温度と温度計の理学史とは? わかりやすく解説

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温度と温度計の理学史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 10:28 UTC 版)

温度」の記事における「温度と温度計の理学史」の解説

物体寒暖度合い定量的表そうという試み初め行ったのは異説はあるがガリレオ・ガリレイであると考えられている。ガリレイ空気熱膨張性質利用して物体温度計測できる装置、すなわち温度計作成したガリレイ作った温度計気圧などの影響受けてしまうために実際に温度定量的に表すには及ばなかったが、このように物質温度による性質の変化利用して寒暖度合い定量的表そうという試み以後続けられた。初め目盛付き温度計により数値によって温度表現しようとしたのはオーレ・レーマーである。レーマー水の沸点60度、水の融点を7.5度とする温度目盛作成した温度目盛作成するにはこのように2点の定義定点が必要となる。多くの独自の温度目盛り作成されたが、現在では日常的にアンデルス・セルシウスによって作成され摂氏温度目盛ガブリエル・ファーレンハイトによって作成され華氏温度目盛が主に使用されている。 かつては温度と熱の概念区別明確にされていなかった。温度と熱の違い初めて気が付いたのはジョゼフ・ブラックであると考えられている。ブラックは氷が融解している最中は熱を吸収して温度変化しないことを発見した潜熱)。また温度の違う同質量の水銀混ぜる実験行いそれぞれ水銀温度変化にある定数掛けた量が常に等しくなることを発見した。これは熱容量概念であり、温度変化乗ずる定数熱容量相当し、常に等しくなる量は移動する熱量である。これらの実験により温度と熱が異な概念であることが確立された。 その後19世紀に入ると効率良い熱機関開発要請から熱力学構築進んでいった。ニコラ・レオナール・サディ・カルノー熱機関効率には熱源冷媒の間の温度差によって決まる上限があることを発見した。このことから熱力学第二法則についての研究進んでいった。熱力学第二法則によれば外部から仕事なされない限り熱エネルギー温度の高い物体から温度の低い物体にしか移動しないウィリアム・トムソンカルノーサイクル熱源冷媒出入りする熱エネルギーから温度目盛構築できることを示した。これを熱力学温度目盛という。熱力学温度においては1つの定義定点カルノーサイクル効率が1となる温度であり、これは摂氏温度目盛表せば−273.15 °Cである。熱力学第二法則によれば、この温度到達するには無限の仕事が必要となり、それより低い温度存在しない。そのため、この温度絶対零度ともいう。熱力温度目盛ではこの絶対零度原点(0 K)としている。温度下限存在トムソン以前シャルルの法則から、あらゆる気体の体積が0となる温度として考えられていた。 原子分子レベルにおける温度の意味については、ジェームズ・クラーク・マクスウェル気体分子運動論によって初めて明らかとなった気体分子並進運動速度分布マクスウェル分布従いこの分関数形状温度依存している。特に気体分子並進運動エネルギー平均値3/2 kT(k:ボルツマン定数、T:熱力学温度)となり、温度比例する。すなわち温度分子並進運動激しさを表す数値でもある。このためプラズマ中のイオン電子の持つ平均運動エネルギー温度表現することがある(プラズマ中のイオン電子並進運動自由度しか持たないからである)。この時は通常平均運動エネルギー = kTとなる温度Tによって表現するルートヴィッヒ・ボルツマンはこのマクスウェル考え方発展させ統計熱力学構築した統計熱力学では、あらゆる形態エネルギーにこの考え方拡張されている。温度が高いほど高いエネルギーを持つ原子分子割合大きくなり、原子分子の持つ平均エネルギー大きさ増加するこのように統計熱力学において温度分子並進運動エネルギー分布仕方を表す指標である。 量子論確立してくると、古典的な統計熱力学量子統計近似であることが明らかとなった古典論においては0 Kにおいてあらゆる粒子運動停止した最低エネルギー状態をとることになるが、量子論においては粒子は0 Kにおいても零点エネルギー持ち静止態とならない。この物理現象零点振動呼ばれている。また、ボース粒子エネルギー分布ボース・アインシュタイン分布フェルミ粒子エネルギー分布フェルミ・ディラック分布となる。フェルミ粒子においてはパウリの排他原理により、絶対零度においても古典論では数万 Kにも相当するような大きなエネルギーを持つ粒子存在するが、これは、エネルギーを上式のkT代入して温度見なしたことのよるもので、眞の温度示しててのではない。ことに留意することが大切であるしかたがって温度分子並進運動エネルギー分布仕方を表す指標であることは古典統計変わっていない。

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