残置私有財産返還要求運動と援護行政とは? わかりやすく解説

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残置私有財産返還要求運動と援護行政

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/26 13:57 UTC 版)

引き揚げ」の記事における「残置私有財産返還要求運動と援護行政」の解説

引き揚げ者は、1000円現金自力で運ぶことができる若干荷物しか帯行が許されず、その財産のほとんどを海外残し日本引き揚げた。引き揚げ者多くは、日本国内地縁血縁少なく戦後の混乱した厳し社会環境のなかでの生活の再建余儀なくされた。しかし、生活の再建容易なものでなく、引き揚げ者厳し生活の実態社会問題となった全国引き揚げ者は、海外残され財産補償強く政府働きかけることになったいわゆる在外財産補償問題」である。日本国政府は、数次にわたり審議機関設置し、この問題検討をした。ようやく1956年昭和31年12月になり第二次在外財産問題審議会による答申が、政府提出された。 その答申は、日本国政府在外財産補償をすべき法律的義務があるか否かという根本的問題については結論得られないとしたうえで、引揚者特殊性すなわち全生活基盤失ったまま日本への帰還余儀なくされたということ鑑み給付金等による生活基盤再建のための特別の政策的援護措置講ずべきとされた。政府はこれを受け、引揚者給付金制度設け終戦時外地に6か月上生活の本拠有していたことを条件に、償還期間10年、年6分国債交付した金額については、50歳以上の者の2万8000円か18歳未満の者の7000円まで年齢により数段階の区別があった。 しかし、引揚者給付金制度による交付によって一時下火となった在外財産補償問題は、その後活発になった。引き揚げ者してみれば、最高2万8000程度金額単なる見舞金にすぎない感じられた。引き揚げ者は、平和条約によって賠償として提供され自分達の財産を、憲法条項に従って補償求めていたのである1966年昭和41年)から1967年昭和42年)にかけて大規模な全国大会開かれ国会議員の間でも関心高まった。 そのため1968年8月引揚者対する特別交付金支給に関する法律』(昭和42年8月1日法律114号)が公布された。この法律により、引揚者及びその遺族並びに引揚死亡者遺族対する特別交付金支給関し必要な事項規定された(同法第1条)。まず同法は「引揚者」を以下のように定義する抄録)。 「外地」(日本本土以外の地域)に1945年昭和20年8月15日まで引き続き1年以上生活の本拠有していた者で、終戦伴って発生した事態に基づく外国官憲の命令生活手段喪失等のやむを得ない理由により同日以後日本引き揚げた者 外地1945年8月9日まで引き続き1年以上生活の本拠有していた者で、ソヴィエト社会主義共和国連邦参戦伴って発生した事態により同日以後終戦日前に本邦引き揚げた者 外地終戦日まで引き続き1年以上生活の本拠有していた者で、日本国内滞在中、終戦によってその生活の本拠有していた外地へもどることができなくなった日本のもと委任統治領であった南洋群島1943年昭和18年10月1日まで引き続き1年以上生活の本拠有していた者で、戦争関連する緊迫した事態に基づく日本国政府要請により同日以後終戦日前に日本引き揚げた者(同法第2条各号) この法律により、総額1925億円の特別交付金交付された。交付金額は、終戦時年齢に応じて一人当たりの金額決められた。具体的には、終戦時50歳以上の者は16万円35歳以上50未満の者は10万円、25歳以上35歳未満の者は5万円、20歳以上25歳未満の者は3万円20歳未満の者は2万であった同法第6条第1項)。いずれも10年均等償還される無利子記名国債交付された(同法第7条第1項)。 1975年昭和50年7月に、当時三木首相は「特別交付金支給をもって在外財産の処理は最終的に解決されたと発表した。この発表により引き揚げ者在外財産返還の途は、閉ざされることになったのである

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