生涯と詩作とは? わかりやすく解説

生涯と詩作

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:24 UTC 版)

ステファヌ・マラルメ」の記事における「生涯と詩作」の解説

パリ生まれる。本名エティエンヌ・マラルメ(Étienne Mallarmé、フランス語男子名でStéphaneÉtienne異形である)。若いうちにユーゴーらのロマン派影響受けて詩作始めボードレール作風アメリカの詩人・作家エドガー・アラン・ポーの『詩の原理』をもとに創った詩が文壇知られるうになる第三共和政パリで、コンドルセ中学教師として英語を教え傍ら生涯にわたって詩の可能性探り難解な詩や批評書き綴った初期詩篇呼ばれる1860年代前半までの詩はボードレール問題系である「理想と現実差異への葛藤苦しみ」が、その後は「詩が書けないこと」そのもの主たるテーマにおいている。マラルメがある時期から生涯通じて目指していたのは、詩を創作する上で生じる「偶然」を排した完全・完璧な美しい詩を書くことであった。その並外れた困難さゆえに、極度詩作不毛に悩まされた。それこそが後に着想される「作品」Œuvreである。彼の詩集収められた詩は、幾つかの例外を除いて、ほとんどがこの「作品」(更なる後に「書物」Livreに置き換わる)の制作過程副産物であったとも考えられる1866年、その「作品」の重要な位置を担うはずの『エロディヤード』(古序曲)を書き進めていくうちに「形而上学的危機」(友人宛てた手紙の中で「幸いにも私は完全に死んだ」との文言書き記すが、これがモーリス・ブランショ思索強く影響与える)と呼ばれる精神状態もたらすこの世一切虚無であることに遭遇しキリスト教における神の死悟りロゴスコギト解体され存在根拠を失う。しかし詩の根源的なあり方へとその思索と魂の探求深めていくなかで、詩人「美」Beau発見し、それを詩と宇宙中心原理とする。 このころ執筆された『イジチュール』は、文法も意味も極限まで拡散された最たるものであるが、かなり判別できない文法辛うじて読み進めると、書く行為エクリチュール)が人間存在根底に関わっている所作であることの物語として読める。この体験契機とし、マラルメフランス文学史上(あるいは世界文学史上)、初めて詩と人間根源について問い立て、それを体系的に提示し(あるいは提示しようとし)、今でも多く示唆を我々に与えている。 1870年代に入ると、地方中学転々と赴任していたマラルメパリへと赴き、英語教師の職を再び得て積極的にジャーナリズム活動始める。1873年ごろ、画家マネ知り合い1874年ポーの『大鴉』の散文訳、1876年半獣神の午後』の挿絵豪華本のコラボレーションを行う。この作品インスピレーション受けてドビュッシーが『牧神の午後への前奏曲』を作曲した1880年代以降後期詩篇は、主に詩にまつわるさまざまな精神的事象を、詩そのもの説明するメタポエムが多い。 最晩年、『コスモポリス』誌に『骰子一擲』を発表。これは「詩と偶然」について扱われたものだが、さまざまに異な書体文字大きさ用いそれまで西洋詩のもつ諸概念根本的に覆した。「賽(サイコロ)の一振り決して偶然を排さないだろう」"UN COUP DE DÉS JAMAIS N'ABOLIRA LE HASARD"という軸になる一文と、それにまつわる複数挿入節の文章で構成されている。詩の内容のみならず、その視覚的形態いまなお革新的斬新である。 次にエロディヤード婚礼』の執筆着手したが、1898年咽喉痙攣によって窒息し急逝未完作となった

※この「生涯と詩作」の解説は、「ステファヌ・マラルメ」の解説の一部です。
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