第1巻「凍結戦線」
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「戦場ロマン・シリーズ」の記事における「第1巻「凍結戦線」」の解説
初版 1979年8月5日(ISBN 978-4253063821) 凍結戦線 シリーズ第一作。サムとベンスンは大隊長命令で、冬のアルプス山中に墜落した輸送機(搭乗員は全員無事に生還。墜落した事実を伝達した)から極秘の重要書類を回収してくる任務を受ける。ベンスンは「この戦争は長引く。悪魔の声が聞こえる」と冷たい風の音を聞きながらつぶやくが、輸送機はあっさり見つかる。輸送機の中には脱走ドイツ兵と身重のユダヤ人女性が潜んでいた。ベンスンらは脱走兵を追ってきたドイツ兵と戦闘になるが、戦闘の最中に女性が産気づく。激しい銃声で引き起こされた雪崩のためドイツ兵は壊滅。女性は無事に三つ子を出産。重要書類というのも大隊長宛てのラブレターの束だった。三つ子の誕生日(1945年2月28日)を記録しているサムの側で悪態を付きつつも、ベンスンは「もうすぐこの戦争も終わるかもな。」と呟く。どうしてかとサムに問われると「天使の声が聞こえるから……ね。」と三つ子の泣き声を聞きながら答えた。 鉄十字の鷲と虎 独ソ戦末期、被弾して不時着したメッサーシュミット Bf109の若いパイロットは、赤軍を待ち伏せていたIII号突撃砲を駆る老いた戦車兵と出会う。若いパイロットは戦車兵に自軍部隊まで送ってもらえないかと頼むが、老戦車兵はBf109から分けてもらった分しかガソリンが無いことと、歩兵は100キロメートルくらい1日で歩くことを理由に拒む。話をしてみると、老戦車兵の家族はベルリンの爆撃で亡くなっていた。絶対防衛線を誇っていた空軍ではなかったのか? との老戦車兵の問いに若者は返す言葉も無かった。そして、翼を失った若者と家族を失った老人は、互いの名も知らぬまま最期の戦いに挑む。最期の戦闘直前に老戦車兵は若者を殴って気絶させ、生きろと戦車から突き落とす。それから数十年。再建された西ドイツ空軍の将官にまで上り詰めたパイロットの若者はジェット戦闘機のコクピットから老戦車兵に思いを馳せるのだった。 アルデンヌの白い虎 部隊からはぐれた軽駆逐戦車ヘッツァーはエンジントラブルで動けずにいたが、逃亡中のユダヤ人一家にアメリカ軍の近くまで連れて行くことを交換条件にエンジンを修理してもらう。一家を降ろし、帰隊しようとするが、アルデンヌの森の中で道に迷ってしまった。その夜、逃がしたはずのユダヤ人娘が乱暴された風体で現れ、一家が合流しようとしたのがアメリカ軍ではなく、アメリカ軍に偽装したドイツ軍であったことを伝え、息を引き取る。怒りに駆られたヘッツァーは単騎で偽装ドイツ軍の部隊へ突撃して行く。 電光の鷹 ドイツの誇る世界最速の鷹、ジェット戦闘機メッサーシュミット Me262。そのパイロットの中に、連合軍に内通した兄を撃墜するよう命令され、実行した若者がいた。兄の墓前で、若者と平和と鳩を愛する兄の婚約者は出会うが、若者は祖国を守るのは鷲の力であると理解しあえないまま別れる。数日後、新聞記者だった婚約者は最後の特報を数多くの伝書鳩たちに託してスイスに飛ばした。若者の乗るMe262はその鳩の群れとバードストライクをおこす。若者は鷹が鳩に敗れたことに驚愕しながら墜ちていった。 出撃!ゲタばき野郎 二式水上戦闘機のパイロット水上は、仲間とともに南方での単独作戦を命じられる。霧の中で活動するアメリカ軍の空母を発見した水上は、二式水戦のフロートに魚雷をくくりつけ、魚雷艇のように海上を吶喊するという奇策で空母に挑む。「ゲタ」とは二式水戦に付いているフロートのことを指す。 騎士たちの黄泉 ドイツ空軍ブロッケン少佐は、騎士道に則り、一騎討ちの空戦で強敵を打ち負かすことを目的に夜間戦闘で目立つよう、排気炎を絞らずに飛んでいた。ある日、久しぶりに排気炎を全開にして飛んでいる敵機と遭遇する。そして夜空で、二人の「騎士」の「一騎討ち」が始まる。一騎討ちに勝利したブロッケン少佐であったが、味方ドイツ軍から我が物顔で排気炎を見せびらかす連合軍機と誤認され、高射砲によって撃墜されてしまう。
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