疫学と経済的打撃
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/13 21:38 UTC 版)
家畜で最もよく感染がみられるのはヒツジであり、ヒツジのハエウジ症の項目でより詳細に解説されている。この病態はクロバエ科のハエによって、特に高温多湿な環境の場合、よくみられる。クロバエによる蝿蛆症は、オーストラリアのヒツジ産業において年間1億7000万豪ドル以上の損失を引き起こしており、これは世界でも最も甚大な損害である。この深刻なリスクに対処するため、オーストラリアのヒツジ農家はミュールシングと呼ばれるハエの寄生部位を除去する処置を行い、寄生を予防するのが一般的である。またヒツジの尾(頻繁に汚染され、ハエの標的となりやすい)のドッキング(短く切り落とす)も世界中のヒツジ農家の間では一般的に行われている。蛆はまれに外陰部に寄生し、外陰部蝿蛆症と呼ばれる病態を引き起こす。 このような問題はオーストラリアやニュージーランドに特有のものではない。特に家畜、とりわけヒツジが高温多湿な環境に置かれるアフリカの大部分や、アメリカを含む世界中(北半球の温帯地域から、対応する緯度の南の地域まで)で発生する。蝿蛆症はヒツジだけの病気というわけでもなく、Cochliomyia属のハエ(特にラセンウジバエ)は家畜の牛やヤギで最大1億米ドルもの損害を生み出している。 不妊虫放飼などの対策により、1972年以降は被害は軽減されてきている。
※この「疫学と経済的打撃」の解説は、「蠅蛆症」の解説の一部です。
「疫学と経済的打撃」を含む「蠅蛆症」の記事については、「蠅蛆症」の概要を参照ください。
- 疫学と経済的打撃のページへのリンク