日本での展開と撤退
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 02:14 UTC 版)
日本においては「株式会社ディレク・ティービー」が、米ディレクTVと、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、松下電器産業(現・パナソニック)、大日本印刷、三菱電機、三菱商事、徳間書店などが出資して設立され、1997年12月1日に本放送を開始した。番組の伝送には宇宙通信(現・スカパーJSAT)のSUPERBIRD C号機が利用された。この関係で、1998年9月30日に放送終了したCSアナログ放送のスカイポートの加入者を引き継いでいる。なお、当初はソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)も資本参加する予定だったが、同社の経営者である孫正義とCCC経営者(後のディレク・ティービー・ジャパン社長)の増田宗昭が出資比率を巡って対立したため、破談となった。 特色としては、番組と連動するデータ放送機能(インタラクTV)やプログレッシブ走査方式(映像信号参照)を標準で用意し、また映画、スポーツ、アダルト分野などでディレクTVでのみ放送されるチャンネルも存在した。独立放送局の東京メトロポリタンテレビジョン、テレビ神奈川がディレクTVで全国に向けて同時放送していたのも特筆すべき点である。 経営面では、番組を供給する各チャンネルが自ら委託放送事業者の認定を受けて衛星のトランスポンダを借りるスカパー!と異なり、基本的にはディレク・ティービーに出資する大株主各社がそれぞれ委託放送事業者として100%出資の子会社を設立し、同子会社が番組供給会社からコンテンツを買い付ける形態を取っていた。 この形態ではプラットフォーム会社であるディレク・ティービー側が事実上の番組編成権を握ることができるため柔軟なチャンネルの入れ替えが可能になるほか、番組供給会社側にとっても番組販売の形を取るため、通常チャンネル立ち上げ当初に必要となる初期資本が不要となり経営リスクや参入障壁が低くなるという利点があった。一方で、中間に入る形になる子会社は加入者数が伸びなかった場合にトランスポンダ料金等の経費負担による赤字をもろに被る形になるため、ディレクTV並びに大株主各社にとってはハイリスク・ハイリターンといえる形態だった。 株主系委託放送事業者 ディレク・ティービー・ジャパン株式会社(ディレク・ティービー43.4%、ディレク・ティービー・インターナショナル・インク16.98%、カルチュア・コンビニエンス・クラブ16.98%、松下電器産業5.66%、徳間書店5.66%) シー・シー・シー・コミュニケーションズ株式会社(カルチュア・コンビニエンス・クラブ100%)※のち「プラネット・コミュニケーションズ株式会社」に社名変更 ワンダーウェーブ株式会社(松下電器産業50%、三菱商事50%)ワンダーキャスト株式会社(松下電器産業100%)と株式会社スペースウェーブ(三菱商事100%)が合併 スーパーデジタル放送株式会社(徳間書店50%、三菱電機50%)徳間デジタル放送株式会社(徳間書店100%)、株式会社スーパーウェイ(三菱電機100%)が合併 ヒューズ・ジャパン・ブロードキャスティング株式会社(大日本印刷50%、ヒューズ・エレクトロニクス・ジャパン40%、ゼット10%)(旧)ヒューズ・ジャパン・ブロードキャスティング(ヒューズ・エレクトロニクス・ジャパン80%、ゼット20%)と株式会社ギャラクシー・コミュニケーションズ(大日本印刷100%)が合併 ※株主比率は1997年10月31日付および1998年11月20日付の郵政省報道資料より しかし、受信装置(IRD)が先行していたスカパー!と共有できず(当時電波産業会(ARIB)において共用受信機の仕様検討作業が進められ、一応規格は成立していたものの、実際には共用受信機は製品化されなかった。)、またチャンネルの大半もスカパー!と同じであった上に、スカパー!の主要株主系列の人気チャンネルが提供されなかった事、無料チャンネルがガイドチャンネル一つのみで「スカパー!大開放デー」のようなノースクランブルキャンペーンが極端に少なく契約してみないと判断出来ないというハードルの高さ等の要因から加入者数は伸び悩んだ。インフラ面でも、都内並びに大阪に複数のアップリンクセンター(地上局)を持っていたスカパー!に対し、ディレクTVでは宇宙通信の茨城県那珂郡(現・常陸大宮市)にある地上局1ヶ所で全てのアップリンクを賄うシステムとなっていたため、同地上局まで映像を伝送するための伝送設備や光ファイバ回線等の費用負担が重くのしかかった。さらに前記の番組供給形態が仇となり、大株主各社が被ることになる赤字も大きく膨らんだ。 これらの要因から、2000年3月、アメリカ・ディレクTVの当時の親会社ヒューズ・エレクトロニクスは事業継続を断念。スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(現・スカパーJSAT)に出資するとともに、契約者をスカパー!に移管させ事実上統合、2000年9月30日をもってサービスを終了し、同年10月2日をもって廃局した。会社は清算され、全従業員は解雇。出向者は親会社への復帰となった。また、契約者のうちの希望する者にはスカパー!のチューナー・アンテナが無償提供された。 なお、ディレクTVに使用したSUPERBIRDはCATV番組伝送のためのi-HITSやその他の衛星通信用に使用され、また、この後放送用に、放送衛星(BS)のデジタル放送用のものと同じ東経110度の位置に打ち上げた「N-SAT-110」が打ち上げられ、現在のスカパー!の前身となる「プラット・ワン」・「スカパー!2(→スカパー!110→e2 by スカパー!→スカパー!e2→スカパー!)」に利用されている。 これに先立ち、同年7月には郵政省がディレクTVの独自チャンネルをスカパー!に移行する事業者に対して委託放送業務の認定を行っている。 2000年7月に認定された委託放送事業者 ジャパン・ジャスト・アドバンスド・メディア(現・ジャム・ティービー。NON STOP フレッシュギャルズ(現・AV王)、いよかん通信チャンネル(現・ダイナマイトTV)) ココロネットワークス(CoCoRo TV(放送終了)) ジュピターサテライト放送(LaLa Europe(現・LaLa TV)) エー・ティー・エックス(アニメシアターX(AT-X)) フォーバルテレコム(ダイナミック競馬(現・ミュージック・グラフィティTV、のちにアトス・ブロードキャスティングが電気通信役務利用放送事業者として登録)、南関ケイリンチャンネル(放送開始せず)) ウェザーニュース(インテリジェント・ウェザーニュース→ウエザーニュース(放送終了。2016年9月までBS910データで無料放送) ペイ・パー・ビュー・ジャパン(現・スカパー・ブロードキャスティング。ペイ・パー・ビュー番組) メディア・ライブラリー(V☆パラダイス(のちにヒューマックスコミュニケーションズが電気通信役務利用放送事業者として登録))
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