日本と台湾の反応
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9月25日の午前7時40分頃から11時30分頃までに台湾の中華民国行政院海岸巡防署の巡視船12隻と宜蘭県蘇澳鎮から出港した漁船約40隻が同時に尖閣諸島の領海を侵犯し、尖閣諸島の台湾領有を主張するデモ活動を行った。これに対して海上保安庁は保有する約360隻の巡視船・巡視艇のうち約45隻を出動させて対応し、巡視船が放水して進路規制を行ったが、台湾の巡視船も放水でこれに応戦した。これを受けて、財団法人交流協会の今井正理事長が中華民国外交部を訪れ、楊進添外交部長と2時間にわたり会談、厳重抗議と再発防止の申し入れを行ったが、楊部長は日本の国有化について批判した。また、馬英九中華民国総統はこの領海侵犯を「全力で漁民の安全を守った」「釣魚台が我が領土であることを世界に誇示した」と絶賛した。 9月26日、中国や台湾の報復措置が強まるなか国際連合総会に出席した野田佳彦総理大臣は、一般討論演説で「一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは、国連憲章の基本的精神に合致せず、決して受け入れられない」と主張。総会後、ニューヨークで行われた記者会見では、「後退する妥協はありえない」と述べた。 日本と台湾の抗議デモと、それに関連する情報については「2012年尖閣諸島抗議デモ」を参照 石之瑜(中国語版)(国立台湾大学)は、『聯合早報』9月11日付け寄稿「南シナ海で強硬姿勢を取るよりもシャトル外交を」において、尖閣諸島問題で、台湾は劣勢にあり、主として中国と日本が対立する中で、台湾が第三者としての日中間のシャトル外交を通じて、両者が面目を保つ形で合意を図り、平和的解決に一役買うことができれば、国際社会において地位を確立できると述べている。 2013年5月、中華民国総統であった李登輝は日本政府による尖閣諸島国有化について、「(中国は)周辺国への内政や領土干渉を繰り返すことによって、自分たちの力を誇示しているのである。こうした中国の動きを説明するのに、私は『成金』という言葉をよく使う。経済力を背景に、ベトナムから西沙諸島を奪い、南沙諸島でフィリピンが領有していた地域に手を出し、そして日本領土である尖閣諸島の領海、領空侵犯を繰り返す中国は、札束の力で威張り散らす浅ましい『成金』の姿そのものである。それこそ私は事あるごとに日本や沖縄の要人、台湾内部に向けて『尖閣諸島は日本の領土』と言い続けてきた。しかし、肝心の日本の政治家のほうが中国に遠慮して、『尖閣は日本の領土』という態度を示してこなかった。野田前首相の時代に尖閣諸島は国有化されたが、あのような手続きを行ったところで、どれほどの効果があるのか。国が買わないなら都で買う、と表明した石原慎太郎前都知事にしても、彼の個人的な意気を示すだけの話であったように思う。もともと尖閣諸島は日本国民の領土なのだから、日本政府は手続き論に終始せず、中国が手を出してくるなら戦う、ぐらいの覚悟を示す必要がある」と述べている。また李登輝は、中国人民解放軍は、陸軍には覇権を拡張する道がないため、海軍の強化に努めており、尖閣諸島周辺の領海・領空侵犯を繰り返して日本に揺さぶりをかけるであろうが、現在のところ軍事侵攻する可能性は低く、それは日本の同盟国であるアメリカ軍を恐れているからであり、従って中国は尖閣諸島の「共同管理」を突破口にして、太平洋に進出することを狙っており、中国による尖閣諸島の「共同管理」の申し出は断固拒絶すべきであると述べている。
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