文明開化と江戸落語とは? わかりやすく解説

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文明開化と江戸落語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/16 20:10 UTC 版)

江戸落語」の記事における「文明開化と江戸落語」の解説

1868年明治維新によって寄席世界にも近代化の波が押し寄せることとなった天保以降寄席芸能上述の「四業」に制限されたが、明治新政府当初その方針を踏襲し明治2年1869年10月東京府によって物まね音曲歌舞伎所作のまねなどをしないよう布告されている。明治5年1872年10月には、寄席新規免許には2円(翌年から年1円)、また寄席1軒につき毎月50銭ずつ納めることを義務づけた。1876年明治9年4月東京府知事楠本正隆の名で、諸芸人に対し鑑札発行し賦金営業税)を課すことが当局より布告された。これにより芸界統一不可欠となり、芸人仲間のうちで人望実力のある三遊亭圓朝3代目麗々亭柳橋6代目桂文治の3人が頭取として選ばれ、かれらが交代月番責任を負うシステム作られた。記録によれば賦金は上等の落語家は月50銭、下等落語家は月25であったという。ちなみに1877年明治10年)ころの寄席木戸銭通常では2銭5厘、圓朝出演する場合は5銭であった。くじ売り禁止卑猥な演目制限深夜営業禁止など警察による寄席取締徐々に厳しくなり、高座健全化されていった幕末から明治にかけて、落語界では不世出名人として称えられ三遊亭圓朝活躍し、「真景累ヶ淵」「塩原多助一代記」などの創作咄やヨーロッパ説話題材得た「死神」など、多くの咄を世にあらわした同時期に日本語での速記法実用化され、これを活かして圓朝高座書き記した速記本当時文学、特に言文一致文章成立大きな影響与えている。圓朝はまた弟子教育にも力をいれ「圓朝四天王」(初代圓馬・3代目圓生4代目圓生2代目)をはじめ多く優れた落語家輩出した江戸落語はこうして明治になって一応の完成をみた。なお、1881年明治14年段階東京市には149軒の寄席があり、落語家362人いたという記録がある。 西南戦争後薩長藩閥政府政権地歩かためて地方人士こぞって東京をめざすようになると、寄席演芸変容し、江戸以来しっとりとした人情噺よりもむしろ手っ取り早く笑いをとる芸がもてはやされるようになり、明治10年代中ごろには「ステテコの圓遊」(初代三遊亭圓遊)・「ラッパ圓太郎」(4代目橘家圓太郎)・「へらへら」(初代三遊亭萬橘)・「釜掘りの談志」(4代目立川談志)の、俗に珍芸四天王」と称される芸人人気博したなかでも圓遊は、珍芸のみならず従来の噺を当世風に改作する巧妙さでも知られ絶大な人気獲得した。圓遊の改作として知られるのが「野ざらし」「船徳」「ほまれの幇間」であり、それぞれいずれも本来の作品をより陽気な滑稽噺仕上げた明治10年代終わりごろから、東京落語界柳派三遊派分かれ互いに競い合う体制となった柳派初代柳亭燕枝初代談洲楼燕枝)、三遊派三遊亭圓朝によって立て直され芸風贔屓衆等ことごとに対抗したそれぞれの芸風は「柳隠居に三遊若旦那」と形容され、柳派洒脱洗練された芸を身上とするのに対し三遊派が派手で明る芸風持ち味とした。 なお、上述の圓遊とほぼ同時期に活躍したのが柳派から現れ2代目柳家小さん禽語楼小さん)であり、やはり滑稽噺を得意とした。しばしば「圓遊・小さん」と並び称され明治20年代から30年代にかけて一世を風靡し、このふたりが従来連続人情噺ではなく一席物の落とし噺滑稽噺)で寄席トリをとる先がけとなったといわれている。

※この「文明開化と江戸落語」の解説は、「江戸落語」の解説の一部です。
「文明開化と江戸落語」を含む「江戸落語」の記事については、「江戸落語」の概要を参照ください。

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