疫学・病態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/31 06:37 UTC 版)
本症候群は、フレデリック・バーターらによって提唱された疾患概念である。1960年に最初の報告がなされ、1962年にはより多くの症例に基づく報告がなされた。 本症候群は、腎臓のTALの機能不全を主体とする続発性アルドステロン症の一つであり、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)系の亢進にもかかわらず、血圧が正常ないし軽度高値程度に留まっていることが特徴である。機能不全はいずれも遺伝的素因によるものと考えられており、その機序に応じてI〜V型に分類される。 I型 - Na+-K+-2Cl-共輸送体(NKCC2)の機能異常により、TALに障害を来たすもの。原因遺伝子は15q上のSLC12A1。 II型 - TALの上皮細胞内から尿細管腔へK+を戻すチャンネル(ROMK)の機能異常により、TALおよび皮質集合管(CCD)に障害を来たすもの。原因遺伝子は11q24上のKCNJ1。 III型 - TALの上皮細胞内から血管側へCl-を戻すチャンネル(ClC-Kb)の機能異常により、TALおよび遠位曲尿細管(DCT)に障害を来たすもの。原因遺伝子は1q36上のCLCNKB。 IV型 - barttin蛋白の不活性型変異により、ClC-Kbとともにヘンレ係蹄の細い上行脚(tAL)の上皮細胞内から血管側へCl-を戻すチャンネル(ClC-Ka)にも機能異常を生じ、TAL、tAL、DCT、さらには蝸牛血管条辺縁細胞にも障害を来たすものである。蝸牛血管条辺縁細胞の障害により感音性難聴を生じることが特徴的である。原因遺伝子は1q31上のBSND。 V型 - Ca2+感知受容体(CaSR)の活性型変異に伴いNKCC2やROMKの活性が抑制されることにより、TALに障害を来たすもの。原因遺伝子は3q上のCASR。 遠位尿細管の緻密斑では、原尿中のCl-の濃度が低いほど糸球体傍細胞でのレニン分泌を亢進させるように、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン(RAA)系を調節している。その際に、緻密斑細胞が原尿中のCl-の濃度を感知する上で、Na+-K+-2Cl-共輸送体が重要な役割をはたしていると考えられている。しかし、例えば本症候群I型によってNKCC2が機能不全に陥ると、原尿中のCl-の濃度を緻密斑が感知できなくなるため、原尿中のCl-の濃度が低いと誤認識を起こし、糸球体傍細胞でのレニン分泌が異常に亢進する。その結果、RAA系が過剰に賦活されアルドステロンの分泌を異常に促し、続発性アルドステロン症を起こす。 続発性アルドステロン症は低カリウム血症と代謝性アルカローシスを起こす。続発性アルドステロン症によって起こされた低カリウム血症は腎臓で合成されるプロスタグランジンの産成を異常に促進し、過剰に産成されたプロスタグランジンはRAA系を更に賦活すると言う悪循環ができる。一方、レニンの昇圧作用とプロスタグランジンの降圧作用が相殺されて、血圧は正常に保たれる。
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疫学・病態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/28 00:40 UTC 版)
年齢別発症率は小児(乳幼児から小学校低学年)と高齢者の二峰性の分布を示し、特に就学児童の難聴の原因としては最多であるが、軽度難聴以外の症状がないことから見逃されやすい。10歳までに9割以上が治癒することから、治療が不必要な場合も多い。ときに遷延化するが、この場合も学童期においては急激に治癒する。しかし稀に改善を認めず、真珠腫性中耳炎などの後遺症を来たす例もある。 本症は、何らかの理由により耳管の通気が障害された結果、中耳腔内が陰圧化することを病態の本質とする。この結果、周囲から組織液が滲出して中耳腔内に貯留するとともに、伝音性難聴を来たす。耳管の通気障害の原因としては、小児の場合は急性中耳炎や上気道炎、口蓋・咽頭扁桃の肥大や副鼻腔炎が、成人の場合は上咽頭の悪性腫瘍がある。また口唇口蓋裂、ダウン症候群、未熟児等にも続発しうる。
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疫学・病態
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スイスの外科医フリッツ・ド・ケルバン(Fritz de Quervain)によって報告されたことから、ド・ケルバン甲状腺炎とも呼ばれる。好発年齢は30~50歳代、男女比は1:3~6と女性に多い。 本疾患の本態は、甲状腺での炎症により甲状腺腫大と組織破壊を生じ、甲状腺ホルモンが血中に漏出することにある。しばしば上気道感染に続発して発症しており、季節性が見られることと、無治療でも自然に治癒することからもウイルス感染が原因と考えられているが、未だに起因ウイルスの同定には至っていない。病理的には濾胞構造の破壊や間質への単核球浸潤が認められ、多核巨細胞の出現と肉芽腫様変化が特徴である。また、HLA-Bw35との高い関連が知られている。
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疫学・病態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/03 17:45 UTC 版)
基本的には原因不明であるが、以下のような特徴がある。 橋本病を基礎疾患としての経過中に一過性に起こるものが多い。(silent thyroiditis) バセドウ病の寛解期に生じることがある。 正常甲状腺にも生じることがあると言われる。 出産後数カ月後に発生しやすいことが知られている。 無痛性甲状腺炎の再発は珍しくはない。
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