日本の旅券の歴史
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1866年5月21日(慶応2年4月7日)日本初の旅券といえる「海外渡航文書」が江戸幕府より発給される。目的は修学と商業に限定され、条約締結済みの国への渡航が許可された。留学経験者やフランスの役人の話を元に、1枚の和紙に墨で書かれた。写真の代わりに、容姿の特徴(身長、眼鼻口などの人相についての項目)が書かれていた。当時は呼称が一定しておらず、「印章」「御免の印章」「旅切手」などの名称が使われていた。第1号は、旧暦慶応2年10月17日付で、パリ万国博覧会でフランスへの渡航目的で申請した、手品師・曲芸師の隅田川浪五郎に発行されている。 1878年(明治11年)2月20日 「海外旅券規則」において初めて法的に「旅券」という用語が使われた。その120年後にあたる1998年(平成10年)に、これを記念して2月20日を「旅券の日」と制定した。 1917年(大正6年)1月20日 「外国旅券規則」の改正により、パスポートへの証明写真貼付が始まった。 1926年(大正15年)1月1日 国際的な基準に従い、パスポートが手帳型になった。 1951年(昭和26年)11月28日 旅券法が公布され、旅券が法律によって定義されることになった。この旅券法に基づき、同年12月1日に交付された「一般旅券発給申請書等の様式に関する省令」によって、従来の「外国旅券規則」は廃止された。旅券法が法律として定められたのは、渡航の制限・手数料・罰則などが、日本国憲法下で法律事項とみなされるようになったからであった。 1963年(昭和38年)業務渡航が自由化。翌1964年(昭和39年)に観光渡航の自由化が始まる。 1992年(平成4年)11月1日 ICAOの基準に従い、現在の旅券サイズになり、機械読取式旅券(英語版)(MRP旅券)の発給が開始される。 1995年(平成7年)11月1日 それまでの有効期間5年間のものに加えて10年間有効の旅券も発行されるようになった。これにより、有効期間10年の旅券に赤色が使用されることになった為、それまで赤色だった従来の有効期間5年の旅券がこの日以降の新規発行分から現行の紺色のものとなった。ただし、未成年者(19歳以下の日本国籍者)の場合は5年間のものしか取得できない。 2004年(平成16年)3月29日 岡山県で、全国初の電子申請開始。以後各県で開始される。 2006年(平成18年)3月20日 ICチップ内蔵型旅券「バイオメトリック・パスポート」の発給受付開始。同時に、特に必要とされる場合、パスポートへの旧姓併記の基準が緩和された。2016年(平成28年)3月20日で、MRP旅券の有効期限到達により、日本国旅券は緊急旅券を除き、全てICパスポート発行になった。 2006年(平成18年)9月30日 電子申請終了 2009年(平成21年)3月1日旅券申請に際しては、 1975年(昭和50年)以来、 郵便はがきを申請者の住所地(住民票上の住所)に送付し同一性を確認する方法をとってきたが廃止。近年の生活様式の多様化に伴い、 住所以外の場所に居住する申請者が増加し、 その結果、 はがきが本人あてに郵送されない場合が増えてきたこと及び住所地以外の居所をもって旅券申請を行う場合に、 他の身元確認書類により申請者の住所及び同一性が確認できれば、郵便はがきの提示を省略することとしてきた実態を踏まえて、 今回の措置に踏み切る。 2020年(令和2年)2月4日 新型旅券の申請受付開始。査証欄の基本デザインを葛飾北斎の冨嶽三十六景とし、全ページ異なるデザインとした。また、IC内の個人情報の不正読取り等を防ぐ機能を強化した。 なお、都道府県発行の報告書に歴史が詳しく記載されている場合もある。
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