、それぞれに歴史ある超一流の大家が存在する。他の術と違って詠唱などのプロセスが必要ないため、戦闘において魔術の中でもトップクラスの能力を持っているが、精霊の存在しない場所(異空間など)では力を一切行使できないという欠点もある。また妖魔相手の場合、属性の相性によっては活性化を招くという事態を引き起こすリスクもある。例えば炎の属性を持つ妖魔に炎術を行使するとパワーアップさせてしまう。 精霊 意思ある現象。地水火風の四つの属性を持った精霊が存在する。いずれも知性はあるが蟻や蜂のように「全体の一部」として認識しているため、自由意志は持たない。この世界のあらゆる現象に精霊は関係している。例えば「熱」を持った生物(妖魔を含む)の体内には炎の精霊が存在している。綾乃はこれを利用することで土蜘蛛の体内にいる炎の精霊に干渉して内部爆発を発生させた。ただし、精霊は身近な存在の意志の影響を受けるため、外部から干渉する意志よりもそちらを優先される。綾乃がやった内部爆発は、その「法則」を覆すほどの意志と才能によるものである。 精霊はその属性に関係した場所ほど多く存在する。大気は世界のどこにでも存在するので風の精霊のテリトリーは広い。ただし、精霊を属性と相反する場所に放置すると発狂することが確認されている(炎の精霊を水に放置する、風の精霊を地中に封印するなど)。 原初の法則 原作一巻で語られた単語。この世界を築いた造物主、もしくは世界そのものが「世界創世の刻(とき)」に生み出したルール。精霊はこれによって管理されており、世界の秩序を崩さないように動かされている。もしも精霊が好き勝手に動けば、世界は三日と経たず崩壊するという。精霊術は精霊を用いてこれに干渉することで事象を引き起こす。 炎術師 炎の精霊と交信することで後述の炎術が使用できる者。炎の精霊の加護を受けているために火・熱に対して耐性がある。特に神凪一族は宗家・分家含めて炎の精霊王の加護を受けているため、『浄化の炎』を顕現できる。これにより妖魔に対して強力なダメージを与えられる。神凪が炎術の名門と言われる所以である。炎術 炎の精霊の力を借りる術。光に属する力でもある。 炎が桁外れのエネルギーを持つために攻撃力は最高だが、通常環境においては炎に属するものが少ないため探査・索敵が不得意。予想外の事態への対応は不得手で、神炎使いの重悟ですら事故で片足を失っている。炎は破壊と再生を司ると言われるが「治癒の炎」などは顕現できない。『超解!』によれば「魔術や呪術を扱う者にとって精霊魔術の中では炎術こそ最強」というのが常識になっているという。理由は綾乃を見ての通り、「あらゆる攻撃を焼き尽くす攻防一体」のため。しかし、まったく弱点がないわけではない。同著には「探知能力が皆無なことから先制攻撃に弱い」ことが挙げられており、力が強過ぎると目立ってしまうのが欠点とされている。実際に原作6巻では、綾乃が従える炎の精霊が多過ぎて凰小雷にあっさりと居場所を探り当てられ、身を隠すことさえできなかった。またどんな強大な力を持っていても、それを発揮する前に致命傷を受ければ封殺されることも欠点とされている。劇中では、炎の属性を司る妖魔などが相手の場合、炎術を吸収されてパワーアップさせてしまうという最悪な欠点も描写されている。 炎は破壊と再生を司るとされているが、実際の炎は「燃やす」ものであるため「治癒の炎」などは具現できない。 神器は神凪家の炎雷覇。 風術師 風の精霊と交信することで後述の風術が使用できる者。風術 風の精霊の力を借りる術。 風は質量が軽いために戦闘には向かないが、地球上のほぼ全域に存在する大気を扱うため、探査に最も秀でており、術の召喚速度も最速。光学迷彩で姿を隠したり、声だけを相手の耳に届けるという芸当が可能。 術の威力の低さから他属性の精霊術師からは見下される傾向にある。特に和麻からも「優秀」だったとされた風牙衆も「自分では敵を倒せない」と神凪から見下されていた。このため、風術師が戦闘において他の属性の精霊術師に対抗するには、相手より術師としての腕が数段勝っていなければならない(すなわち、契約者の能力を封印した状態でも、重悟を除く神凪一族の術者に勝る和麻は、彼らより術師としての能力が数段上である)。 神器は凰家の虚空閃。 地術師 土の精霊と交信することで後述の地術が使用できる者。地術 土の精霊の力を借りる術。 土は質量が高いために最も防御力が高く、地上にあるものは大抵土の属性を持つため、探査・索敵・攻撃もそつなくこなす。また、大地の気を体内に取り込むことで驚異的な回復力を誇り、毒すら効かなくなる。ただし、地面から離れると術やその回復力がほとんど行使できなくなる。 水術師 水の精霊と交信することで後述の水術が使用できる者。水術 水の精霊の力を借りる術。水剋火――水は火に打ち勝つという相性から炎術に対して比較的有利とされる。巨大な質量を持った水術に対し、炎術で対抗すると水蒸気爆発が発生するため炎術師は不利であるが、超一流の炎術師なら水蒸気爆発そのものを焼き尽くすため無力化されてしまう。あくまで「火に勝ちやすい」というだけで、「絶対に勝てる」というわけではない。 精霊獣 精霊式とも。一群の精霊を仮想人格に統御させることで一個の生物に見立て、それを使い魔として使役する、精霊魔術と儀式魔術の融合によって生み出された「魔術武器」。仮想人格に精霊の制御を分担させることで、術者の本来の力量以上の数の精霊を制御することが可能になるほか、能力を特化させることもできる。生物ではないため真っ二つにされようが粉々にされようが「死ぬ」ことはなく、術者の指示に従って活動する。ただし、精霊を術者が直接統御するのではないため、術者が命令を下してからその命令が実際に行使されるまでにわずかなタイムラグが生じ、さらに細かい指示ができない、などといったデメリットもある。日本には神凪や石蕗など精霊術師としてトップクラスの一族が多く、多才であることを誇りとする彼らは、自ら能力を制限してしまう精霊獣の使い手を見下す傾向にあるため、日本であえて精霊獣を使おうとする術者はまずいない。神凪の浄化の炎は自然ならざるものを焼き払うため、精霊獣を使役する術者にとっては天敵である(変質した炎などをただの物質に戻されて制御できなくされるため)。 劇中でこれを用いたのはキャサリン・マクドナルド一人だが是怨も似たような技を用いている。また風の聖痕RPGリプレイ「深淵の水龍」では水術師ラーンがこれを用いている。
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