注意義務違反による騎乗停止
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 04:43 UTC 版)
「騎乗停止」の記事における「注意義務違反による騎乗停止」の解説
黛弘人 2011年2月26日の小倉競馬第12競走でメジロガストンに騎乗し、決勝線手前で先頭に立ったが、2完歩ほど追う動作を緩めて馬上で立ち上がる状態となり、この結果ショウナンスマイルに逆転され2着となった。このことが裁決委員の判断により油断騎乗による注意義務違反とみなされたため、同2月27日から3月28日の30日間(開催日9日間相当)騎乗停止となった。本来騎乗停止は上記の通り、騎乗停止の対象となった競走が行われた次週の最初の開催日(この場合は3月5日)から適用されるところだが、油断騎乗による注意義務を怠ったとして、例外としてこの翌日の27日からの適用となった。 北村友一 2013年6月29日の中京競馬第12競走においてミッキーホワイトに騎乗し、メイショウユメゴゼと叩き合いとなった際、外側に大きく斜行してメイショウユメゴゼに不利を被らせた。レースは降着とはならず到達順位通りミッキーホワイトの1着で確定したが、北村は同年6月16日の函館競馬第11競走(函館スプリントステークス、スギノエンデバーに騎乗)で不注意騎乗を行い実効2日間の騎乗停止処分を課され、この週から戦列に復帰したばかりであったため「短期間に不注意騎乗を繰り返した」として、その次週から開催日8日間の騎乗停止を受けた。 原田敬伍 本来は競馬開催前日から、調整室での外部第三者への連絡・接触が厳禁されているにもかかわらず、2013年6月28日に栗東トレーニングセンター調整室で携帯電話からTwitterで第三者と連絡を取り合っていたことがこれに違反したとして同7月6日から8月4日の30日間(開催日10日間相当)の騎乗停止を受けた。 また、同騎手は2013年6月8日の第10競走に体重調整ができずに体重超過となったため他騎手へ乗り替わりとなり、2日間騎乗停止が科せられたが、翌2014年2月2日の第1競走で同様の体重超過が発生した為、加重制裁として30日間の騎乗停止処分を受けた。 なお、同騎手は騎乗停止明け後の2014年4月24日、一身上の都合による本人申請により騎手免許が取り消された。 リチャード・エノン(JRA短期免許) 2014年4月12日に行われた福島競馬第4競走(障害戦)においてノエルキャロルに本来59kgの負担重量で騎乗するところ、体重調整に失敗し体重超過となった上、脱水症状を発症したため騎乗できず、騎手変更となった。これを受けてJRAはその次の週に当たる4月19日及び翌20日の2日間騎乗停止とする制裁を行った。 ところが、騎乗停止明けの4月26日の福島競馬第5競走(同上)においてオウケンウッドに本来60kgの負担重量で騎乗する予定だったところ、再び体重調整に失敗し、予定重量から0.5kg重い60.5kgで騎乗(結果は10着)した。このことについて、JRAでは加重制裁として翌4月27日から5月26日までの30日間(開催日9日間相当)騎乗停止とする制裁を行った。これも本来であれば騎乗停止は対象の競走が行われた次の週の最初の開催日(この事例では5月3日)から適用されるべきところを、短期間に同じ過ちを繰り返して行った重要な注意義務違反であることを重視した例外として、翌日の開催から適用したものである。 クリストフ・ルメール 同騎手は2015年3月1日より、中央競馬の通年騎乗が可能な通常騎手免許を取得し、この日から中央競馬の騎手としてデビューすることになっていたが、前日の2月28日の阪神競馬場の騎手調整室内で、本来外部との連絡をすることを禁じているにもかかわらず、携帯電話からTwitterで知人と連絡した事実が発覚したため、競馬施行規定に抵触する重大な注意義務違反として即日処分が適用され、3月1日から30日までの30日間(開催日9日間含む)の騎乗停止となった。このため、3月1日に騎乗する予定だった6鞍はすべて騎手変更となった。 ルイス・コントレラス(JRA短期免許) 2016年2月6日に実施された騎手の薬物使用検査(ドーピング検査)で、「麻薬及び向精神薬取締法」により禁止されている麻薬の一種「オキシコドン」が検出された。JRAによる騎手のドーピング検査は2003年4月に開始されたが、開始以来初の陽性反応を検出したことで、同月11日より裁定委員会の議定があるまで騎乗停止処分となった。