歴史のなかのヴァイシャ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:32 UTC 版)
「ヴァイシャ」の記事における「歴史のなかのヴァイシャ」の解説
後期ヴェーダ時代(紀元前1000年頃-紀元前600年頃)に部族内部において階層分化が進み、司祭者(バラモン)と王侯・武士(クシャトリヤ)の2つのヴァルナが成立すると、農業、牧畜、商業を営んでいた部族の庶民はヴァイシャとして位置づけられた。しかし、第4ヴァルナのシュードラとは異なり、「再生族」(ドヴィジャ)の一員に位置づけられた。 リグ・ヴェーダの創造讃歌『プルシャ・スークタ(原人の歌)』(en)は、4つのヴァルナ(社会的身分)が生まれた由来を問い、その答えのなかで次のように説明している。 神々が原人を切り分かちたるときいくつの部分に切り離したるや。 その口は何に、両腕は何になりたるや。その両腿は、その両足は何とよばれるや。 その口はバラモン(司祭)となれり。その両腕はラージャニヤ(武人)となれり。 その両腿からはヴァイシャ(農民、商人)、その両足からはシュードラ(奴隷)生じたり。 インド哲学 - インド発祥の宗教 ヒンドゥー教 基本教義 アートマンとブラフマン 梵我一如 輪廻(サンサーラ) 業 プルシャールタカーマ ダルマ アルタ(英語版) モークシャ 神々 ブラフマー シヴァ(パールヴァティー) ヴィシュヌ(クリシュナ) アスラ ヴァルナ ヴィローチャナ マハーバリ ヴリトラ ラーヴァナ インドラ ナーガ ナーガラージャ ジャガンナート 聖典 【シュルティ(天啓)】ヴェーダ リグ・ヴェーダ ヤジュル・ヴェーダ サーマ・ヴェーダ アタルヴァ・ヴェーダアーラニヤカ ウパニシャッド 副ヴェーダ ガンダルヴァ・ヴェーダ ダヌル・ヴェーダ(英語版) スターパティア・ヴェーダ アーユルヴェーダ 【スムリティ(聖伝)】 ヴェーダーンガ プラーナ文献 マハーバーラタ (バガヴァッド・ギーター) ラーマーヤナ 六派哲学の諸経典 法典・律法経 マヌ法典 ヤージュニャヴァルキヤ法典 学派 ヴェーダーンタ学派 ミーマーンサー学派 ヨーガ学派 サーンキヤ学派 ニヤーヤ学派 ヴァイシェーシカ学派 宗派 ヴィシュヌ派 シヴァ派 シャクティ派 スマールタ派 人物 アンギラス カナーダ パーニニ パタンジャリ ウッダーラカ・アールニ ヴィヤーサ ヤージュニャヴァルキヤ シャンカラ カビール ラーマーヌジャ オーロビンド・ゴーシュ マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー マハトマ・ガンディー シュリーラ・プラブパーダラーマクリシュナ ラマナ・マハルシ ラーダークリシュナン ヴィヴェーカーナンダ シャンカール 修行・礼拝 ヨーガ バジャン(英語版) 苦行・護摩 ヤジニャ(英語版) バクティ(英語版) 関連用語 ブラーフマナ ムルティ(英語版) サンヒター、グル インド神話、カースト ヒンドゥー暦 ヴァルナ ジャーティ 不可触民 サティー ヒンドゥトヴァ アーシュラマ ヒンドゥー至上主義 一覧 寺院の一覧、遺跡の一覧ヒンドゥー教の祭の一覧(英語版) ヒンドゥー教徒の国別人口(英語版) ヒンドゥー教用語の一覧(英語版) ポータル 表 話 編 歴 「ヴァルナ」の原義は「色」であり、上位からそれぞれ白、赤、黄、黒の4色である。すなわち、ヴァイシャ階級は色としては黄色で示される。 『マヌ法典』にしたがえば、バラモンはヴェーダを学び、これを教え、また、神々への祭祀をおこなわなければならない。クシャトリヤ(ラージャニヤ)は人びとを守り、そしてヴェーダを学ばなければならない。ヴァイシャは牛を飼い、土を耕し、商業を営み、金銭を扱い、そして、やはりヴェーダを学ばなければならない。このように、ヴァイシャはヴェーダの祭式に参加する資格を与えられており、8歳から12歳にかけてヴァイシャを含む上位3階級の男子は、その階級の一員になったことを示す聖なる紐をかけられる儀式に参加する。これによって彼らは幼年時代を終え、「学生」の生活にはいる。しかし、シュードラは他の3階級に仕えることを本分としており、ヴェーダを学ぶことは許されていない「一生族」(エーカジャ)である。なお、農業は、すべての階級やジャーティに開かれている活動とされている。 後世、農業、牧畜に従事する庶民がシュードラとみなされるようになってくると、ヴァイシャはおもに商人(金融業ふくむ)階級をさす語となり、現代では、商人カーストに属する多くがヴァイシャに属している。ヴァイシャはしたがって、ヴァルナの序列としては3番目であるが、経済力のある者が多く、ヴァルナ全体としても富裕である。 ジャイナ教の信者はその教義、とくに徹底した不殺生(アヒンサー)の教えからヴァイシャ階級に属する者が大多数を占める。
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