温度と生化学反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 01:36 UTC 版)
生化学的反応の例を挙げるなら酵素の反応だが、これらは通常の場合において、特に動物が利用する酵素は、至適温度が40℃前後である(=40℃前後で最も効率良く働くということ)ものが多いが、これはヒトの中心温度(37℃前後。直腸温度などが最も近い)に近いため、体内で効率よく働くことができる。俗に「腹を冷やすと下痢(消化不良)になる」と言われるが、その原因の一つとして、消化管の温度低下によってこれらの酵素の一種である消化酵素の働きが鈍り、消化作用が阻害されることが挙げられる。また、ブドウ糖などの糖を酸化・分解してエネルギー通貨としてアデノシン三リン酸 (ATP) を生成する「解糖系」という過程も、周辺温度によって生成速度に差が生じ、低い温度ではこのATP生産が低下する。そしてATPは筋肉、神経、内臓など全身の細胞の生命活動全般においてエネルギー源として使用されているため、供給が滞れば致命的な問題に発展する。ヒトにおいては、体温が約31℃以上であればシバリング(身体の震え)による熱生産が行われるが、約31℃を下回るとシバリングが無くなり急速な体温低下を起こす。
※この「温度と生化学反応」の解説は、「低体温症」の解説の一部です。
「温度と生化学反応」を含む「低体温症」の記事については、「低体温症」の概要を参照ください。
- 温度と生化学反応のページへのリンク