生活の実態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/02 14:32 UTC 版)
生活環境は厳しく労働は長時間におよんだ。雇子達の中には粗末な食事しか出されず、親方から虐待を受ける者もいた。また年季が明ける度にさらに売りに出される者もいた。さらに泳法の訓練も過酷なものであり、縄で括った上で舟から海へ放り込むようなものであった。 また実際に糸満売りとされた人物の証言によれば「ウムカシ(サツマイモから澱粉を取った残りの滓)が常食で、豊漁の時だけはイモがまともに食べられた」とのことであり、先輩などからのリンチやいわゆるいじめも横行していた。 だが必ずしも非人道的なことばかりがまかり通っていたわけでもなく、預かった子をまるで我が子のように養っていたとの証言もみられ、またやはり雇子は親方にとっても「財産」であるため無為にいじめたり殺すようなことは損であるとして好まれなかったとされ、雇子と親方の娘が結婚に至ったり、一部年季が免除されると言った事例もある。 少女が糸満売りに出される例も見られたが、この場合は直接の漁業に従事するのではなく、雑役や蒲鉾作りなど補助的な労務に充てられた。 なお年季が明けた(または戦後解放された)後は、幼少期からの過酷な労働により漁師としての技術を得たかつての雇子たちは、引き続き漁師として生計を立てていく例も多かった。ただし少年期を過酷な漁業の場で過ごしたため、学校での正規教育を受けておらず文盲が多かった。
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