疫学と各国の状況
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:32 UTC 版)
2018年におけるポリオ発生件数 国野生種ワクチン由来状況 パキスタン 12 0 流行地域、1型 アフガニスタン 21 0 流行地域、1型 ナイジェリア 0 34 ワクチン由来、2型 パプアニューギニア 0 26 ワクチン由来、1型 DRC 0 20 ワクチン由来、2型 ソマリア 0 12 ワクチン由来、2型及び3型 ニジェール 0 10 ワクチン由来、2型 インドネシア 0 1 ワクチン由来、1型 モザンビーク 0 1 ワクチン由来、2型 合計 33 104 一般には、脊髄性小児麻痺(略して小児麻痺)と呼ばれることが多いが、これは5歳以下の小児の罹患率が高い(90%以上)ことからで、成人でも感染しうる。 季節的には、夏から秋にかけて多く発生する。1961年から、ポリオワクチンの予防接種が実施されている。日本では、1980年に野生株によるポリオ感染が根絶され、その後は定期接種で行われる経口生ポリオワクチン(OPV:Oral Polio Vaccine)からしか発症していないが、世界では、パキスタンとアフガニスタンが流行地域である。世界保健機関 (WHO) は、全世界での根絶を目指している。 ポリオは1988年には世界125カ国において年間35万症例が発生していたが、日本を含む国際社会の真摯な取り組みにより、2009年には約1600症例にまで減少した。その後の推移は2010年1349例、2011年650例、2012年は223例、2013年は385例、2014年は359例、2015年は71例、2016年は37例、2017年22例、2018年は33例となっている。 2020年現在、ポリオの常在国はパキスタン、アフガニスタンの2カ国のみとなり、根絶へ向けた最終段階に入っている。しかし、これらの国々は何れも政治・社会的な理由から、子供たちへの予防接種が困難であったり、資金量の低下によって、ポリオ根絶に向けた足踏み状態が続いている。 しかし、ここでポリオ根絶に向けた取組みを加速化させなければ、ポリオ発症例数が増加に転じ、さらに周辺国への感染被害を引き起こし、これまでの根絶への努力が無駄になってしまう恐れがある。実際に、2011年時点では、常在国4カ国の周辺17カ国においてもポリオ症例が報告されていた。2012年2月、12ヶ月間新たなポリオの発生がなかったインドは、正式に常在国から削除され、大きな前進である。 2014年3月27日には、WHOにより以下の地域を含む東南アジア地域におけるポリオの根絶が宣言された:インド、インドネシア、スリランカ、タイ、朝鮮民主主義人民共和国、ネパール、バングラデシュ、東ティモール、ブータン、ミャンマー、モルディブ。これらの地域が追加されたことにより、世界人口の80%がポリオの根絶された地域に住んでいることになる。 2020年には、ナイジェリアが根絶国として認められたため、アフリカ大陸からポリオが根絶された(後述)。
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