文在寅政権による合意「破棄」の推進
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「慰安婦問題日韓合意」の記事における「文在寅政権による合意「破棄」の推進」の解説
2017年5月10日、合意に批判的な共に民主党候補の文在寅が韓国大統領に当選し、政権交代となった。文は5月11日にも安倍晋三と電話会談を行ったが、その中で慰安婦合意について「国民の大多数が心情的に合意を受け入れられないのが現実」と述べた。 2017年6月12日、二階俊博が安倍晋三の特使として訪韓。二階と会談した文大統領は「日本が韓国国民の心情をくみ取ろうとする努力が重要だ」と伝え、韓国与党の「共に民主党」秋美愛代表は、慰安婦を「性奴隷」とした上で、日本の謝罪と再交渉を求めた。 2017年7月10日、日本政府は、韓国の鄭鉉栢女性家族相が慰安婦関連資料の世界記憶遺産への登録を政府予算を拠出して支援する考えを示したことについて、日韓合意の趣旨に反するとして抗議した。 2017年12月19日、安倍が韓国外相の康京和と首相官邸で会談し、慰安婦問題日韓合意の履行を強く求めた。26日に菅義偉官房長官が閣議後の記者会見で日韓合意について「国際社会が高く評価している。互いが実行に移していくことが極めて大事だ」と強調した。 2017年12月28日、韓国大統領府報道官から、日韓合意には内容及び手続き面で重大な欠陥があるとして、日韓合意では問題の解決がなされないとする文大統領の声明が出された。声明は、交渉はその過程で慰安婦への十分な説明がなされないまま谷内正太郎国家安全保障局長と李丙琪大統領秘書室長との間で進められたものであると指摘し、「問題が再燃するほかない」とした。 これを受け、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長から駐日大韓民国大使館に対し、「合意の維持以外に政策的な選択肢はない」との申し入れがなされた。また、同日より2日間にわたり、大韓民国国軍による、F-15E等が参加する竹島防御訓練がなされることが表明されたことを受け、金杉局長より駐日大韓民国大使館に対し、強い抗議が合わせてなされた。 2018年1月2日、韓国与党・共に民主党の朴元淳ソウル市長はテレビ番組に出演し、「日韓合意の再交渉は「不可避だと考える」」と述べた。 2018年1月9日に韓国外交部長官の康京和は合意の検証結果を発表し、合意は慰安婦問題の真の解決にならないとしたものの、「(日韓合意は)公式な合意だった事実は否定できない」として日本政府に合意の再交渉を求めないとししつつ、慰安婦の尊厳の回復や心の傷を癒す努力を続けることを日本政府に要求した。さらに日本政府が支払った10億円の代わりに韓国政府の予算から充当するという新方針を発表した。これに関して、文在寅大統領は「日本が心をこめて謝罪してこそ(被害者の)おばあさんたちも日本を許すことができ、それが完全な慰安婦問題の解決だと思う」と述べた上で、「両国政府が条件をやり取りする方法で被害者を排除し、解決を図ったこと自体が間違った方法だった」との見解を述べている。 これについて、韓国の朝鮮日報は、「再交渉しないが履行もしない玉虫色」「合意を引っかき回し、元慰安婦と日本の不満ばかり増幅させた」と報じている。また中央日報は「日本の感情は悪化し、韓日関係は最悪になった」と、日韓関係の悪化に懸念を示した。 この新方針について、日本政府は「合意に至る過程に問題があったとは考えられない」「合意を変更しようとすれば日韓関係がマネージ不能となり断じて受け入れられない」とする外務相談話を発表し、また日本の河野外相は「一方的な公表は遺憾」とするコメントを発表、安倍は、合意を「1ミリも動かさない」と周囲に語った。また産経新聞は、合意の検証について「国内向けの時間稼ぎ」であると主張している。 2018年1月12日、安倍は官邸で記者団に対し、日韓合意について「日本側は約束したことは全て誠意をもって実行している」と述べた。 2018年3月1日、文在寅大統領は「三・一独立運動」の記念式典で「加害者である日本が『終わった』と言ってはいけない」と、「2015年12月の日韓合意を履行するよう求める」日本を牽制した。 2018年5月29日、韓国与党・共に民主党の秋美愛代表は記者会見で慰安婦像の撤去について問われると「少女像は全世界に、国を失った国家の少女を性的奴隷にした日本を平和的な方法で告発するもの」と述べ、撤去を求める日本に対して「このような質問を受けるということ自体が慰安婦被害者に申し訳ない」と不快感を示した。2019年12月27日、韓国の憲法裁判所は慰安婦問題日韓合意について「条約締結の手続きを踏んでいない「政治的な合意」にすぎず、元慰安婦らの法的権利が消滅したともいえない」として、合意によって、慰安婦が日本側に賠償を求める権利を失っていないと判決を下した。
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