文壇での反響とは? わかりやすく解説

文壇での反響

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 23:40 UTC 版)

金閣寺 (小説)」の記事における「文壇での反響」の解説

金閣寺』は刊行同年12月25日付の読売新聞の「1956年読売ベスト・スリー」に、選考10名中全員荒正人伊藤整臼井吉見亀井勝一郎河盛好蔵高橋義孝平野謙本多顕彰山本健吉吉田健一)の推薦受けて選ばれ、この票をまとめた中村光夫も「古典風格」と高評価した。 当時の他の作家文芸評論家たちの反響総じて良好で、連載中から「傑作」と称され評価高かった戦後派文学対し懐疑的黙殺していた旧『文學界同人鎌倉文士中心とした主流派文学者も、三島自分たちの正統後継者認め出しそれまで珍奇な異常児扱いであった三島一目置かれるようになった。また三島日本浪漫派の「狂い咲き徒花」、ブルジョア芸術派敵視していた左翼文学者たちも、三島才能実力それなりに認めようになったごく一部には、観念独走しているといった坂上弘辛口評もあるが、雑誌合評では、柏木人物造型に「無理」があるという意見ありながらも、観念小説として計算が行届いていることや、「幼時から父は、私によく、金閣のことを語つた」に始まる出だし部分優れていることが指摘され平野謙の、「今は文学作品が非常に少なくなつてゐるけれど、これは文学作品だ」という意見対し中島健蔵安部公房同意し中島は、「これから小説を書かうといふ人のためにこれを教材にするといいね」と述べている。安部公房は、「この小説には、たしかに観念を追うと同時に、非観念世界にくいこんでこうとする意図がある」と評している。 それまで三島作品に対して辛口ぎみだった臼井吉見も、「三島として稀なる傑作」だと評し社会ダネ材料にして「これだけ自分表現しきつたところに感心した」と述べている。中村光夫は、『太陽の季節』どころでない「危険性」のある作品、「大変な毒のある小説」だと評し河上徹太郎は、これは「足で書いている作品」だと読み、そこが「偉いんだね」と、その労を褒めて、「画期的な大犯罪を彼のファンタジーが足でやつたんだよ」と高い評価をしている。小林秀雄は、『金閣寺』についてドストエフスキーの『罪と罰』と比較し小説にするなら「焼いてからのことを書かなきゃ、小説ならない」ため、「小説っていうよりむしろ抒情詩」だとし、「君のラスコルニコフは動機という主観中に立てこもっているのだから、抒情的には非常に美しい所が出て来る」と評しつつ、三島が「抒情詩」という意図書いたと思うと述べながら、三島の「魔的」な「才能」の力を認めて三島の「感じ方とか才能性質」に、「何か新し横光利一みたいな所がある」と述べている。

※この「文壇での反響」の解説は、「金閣寺 (小説)」の解説の一部です。
「文壇での反響」を含む「金閣寺 (小説)」の記事については、「金閣寺 (小説)」の概要を参照ください。

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