本人の弁明では「メキシコで落馬負傷した際に処方を受けた「オキシコドン」が別の薬(のどの痛み止め)のビンに混入、気が付かないまま日本に持ち込み誤飲した」と釈明したが、3月4日に開かれた裁定委員会の議定により、2月11日から3月10日まで30日間の騎乗停止処分となった。 なお、同騎手に関しては2月29日付でJRAの短期免許が満了となったが、JRAは同騎手に対しては今後5年間は短期免許の発行を行わないことを明らかにしている。 木幡育也 同騎手は2017年9月10日に実施された騎手の薬物使用検査(ドーピング検査)で、対象薬物として指定されている利尿剤「フロセミド」が検出された。JRAの事情聴取に本人は「落馬による怪我で、浮腫が取れないために母親からもらったものを使用。常用はなかった」と弁明したが、検査前の申告がなかったことを重視し、採決委員の専権で同年9月14日から10月13日まで30日間の騎乗停止となった。 山田敬士 同騎手は2018年10月13日の新潟競馬第6競走でペイシャエリートに騎乗した際、コースを2周するダート2500mの競走であったが競走距離を誤認。1周目のスタンド前直線でスパートをかけ、先頭でゴール板を通過した後にレースを終えようとしてしまった。後続馬に抜かれて慌てて隊列に復帰したものの、1着から4秒8差離れた最下位となり、JRAは翌日から裁定委員会の議定があるまでの騎乗停止処分を課した。その後の裁定委員会の議定により、騎手としての注意義務を著しく怠ったものと認め、2019年1月13日まで騎乗停止処分となった。なお、山田の騎乗停止解除後初騎乗はペイシャラトゥール、同初勝利はペイシャボムと、いずれもペイシャエリートと同じ馬主の所有馬で記録している。 木間塚龍馬(千葉県競馬組合) 同騎手は2021年5月5日の船橋競馬第8競走でマラニーノに騎乗していたが、前の馬に接触して落馬し、同馬は空馬のままコースを逆走するに至った(他に1頭が巻き込まれて落馬)。同競走は競走全般に重大な支障があったとは認められず、レースは到達順位どおり確定したが、木間塚は「進路選定判断の誤りによる落馬」が認められ、同年5月10日・11日の2日間の騎乗停止処分が科された。 大山龍太郎(兵庫県競馬組合) 同騎手は2021年6月17日の園田競馬第7競走でヨハネスボーイに騎乗した際、コースを1周半で行われるダート1870mの競走であったが競走距離を誤認し、1周目の直線から鞭を連打して、ゴール板通過後に減速。その後向正面で後続馬に交わされ隊列に加わったが、最下位の第9着で入線した。このことは騎乗法に適切を欠いたと認められ、次回騎乗となる当日第8競走以降、騎乗予定の4鞍が即刻騎手変更となり、大山は同年6月18日から8月4日まで開催日20日間の騎乗停止処分が科された。また、連座して所属調教師の坂本和也も「指導監督不十分」と認められ、同年17・18日の2日間の賞典停止処分となった。 西谷凜 同騎手は2022年2月19日の小倉競馬第1競走でサフランブライトに騎乗予定であったが、体重調整が出来ず騎手変更(当該週の騎乗予定11頭がすべて騎手変更)となったことについて、2022年3月5日から4月3日まで30日間(開催日11日間相当)の騎乗停止処分となった。なお、同騎手は2021年5月1日にも体重調整の失敗から脱水症を発症し騎手変更となったことについて、5月15日から16日まで2日間の騎乗停止処分を受けたほか、過去数度にわたり負担重量に関する注意義務を怠ったことを理由に戒告などの処分を受けている。 また、同騎手は2022年4月23日の福島競馬第1競走においてもダンツカプリに騎乗する際、騎乗前の検量で本来53kgで騎乗するところを0.2kg超過していることが判明した。レースについてはそのまま騎乗し9着となったが、レース後の事情聴取により保護ベストのクッションを抜いていたことがさらに判明した。前述の通り、同年2月に30日間の騎乗停止処分を受けたにもかかわらず、短期間で負担重量に関する注意義務を怠ったことから、さらなる加重制裁として、本来は騎乗停止の始期が2週間後の5月7日からであるところ、問題が発覚した翌日である4月24日から裁定委員会の議定があるまで騎乗停止処分となった。その後の同年6月2日の裁定委員会の議定により、騎手としての注意義務を著しく怠ったものと認め、同年7月23日まで騎乗停止処分となった。
※この「注意義務違反による騎乗停止」の解説は、「騎乗停止」の解説の一部です。
「注意義務違反による騎乗停止」を含む「騎乗停止」の記事については、「騎乗停止」の概要を参照ください。
- 注意義務違反による騎乗停止のページへのリンク